声
『全く君は…… どうして簡単に諦めてしまうのかな?』
「誰だ……?」
『キミを知る者だ。そしてキミの味方だよ』
「信じられないな」
『まぁ信じても信じなくてもいいけど、キミにここで死なれると困るんだよね』
「! 僕は死んだのか……?」
『このままならそうなるね。けど助かる方法もある。キミの力でね』
「僕の力?《死滅者の掌》じゃ亜空間の力には抗えない」
『そうだね、掌なら絶対に勝てない。けどキミにはまだ自分が理解していない力がある』
「…………」
『キミの本質はむしろもう一つの方の力にあるんだ』
「本質……?」
『クロノスって知ってるかい?』
「ギリシア神話の農耕の神、または時の神、か?」
『良く知ってるね。今僕が言っているのは後者だ』
「それがどうしたんだ?」
『時の神 クロノス、キミの本質はクロノスが司る時が大きく関係している。まぁ厳密に言ったらキミ達、なんだけどね』
「時……」
『あぁ、キミは《時の死滅者》だ。奴らを殺すためのね』
「何の話だ……」
『おっと、そろそろ限界だ。キミのリミットを外しといた。それでどうにか生き延びてくれ』
「ちょっと待て……!」
謎の声が遠退いていくと共に、黒の世界に光が差し込み始めた。




