第五十三話 過去3
後半わざとそう書きました。決して面倒くさかった訳では無いッス
朝になり同じベットで寝ていた2人は同時に起きる。
「おはよ〜セリぃ〜...」
「うん。おはよ、と言うかこんな時間に起きるなんて珍しいね」
まだベットの上だけどね。と言うセリを見ながら勇者は言った。
「まぁ何となくだけどさ今日の朝は俺が作ろうかな?って思ってさ...」
と照れながら勇者は言った。それに対しセリは「...熱でも出たの?それとも気分が悪い?」と割と真面目に今の体調を聞いてきた。
「あのね?俺だって毎日セリに作ってもらって嬉しかったからねそのお返しに...って思ったんだけど何その態度?」
と言いベットから出て下に向かった。ちなみに今いるのはセリと勇者の2人の全財産を使って購入した一軒家だ。1階と2階があり1階には勇者が気合を込めて作った木材の風呂がある。まぁ珍しい点と言えば風呂だけでその他はどこの家庭と同じような感じだ。
「ちょっと待って〜!」
セリも勇者に続いて階段を降り1階のリビングに向かった。
「久しぶりに作るから上手くは作れないかもだけど...」
と言って出したのがほっかほかのご飯、湯気が出ていていかにも熱いですよ と言わんばかりの味噌汁、最後に一番目を引く少し焦げが付いているものの香ばしい香りがする出汁巻き卵。
「と言うかこれしか作った事ないんだけどね...しかも調理実習の時だけ」
と言っているが自然と目を引くその料理は犯罪級である。
少し間をおいてセリが「これってあの時作ったやつだよね?」と聞いた。
「あ、うん。そうだね。と言うか結構な頻度で作ってるからね...まぁ俺日本人だし?歳もそんなとってないし?」
「まぁいいけどね。でも今作って良かったの?これって...」
「自分の思っている事を実体化、又は実現出来る能力。これが俺のユニークスキル。勿論これには制限が掛かっていて作った者によって自身のレベルが下がる、しかも一定値を下回ると寿命が縮まりいずれ死に至る」
この事を心配してるんだよね?と勇者が答えた。
「う、うん。いくら魔王を封印したからって平和になった訳じゃないし...それよりも命に関わるから...」
と顔を伏せながら言うセリに近づき小さい声で「...多分俺今日死ぬと思う。だからせめてもの...って事で」と言った。
「えっ!?何で...もしかして...」
「うん。多分セリが考えてる事だね。『未来予知』俺の2つ目のユニークスキルだ。これによると俺は王に呼び出されセリ...王女に無礼を働いたとかそんなで俺は捕まえられ民衆の前で公開処刑される、と見えた」
「でも私にはアレがある...」
「...ホントごめん」
頭を下げて謝る勇者にセリはどうして良いか分からず泣き出し2階へ駆け上がっていった。
「...さて行こうかな」
そう誰に言うでもなく呟き玄関に行き王に会うため足を急がせた。
勇者が作った朝ご飯の横には1枚の紙が置いてありそこには「この2年間ありがとう。色んな事があったけど君と出会えて良かった。また君に出会える事を願ってるよ。それでもし俺に出会ったら驚かず君から話し掛けて欲しい絶対に、だ。」
と妙に綺麗な字でそう書かれていた。
王城に向かった勇者
最後の抵抗を見せるがアイツに胸を突かれ捕らえられる
十字架に貼り付けられ民衆に晒されながら死んでいった
そこに1人の女が現れ民衆が大騒ぎ
その隙に勇者の亡骸を大事そうに抱き抱え逃げ出す
呆気に取られる王の騎士達
突然その場にいた人々の顔面が弾け死んでいく
それを空中から見つめるアイツ
誰も追って来るものがいないとわかりそっと地面に勇者だった者を置く
嗚咽混じりにある禁術の呪文を唱える
それに気付いたアイツは少し慌ててその女の首目掛けて手を伸ばす
術式が完成し勇者だった者の体が青白く光り宙に浮かぶ
ほっと息を吐きつつも突然体から黒い靄が出て女を包み込む
焦りつつも女の首に手を当てることができ一息をついたアイツ
突然首から上が無くなった女はその場に崩れる様に倒れる
それを見届け青く光る勇者を見るアイツ
突然勇者の手がそっと動きアイツの腹に手を翳しそっと呟いた「絶対ォ前ヲ殺スマデ俺ハ死ナナイ」
血の涙を流しながら消えていく勇者、首から上の無い黒い瘴気を纏った女
残ったのはアイツだけ
アイツは傷口にそっと手を当て癒し歪んだ空間へと消えていった...
アイツ「...」
アク「こっわ(; ・`ω・´)」




