第四十七話 おはよう
呆気に取られる勇者を尻目に来た道を戻る。道中で2、3体むっさいゴブリンとひょろひょろなゴブリンが出てきたが我が右手で瞬殺。ほんとにここ何階層なんだ?と思いつつも急いでテントに戻る。ここまで来るのにそんな時間かからなかったしすぐ着くだろう。
無事テントを見つけ入る。まだ寝ているかと思っていたがセリは布団から出てどこからか出した紅茶を飲んでいる。火、使ってないよね?
「あ、セリ起きたんだ」
そう声を掛けるとカップを置きこっちを向く。
「お...はよう?」
「おはよう。まぁいいんだけどさ...で、セリ?何か体に異常は無い?気分は悪くない?」
とアクはそっとセリに肩を掴みながら言う。
「うーん...どっかの誰かさんが鼓膜を破ったくらいしか異常は無いけど」
肩に乗った手を振りのけながらそっと言った。ほんとすんません。
「ホントその件はごめん!ちょっと調子乗りすぎちゃったから...」
若さゆえの過ちって奴だね、と言ったアクを軽く叩き「今は何とも無いし別にいいけどね...」と言い「でここはどこなの?まさかまだ魔獣に中って訳じゃ無いよね」と少し心配そうな顔をしながら聞いた。
「ありがと。うーん、魔獣の中では無いみたいだよ。さっき勇者にあったし...」
「そう...ん?勇者?」
安堵のため息を吐きなぜ勇者が?って顔をした。
「多分初日以外はダンジョンに籠もってたんじゃない?会った時「な、なぜお前が...!?」って言ってたよ。多分」
「多分って...まぁでそれでここが何階層か聞いたの?」
呆れ顔をしながらも質問してくるセリさんマジまねぇッス。
「ううん。聞いてないよ...なんかアイツキャラ変わったようにキモさが倍増した気がするし」
えっ?聞いてないの!?と驚かれるが勇者の事を言った途端にああ、そうなのね、と納得したようだ。勇者の扱い...
「だからここが何階層かわからないんだよね...まぁわからなくてもここにいれば絶対に壊れないし、壊させないから!そんな奴いたら私が瞬殺だよ?まぁ最低の食料もあるし衣食住のうち2つは確保だね。ま、いざとなったら全裸でいればいいよね。死んでも入らせないし」
と笑いながら言うアク。それに対し「ここが頑丈なのはわかったけど裸って...」と顔を赤く染めながら言った。あ、天使だ...
「まぁ半分は嘘だから気にしないで」
「うん 、だよね...え?半分って」
「取り敢えずご飯にしようか 、お腹空いたでしょ?」
アクが聞くとセリのお腹が「きゅぅ」と鳴り「だよね」とアクは笑いながら外に出た。勿論セリの顔は真っ赤だ。
アクに続きセリも出るとそこにはいそいそと準備を始めるアクの姿が
「ね、なんか手伝う事ってある?」と聞くと「うーん...んじゃちょっとここ整地して貰える?流石にデコボコし過ぎてるからさ」と言った。
(...ん?今整地しろって言ってた?嘘でしょ?)
と、声には出さないものの驚きが隠せないセリ。流石にご飯の準備で整地は無いだろ、と思ったセリだった。
セリ「え?こんな狭いとこに私達入ってたの?」
アク「フッフッフ...時代は進歩する!」
セリ(なんか違う...)




