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調査

神楽中央高校・1ーA教室。


「あんたバカなの? そろそろ、くたばればいいのに……」

「委員長、本音が出てるよ」

教室の前でツインテールの少女、クラス委員長の大神早紀(おおがみさき)に足止めされる。

瑠架、総司と同じく四狼神を祖先に持つ。つまり、親戚。


「いっつも、総司先生に迷惑かけて。あんたなんて、山奥で(こけ)でも食ってればいいのよ」

「やだね。暇だし、それに(こけ)は美味くない」

早紀を無視して教室に入ると

「よく来れたもんだ」

「……あんな、事件の後で」

大神本家の息がかかった人間から刺すような視線。


(まあ、分かってはいたけど……)


今日はいつもに増してピリピリしてるな、と瑠架は肩を竦める。


「事件が事件だからね。多分、朝の集会で、今日の授業は午前で終わるって校長先生が言うと思うわ」


早紀の言った通り、授業は午前で終了。

教師たちが周囲を見回りながら、生徒たちに早く帰るように促している。


「で、お前は何でオレの後をつけて来るんだ?」

瑠架が振り返ると

「……総司先生に、頼まれたから」

嫌だけど、と早紀。


「診療所とは、反対方向じゃない!!??」


動揺した早紀に


「お前、結構ドジだよなぁ……」


瑠架が言った。


向かう方向には、二人の屈強な警官。


「ここ、昨日の事件現場の近くじゃない」

「ああ、やっぱり簡単には見せてもらえないかもな」


瑠架と早紀を見て


「こらこら、ここから先は立ち入り禁止だって」

「またか。これだから、学生ってのは……」

さっきも噂好きの学生が来たらしく、警官たちは呆れ顔。


「ちょっと、ちょっとでいいから調べさせて」

「ば、バカ瑠架」

早紀は、瑠架のブレザーの袖を掴むと

「帰るわよ」


「あれぇ、るっきーとさっちゃん」

気の抜けるような軽い声。

赤髪のオールバックの青年を見て

「……出たな。導士の腰巾着」

(ほむら)兄さん……」

大神焔(おおがみほむら)、神楽中央高校二年生。

本家の人間ということもあり、導士と同じく警察にも顔が効く。

「あの、お知り合いで?」

「ああ、親戚。通してあげて」

大人を従える焔を見て

(これが、格差ってやつか)

瑠架は顔を顰める。

「やっぱ、あれでしょ。犯人は、犯行現場に戻るってやつ」

相変わらず軽い調子で聞く焔に

「はぁ? ふざけるなよ。犯人は、オレじゃない。鬼の血が混ざってるから吸血鬼って、安易すぎだろ」

導士と腰巾着は頭がお花畑だな、と瑠架。


「あっそ。まあ、こっちは調査終わってるからさ」

後は好きにしたら、と焔は踵を返した。











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