受験日の朝
グラント王国の首都、サフィー。そこは仕事と活気に溢れる素晴らしい場所だ。仕事なんて、探せば2分で見つかる。カップラーメンを作るより早い。
そんなクソ忙しい中、クソ暇な男が1人。
その男こそ、ルーク・カルヴィンの父親、ディラン・カルヴィン。
あろうことか、この男は職も探さずにカップラーメンを作っている。
……これだけ聞いていればただのニートだが、彼はそこら辺のニートとは訳が違う。ニートなのに、ちゃんと稼げているのだ。
それは、彼の特殊な職業のおかげである。
その職業とは、特殊部隊隊員。非常時にはとても重要な役割を果たす。
だがそれは、裏を返せば非常時意外はやることがない、という事だ。
故に彼は今ニートでありながら、稼げている。
彼はこんな生活をしているが、戦闘においてはとても優秀だ。一緒に訓練していてとても強いと感じられるし、特殊部隊に入隊するには最低三浪と言われているのに、一発で合格したという事実がそれを裏付けている。
彼はエリートであり、同時にニートなのだ。意味は真逆なのに発音似てるな。
そして、実は今日は、ルークの高校の受験日だったりする。
「うまっ! やっぱラーメンは鶏ガラに限るよな!」
知らねぇよ。なんで息子の受験日にのんびりラーメン食ってんだよ。
ルークはそういいたい気持ちを堪えた。これでも一家の大黒柱だからだ。
「お前もラーメン食うか?」
「何で受験日にラーメン進めんだよ!?」
「うまいから?」
「味の問題じゃないから! 絶対消化に悪いでしょそれ!」
「大丈夫だ。俺も特殊部隊の入隊試験の日、チ○ンラーメン食べてったから」
「よくそれで受かったな!」
色々とやり取りがあった後、母、アリシアが作ったおにぎりを食べ、家を出る。
この国の高校は、主に二種類ある。
一つは、学業専門の学校。
もう一つは、戦闘専門の学校。
若い頃から学業と戦闘に分けて、どちらかに集中させようという狙いだ。
中学までは皆一緒に勉強をするので、戦闘専門に行った人も最低限の事はできるようになっている。
校舎は、闘技場がある戦闘専門の学校がとにかく大きい。小さいものでも学業専門の学校の二倍はある、というくらいだ。
その校舎があまりにも大きく、目立ち過ぎている高校が一つ。
今からルークが受験する、サリヴァン戦闘学園である。