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初期 《フランク4》

今回は何かスッキリしない感じ

フィリップはヤンとボレスラフと共に船旅を満喫していた。


「助かりましたよ!流石はヤン殿、皇帝(ツァーリ)ユスティニアの心の同胞(親友)と言われるのも頷けますなぁ。こんなにも簡単に会談の場を整えてくださるとは、感謝しますよ!」

フィリップは上機嫌にワインを喉に流し込む


一方で二人はあまり上機嫌にはなれない様子だ。


「フィリップ殿…本気ですか…」

ヤンは尋ねる


「ええ、勿論ですよ」


「だけど、帝国(ツアラ)が動くとは思えませんが…」

ボレスラフは眉間をしかめる


「大丈夫ですよ。私にも対策がありますから」

フィリップは終始ご機嫌の様子であった。




数日後…



「流石に大きいですね!これが…世界最大の都…ビザンティウムですか!」

フィリップは子供のように大はしゃぎする


ヤンはその様子を面白そうに眺める一方、ボレスラフはポカーンとしていた。



ここは人口100万を超える世界最大の都市…ギリシア帝国(ツアラ・ヘレン)の首都ビザンティウム…アフリカ、アジア、ユーロピアの三世界の中心地、世界の十字路である



一行が船から降りると…



「会いたかったぞ!心の同胞()よ!」

とある男性がヤンに抱きつく


ヤンも同じように抱きつけ応える

「こちらもそうでしたユスティニア陛下!」


お互い熱い抱擁を交わした後


「ヤンよ…余のことはユセフと呼んでも良いのだと何度も言ってるが…未だに呼んでくれるのぉ…」



ヤンは苦笑する



突然現れた皇帝(ツァーリ)はフィリップの方を向く


「そちがフランク国王フィリップか…今回は友の頼みであったが故、特別に許そうぞ。では、皆の者!ついてまいれ!」

颯爽とマントを翻し、堂々と突き進む

彼の名は、ユスティニア…世界最大の超大国の王であり、世界の頂点に君臨する男である。




そして、何故か徒歩で大宮殿である聖宮殿(サライ)に向かった。しかも護衛を一人もつけずに…



長い時間をかけてようやく到着し、そのまま食事の席へと案内された。





「さて、客人よ!この場には古今東西あらゆる美味珍味が集まっておる。遠慮なく飲み食べるが良い!」


長大なテーブルにはこれでもかと多くの食材…酒…果実水が並べてある。



ユスティニア本人はガツガツと食べ始めた


「うむ、美味であるぞ!遠慮なく食べるが良い!まぁ、残ったら下賜するだけだがのう!」




その後、四人は食事を楽しみ、大浴場で汗を流し、寝室に呼ばれた。




フィリップはこれらの行動に導かれ、一つの解答にたどり着く




…閨房外交



今はほとんど行われなくなった古典的な外交手段である。

そして、これは秘密外交であり、決して他言無用であるが、その分信用はされてはいるようだ




「入れ!」



三人はユスティニアの寝室に入る。




そこは至ってシンプルであった。こじんまりとしたベッドと簡単な作業場があるのみであった。




「で、話とはなにぞ?」

ユスティニアが切り込みかける



「今回は我々の現状を陛下にお教えねがたく、そしてわずかな力をお借りできればと…」

フィリップは安全策に出る



「良い!目的はわかっておる。結論から言おう!無理だ。ユーロピアは辺境…我が帝国(ツアラ)の敵とは即ち、アジアとアフリカじゃよ。仮に、ユーロピアが統一されようとも、所詮小火程度のこと。我らの敵ではあるまい。だが、我らに楯突くのなら、その時は滅ぼそうではないか」

ユスティニアははっきりと拒絶する



ヤンとボレスラフは首を振る



「そういえば、今西ユーロピアの王冠はゲルマニスクに渡っていますが…」

フィリップはなお詰め寄ろうとするが…


ユスティニアは手をあげ制止させる


「もうよい!余は眠い。そして興味も失せた。また明日にしようではないか」



フィリップはため息をついた。そして部屋から去った



「ふむ、アレがフィリップか…なかなか面白い男だ。さて、余をどのように動かすつもりかな?今日は良い夢が見られそうだ」

ユスティニアは静かに眠りに入った



翌日は、共に朝食を食べ、城外を散歩し、普通の食堂で飯を食べ、色々と庶民的な遊びをした



夕食の場で…



「フィリップよ!何か余を落とす方法は考えたか?」

ユスティニアは楽しそうにワインを流し込む



「多分そちらはユーロピアの情勢は把握していると思いますが…」


「勿論ぞ、今フランクは東西南北を包囲されて動けない状態にあり、ボヘミアとヤゲローは危険にさらされておる。このままいくとボヘミアは滅ぼされるだろう。そして、最後の頼みが我とは…」

ユスティニアは呆れる



「そして、このままでは断られると思いましたので、遥か前に準備をいたしまして…日程的に今日がその日だったと思います」

フィリップは薄く笑う



ユスティニアは怪訝そうな顔をする



その時、扉が突然開き、一人の男が入る


「ガイウスか…何事ぞ?」



大将軍筆頭上将軍のガイウスであった

「陛下…お知らせしたいことがございます。一つはローマが帝国(ツアラ)に突如侵攻し、ユーゴスラヴィア領の西側を併合しました」



その言葉にユスティニアは高らかに笑う


「なるほどなぁ…我が国は六神教を信奉しておる。故にルナ神だけでなく、他の神を信奉してる者も数多くいる。そして、老神を信奉してる者もいれば、ステラを信奉してる者もいる。そしてユーゴスラヴィア領の西部は比較的女神を信奉してる者が多い地域だ。何をしたフィリップ?」

ユスティニアはあくまでも楽しそうに笑う



フィリップはこの男の怖さを知った。この男にとって世界は遊びなのだ。例え、どれだけの人が死のうとも彼は子供のように無邪気に笑い続けるだろう。その精神がこの国を形作ったといってもいいだろう。


…勝てない



「独立派に接触して、武装蜂起を行わせました…<フーシェ>を使い、民衆を扇動、攻め込まれやすい環境を作り、攻め込ませました」

フィリップは観念して淡々と説明を始める


「しかし、ローマは良く攻めようと思ったのぉ…一応超大国に戦争を行うことがどういう結末になるのか考えればすぐにわかると思うがのぉ」

ユスティニアは子供のようにはしゃぐ


「ローマは一枚岩ではありません。中には多くの派閥がおり、女神を信奉している土地を全て併合すべきだという過激派が多くいます」


「それらを呼んだのか?」


「ええ、それだけでなく。帝国は(ツアラ)はアジアとアフリカとの戦争で国内は疲弊しており、辺境のユーロピアには目がいかないという情報を教皇を筆頭にし、ローマ全域に流しました」


「ほほう」


「過激派だけでなく、多くの派閥の支持のもと攻め入ったわけです」


ガイウスはこれらのやり取りをジッと見つめていた


「で、ガイウスよ。一つ目は、と言ったが…二つ目は何だ?」


ガイウスは姿勢を正す

「はっ、バグダードが陥落しました。日が昇る地(マシュリク)は滅びました」


その言葉に、フィリップは顔を真っ青にする


「うむ、では、中央将軍を呼べ!軍をまとめて、国内にいるゴミを追い出すが良い」

ユスティニアは笑う


「フィリップよ。そちが今回の状況を作ることはお見通しよ。ローマが我が国に攻め入ることははるか前に知っておった。だから敢えて泳がせてみたが…はっきり言おう。つまらぬ!余とガイウスが思い描いた光景と同じではないか…もっと違う景色を見たかったのぉ」

ユスティニアは手をひらひらさせ、退室を促す



「はじめは首都ローマを土産にする算段であろう思ったが…全土を併合させてもらおうではないか!」



その言葉にフィリップは崩れた。






帰りの船で…



「この後はどうする…このままではローマとゲルマニスクは滅ぶだろう…」

ヤンが表情を暗くする


「ええと、どうしてゲルマニスクも出てくるの?」

ボレスラフは尋ねる


「多分、ローマが攻め込まれると、ゲルマニスクは軍を出すだろう…そして、王冠を奪還するために軍をゲルマニスク方面に出すだろう」



みんなの表情は暗い…その中でもフィリップは必死に頭を働かせていた。



この災厄を挽回する方法を…



帰国した後も考えた…夜も寝ずに…必死に盤面の駒を動かした



そして、考えに考え…ついに…



「出来たぞ…この災厄を挽回する方法を…」





フィリップはペンを取り、四通の手紙を書き、使者に送らせた。





手紙は数日後、それぞれの王たちに届いた




ゲルマニスク、ローマ、ヒスパニア、アルビオンの王たちの手によって…




手紙の最初にはこう書かれていた






五国合従と…



なんか壮大なことになりました。

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