第五十九話 アクの種族
大声でセリを呼びながら扉を開け...あれ?開いてる...締め忘れたのかな?
と少し疑問に思いながらセリを寝かせた場所を見た。流石にもう起きてるだろあんなにうるさくしたんだし...あれ?開いてるんだったらガッツリ俺とあいつらのブレス当たってるんじゃ...てか俺の姿見られた...?
見られてしまったなら今後に関わる。セリの事だし驚きはするものの遠ざけはしないだろう。ただ問題は何故セリに内緒にしていたか、そのような力をどこで手に入れたんだ?と聞かれてしまう事だ。
まぁはっきり言って俺がホントは男だった等の情報が漏れない限り損害は無い。こんの、変態がッ!っといってあんな事やこんな事になるのなら本望だがパッシブの『龍の鱗』がある限りそれは叶わないと思う。残念だ。
っとそんなことは置いといて...セリの居場所だ。居場所と言っても他に探す所は1つしか無くそれが正解だと思うんだけどね。
そう、それはボス部屋に入る前に置いた魔改造テントの中だ。そこが一番安全かつ自然な場所だ。恐らくボスとの戦闘音で目が覚め、寝ぼけた状態でテントの中に入ったに違いない。では早速...
「セリ〜?ボス戦終わったから次の階層に行けるよ〜」
案の定セリはテント内にいて変な体制で寝ていた。キツく無いのかな?
「ん、ん〜...って事は70層攻略完了?」
眠たい目を擦りながらセリが聞く。
「うん、まぁ結構時間かかっちゃったけどね」
「ふ〜ん...よく勝てたね?聞いた話によるとこのダンジョン1〜50までがギリギリ運で行ける階層で51〜100層からは実力が無いと瞬殺されるって聞いたけど」
いったいその情報どこで仕入れてきたんだろう?てかこのダンジョンってそんなにあったんだね!?と驚いているとセリが「どしたん?言えない理由でもあんの?」という感じで見てきた。
「いや〜必殺技があってだね!...てかそれならこの先セリ行けるの!?私はまだまだ大丈夫だけど...」
と話を逸し逆にセリに問いかける。そうするとセリは「う、う〜ん」と少しの間考え「まぁ行けるかな」と言った。セリ行けるんだね...恐ろしい子...
そう少し驚きながらも「それじゃあ先に行こうか。気が進まないけど...」とセリに言いボスの居ないボス部屋に入った。
そこにはもう既にボスの死体は無く中央に奥が開いていて覗いてみると、暗くてよく見えないが下に続く階段があるのが分かった。
「そし、じゃあ下に降りようか」
セリを手招きし下に降りて行くとその先には先程のボス部屋程広くないもののそれ程の広さがある空間に出た。てか龍が6体も入る空間は普通無いよな...と思いつつも進んでみると足元にぼんやり光る円状の...何かがあった。
「ん?何だろこれ...」
不思議に思っているとセリが横からニョキ とでて「...うん。これは転移陣だね」と言った。
「え?転移陣?次回層に続く奴なの?」
とセリに聞くと
「いや、これは次の階のボスに直行する奴だね」
と答えた。え〜、連戦ですか〜?疲れるよ流石に俺でも...
「どうするこれ...先に進む?」
「どうせ先に進むしか道はないんだし行くしか無いでしょ?」
そうですよねーソッチの方が絶対近いからね...
では行く準備を始めますか。あ、それならセリはどうするんだろ?今、目覚めてるみたいだし一緒に戦うのかな?聞いてみるか。
「ねぇセリ?次のボス戦なんだけどさ...セリは...ん?」
最後まで言い終わる前にセリが少し真剣な顔をしてこっちを見てきた。え?何?
「ねぇアク?」
「ん?何?」
応えると何拍か開け...
「70層のボス戦の時に戦ってたのってアクだよね?...あの姿って...」
今ッスか...
アク「今かぁ...しかもそれかぁ...」
セリ「どうしたの?何か言えない理由でもあるの?」
アク「いや、全然」




