早期 《真実2》
今回は( -_・)??となると思いますが…いずれ謎が解けますのでお待ちを!
僕は夢を見る…
忌まわしき奴に出会った夢を…
あれは…僕がセイラムに拾われて7年が経った時…
その時、僕はセイラムと大陸東部の森の中にある小さな小屋に暮らしていた。とても静かな森だ。
たまたまセイラムが出かけに行き、お留守番してると…
誰かが扉を叩く。
この小屋の周辺にはセイラムが張った結界があるため、僕とセイラムしか入れない。
僕は何も疑わずに開けてしまった。
ああ、開けなければ良かったと後悔するが遅い
目の前には小柄な少女がいた。不思議な服を着た少女だ。
僕はマジマジと観察する
上着とロングスカートが一緒になったような服を体に巻き、腰には幅広の長い布を巻き付けて固定してる服装だ。靴は板の上に足を置き、親指と人差し指の間にある革紐で足を固定してる。
「Enetemijah Awitinok Amasina. Atutakatia!」
謎の少女は抱きつく。
彼女は一旦僕を離し、懐から短刀を出し僕の胸に突き立てる。
「ゴフッ…」
僕はその当時は意識が途切れるが…夢の僕はその後の光景を見ることが…いや、見せられる。
彼女は短刀で胸を割き、心臓を取り出す。そして心臓を見て、うっとりとした顔をし、口づけをする。一回ではなく、何度も何十度も何百度も行い…突如咬みちぎって咀嚼を始める。その間、彼女の指は下腹部にのび、淫らな行いを始める。
きれいに完食した彼女は僕の空っぽになった胸に新たな心臓を…真っ白な、まるで大理石のような心臓を差し込む。
後でセイラムに教えて貰う事になるが、これは天使の心臓らしく、月の石と呼ばれる魔導具の貴重な材料らしいが…普通の天使にはなく、一部の天使にしか備わらないらしい。
そして、彼女は手に青白い紐をいつの間にか出し、傷口を綺麗に縫い始める。彼女はそのままにっこり笑い、僕の全身を丁寧に舐める。これはセイラムが帰ってくる少し前まで行っていた。
「Enatam Amasina」
今ならわかる彼女が話した言葉は天使達が話してる…神々の言葉を…
彼女は僕の事をこう言った
お兄様と…
誰なんだ彼女は…
意識を吹き返してからこのような悪夢を毎日見るようになった。
そんなときに奴が突如現れた。
「君は誰…」
全身大理石のような純白の体をした石像のような存在がにっこり笑った。
「私の名前はナイアーラトテップ…旧き神々の眷属であり、旧支配者に連なりしものであり、旧き者共の一つである」
彼女はニヤリと口元を緩め…
僕に抱きつく
「今、貴方の胸にあるのは私の心臓よ。ありがとう、貴方のお陰で元の姿に戻れたわ。特別に私の事をニャルと呼ぶことを許してあげる。お礼に貴方の願いを叶えてあげる…何がいいかしら?」
ニャルはイヤらしく口を歪める
「別にいい…」
僕は本心から願った
「あら、そう?まぁ、決まったら教えてね♪じゃあ、しばらく貴方の体にいるわ。まだ、力が戻ってないからね。よろしくねぇ」
これが今後長い付き合いとなるニャルとの出会いだ。
あれ以降、コイツと付き合っているが、正直言って鬱陶しい
だが、コイツと付き合って、僕なりにコイツの正体が少しだけわかるようになった。
コイツは無数の意識の集合体だ。統一した意識を持たない…意識の連続性で存在しているから、行動は支離滅裂だ、しかし、僕の体に寄生することにより、ある程度無数の意識は僕の味方にまわり、結果的に友好的だ。
ある日、こいつの話を聞くと、驚いたことに旧神と女神との間に生まれた子供たちの一人らしい…だが、僕はそんな話は聞いたことが無いし、セイラムに聞いてもナイアーラトテップという天使や神など聞いたことが無いと言っていた。本当かどうかは知らないが、コイツは女神である母に協力して父である旧神を無限の闇に封じ込め、その功により織天使になったが、その後女神に反逆し父の側についたらしい…で、長い抗争の果てに女神によって体は吹き飛ばされ心臓である核だけ免れたと答えているが…本当であり、嘘であろう。
二度繰り返すが、コイツは意識の集合体だ。その記憶はコイツの物であって、コイツの物ではない。まぁ…そんなことは関係ない。
コイツの力でセイラムが守れれば、それでいい。
そう思っていた…
何時からかコイツは僕が夜な夜な見る夢についてしつこく聞くようになり、コイツと出会う前に起こった…謎の少女に殺される夢を見る教えてやったら勝手に納得し、契約を持ちかけた。
…その夢を見れないようにしてあげようか?
ああ…何で僕は逃げたのだろう
こんなおぞましい代償を払うことになるなんて…
俺はある時、契約してしまった…
夢を見ないようにしてもらったのではなく…もっと別の…大切なものを護るために…
僕は願った…何を願ったのかは、もう覚えていない…
その代償は…
セイラムをこの手で闇に帰すこと
ああ、なんて僕は愚かなのだろう…




