草創期 《魔界商人1》
※今回は性的描写と超残酷描写があります。どちらも物語上必要なので…飛ばさずに読んで下さい。て言うか、これを書いた僕も胸くそが悪い。
あと、今回はセイラム姉さんは少し、アーカム少年は出ません。次回は出します。今回の物語上出せなかったんだ!
ゴメンね。
《魔界商人》ことセイラムは落ちこぼれであった。
アビスの血統であり、〈サバト〉の長の娘であったセイラムは幼少の頃から厳しい教育を受けた。
彼女の他にも多くの女の子が教育を受けていた。勿論、彼女の姉であるセラエノとルルイエも例外ではなかった。
「こら!セーラム!なんで!こんな基礎的なことが出来ないの!原素石に原素を入れる単純な作業なのに!」
家庭講師の魔女が吠える
「見なさい!貴方のお姉さん方を!セラエノは、順当に優秀な成績を出しており、ルルイエに関しては、飛び級をしているのに!何で!こんな基礎的な事が出来ないの!あなた!それでもアビスの一族なの!」
当時の私は落ちこぼれだった。優秀なセラエノと天才のルルイエと違って、何事も上手くいかなかった。母と姉達は、そんな私を「大丈夫だよ」と慰めてくれたが、周囲はそんな私を糾弾した。
アヒルの恥さらし…魔女の面汚し…サバトの害獣など、エスカレートしていき、学校ではイジメが絶えず、退学…家庭教師を雇ったが
バシリ
と鞭を使って虐待し、たまに魔法を体で覚えるという名目で魔法を打ってくる。
そのため、体の見えないところではいつも傷だらけであった。当時の私はイジメや虐待が異常な事と思っておらず、むしろ当たり前…いいや、落ちこぼれな私のために誠心誠意でやっていることと本気で思い。感謝していた。
勿論、今も感謝している。
なぜなら、彼女らのおかげで、私は<魔界商人>になれたのだ。
あるときの寝室…私は、夜遅くまで勉強をしているルルイエや、他の魔女達とパーティーをしているセラエノ、そしていつも忙しい母と違って、いつも一人で食事をし、一人で寝ている。
私の部屋はとても狭い。食事はいつもこの部屋で食べている。使用人が運び、下げるのだ。使用人とは一度もお話しをしたことがない。
そんな私の趣味は、落ちのこぼれの私にとっては意外にも思えるかもしれないが、読書である。私がいつも読んでいた本の題名は
〈黒の聖女〉
この本はたまたま、一人で外で遊んでいた時、たまたま通りかかった行商人からくれたものだ。この本を貰った時、彼女は私に不思議なことを言ったのだ
曰く
「ここ本はとても危ない本なんだ。お嬢ちゃん以外は、誰にも読ませてはいけないし、教えてはいけないよ。もし、この約束を破っちゃうと、お嬢ちゃんの大切な人が死んじゃうんだよ。わかったね?」
と、
そして、本の内容は
昔、昔あるところに、一人の対称的な姉妹がいました。大変美しいお姉さんの名前はアビス、それに対して地味な妹ちゃんの名前はレムリアといいます。
二人は大変仲良しで、いつも遊んでいました。
レムリアはいつもみんなの中心に立ち、とても賢く、優しい姉が自慢でした。それに加え、自分は姉と違い、臆病で、頭が悪く、自分のことに精一杯なため、姉の尊敬はますます増えるばかりでした。
(…まるで今の私…優秀で、優しいセラエノ、頭がとても良いルルイエ…そんなお姉ちゃん達が好きなの!)
だけど、だんだん時代が経つと、周囲の女の子が二人の仲を裂こうとします。レムリアはいつもイジメに遭い、姉に会おうとすると邪魔が入り、いつも遠くで見るだけになりました。
それでも、彼女は幸せでした。なぜなら姉が輝いているからです。ある時、レムリアは素晴らしいことを気付きしました。自分がいると素晴らしい姉の足手まといになるということに。、そのため、彼女はある時、こっそり家出をしました。姉の絵を入れた小さな鞄を持って…
翌日、レムリアがいなくなったことにみんなは驚きました。だが、驚いただけで誰も探そうとはしませんでした。親もレムリアがいなくなって清々したと言いました。
そして、アビスは、というと
レムリアを恨みました。昔からずっと一緒だよ、と約束したのに…絶対に離れない、と言ったのに…最近は私と会ってくれなくて、とても寂しい思いをしていたのに…こんなにも愛してるのに…なんで、私を捨てるの…
アビスは賢い子でした。だんだん、成長すると、周囲のうす汚ない下心がだんだん見えるようになり、人を信用出来なくなりました。勿論、親も例外ではありません。唯一信用出来るのが、純粋な心を持つレムリアだけでした。
姉のそんな気持ちを露ほども知らないレムリアは、邪魔な自分が消えて、姉はもっと素晴らしくなるだろうと思い、純粋に喜び、旅をしました。いくつもの優しさに触れあい、助けられながら…時には、騙されたりして、お金を取られたり、奴隷に売られたりしましたが、姉の絵を眺めて寂しさを拭いながら逞しく生きました。
レムリアがアビスの下を去ってから10年、レムリアは旅を続けていました。困った人がいたら助け、お礼として一晩の宿と、ご飯をおごって貰う。ささやかで楽しい旅です。勿論、毎日がそんなものではなく、野宿が殆どで、食事は木の実や、虫、野草、動物などがもっぱらですが、それでも楽しい…ただ一つ、アビスに会えない寂しさだけは拭えません。いつもの夜は大事にしてる絵を眺めては静かに泣く毎日なのでした。
彼女が旅をしている時代は魔女狩りの時代でした。世界中で、大勢の魔女が捕まえられ、殺されていました。一人で旅をしているレムリアは落ちこぼれであったため、魔法が殆ど使えず、且つ、使わなかったため、誰も魔女とは思いませんでした。
ある時、ふらりと立ち寄った町で一人の魔女が捕まえられているのを見かけました。よく見ると、その魔女は昔、レムリアをイジメていた女の子でした。彼女がアビスに会おうとすると、いつも邪魔をしてきた女の子です。
その夜、レムリアは捕らえられた魔女が気になって眠れませんでした。そして、こっそり宿を抜け出し、彼女が捕らえられている牢獄に侵入しました。そして、彼女が捕らえられている牢屋の鍵を開けて、解放しました。
「ありがとう…貴方…名前は?」
捕らえていた魔女が問う
「私?私はレムリア…」
「ッ…、あの!あの!レムリアなのッ!」
魔女は目に見えるように狼狽える。
「うん、私の事を知ってる貴方に、お願いがあるの…私、お姉さまに会うことが出来ないの…だから、この鞄をお姉さまに渡して!」
レムリアは旅の間、いつも肩身離さず持っていた鞄を魔女に渡す
「どういう…アビス様に会えないってどういうことなの?一緒に行きましょう!私たちの故郷へ!」
レムリアは静かに首を振る
「私がいるとお姉さまの邪魔になるの…私みたいな出来損ないが近くにいるとお姉さまの価値が下がる。お姉さまにはずっと輝いて欲しいの。出来損ないの私でも唯一、お姉さまのために出来る事がこれだけだから…だから!早く行って!」
レムリアに急かされて
魔女は大急ぎで消えました
翌日、町の人々は捕らえていた魔女がいなくなったことに驚きました。町の人々は必死に犯人を探しました。そして、レムリアが捕まってしまいました。彼女が昨日の夜に牢獄に入ったところを見た町娘がいたのです。彼女の証言によりレムリアが犯人だとわかったのです。
そして、宗教裁判が開かれ、
結果は
勿論、
「処刑を始めなさい!判決は後に行います」
処刑前日…魔女を確実に殺すために、教会から祓魔士が呼ばれました。エクソシストはまず、呪いをかけられないために、目玉を抉り取ります。次に、呪文が唱えられないように、喉を切り裂きます。次に印が結べないように、全ての指を切り落とします。次に逃げられないように足の腱を切り裂きます。最後に処女は死刑に処してはならないという教会法があるため、強姦し、不浄の穴も犯す。
処刑当日…魔女の処刑は普通の処刑と違い、一般の民衆の目に触れないように行われる。これは、魔女の魂が一般人に憑依するのを防ぐためだ。
魔女の処刑は火炙りではない。火炙りすると、魂が解放されるからだ。魔女の処刑とは魔女の肉体と魂を封印することである。
複雑な陣や文字が刻まれた石の棺桶のなかに、変わり果てたレムリアが横たわっていた。
エクソシストは今から処刑する魔女を尊敬の眼差しで見る
(この魔女はあらゆる辱しめに耐えるどころか…喜んで受け入れてた…痛みを快楽としてではなく…痛みを痛みとして受け入れ、まるで聖女のような慈愛に満ちた笑みを浮かべていた…人に触れることが出来ない、不浄の身の俺を、まるで母のように…彼女こそが…聖女なのかもしれない)
エクソシストはレムリアの心臓めがけて、破魔の木の杭をゆっくり差し込む。
木の杭を木槌で打ち込む。
ゆっくりゆっくりと深く深くと差し込む
レムリアはそれを笑って受け入れた…美しい笑みを浮かべながら…
エクソシストは短剣を取り、首を切り落とす。
「ふぅー、終わった。こんなにもむ虚しい事はない…この仕事に誇りを持っていたつもりなのだが…」
レムリアの遺体は石棺に入れられた。棺のなかには魔除けの花を沢山入れて、棺には銀の鎖が巻かれ、地中に作られた石部屋に安置し、入り口には思い石壁で塞ぎ、地上に繋がる入り口には思い石板で封じた。
傍には1輪の可憐な花が添えられていた。
その花の名前は、
レムリア
花言葉は…
魂に安らぎを…
レムリアたん…凄い…次回…黒の聖女はまだ続きます。