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チート‐その6 ~ 審問の結果と裸の王様の処遇に関しての顛末

「こほん!」


微妙な空気を払いたかったのか。

司法官のシェリエが軽く、上品に咳払いをした。

そして、机の上に黒い革製の装丁が施された閻魔帳?と思われる大きな台帳と羽ペンを取り出す。

「では、これより審問を開始します。被疑者は……」

「ふごっ!」

「え~……、そこの汚いポーク●ッツを晒したHKでいいのかしら。で、名前は”フゴ”と……」

「は? おいおい……」

ポーク●ッツが異世界にもあるのか?という事実も衝撃的すぎるが、

何事もないようにその……男性のシンボルを直視してリアクション無しというのもアレだ。それに名前が”フゴ”って。それはないだろう、いくらなんでも投げやりすぎる。

「あら。どうかしたのかしら」

「や、どうしたって……!」

流石にこらえきれず突っ込みを入れようとしたら、ライラに肘で突かれた。

(なんだ?)

目で問うと片目ウインクをされた。

どういう事だろう?ちょっと想像が回らないが「何もしゃべらないほうが良い」という意思は伝わったので大人しく黙っておく事にする。


ああ、そうだ。一応田沼君のほうも……

「ぽ……ポーク……」

と思ったが、初心な青年は女性が男性の象徴的なアレを風刺した強烈な発言に赤くなっており硬直中。この様子では、まあ発言なんて無理だろうから放っておく事にした。


「よろしいですね。それでは続けます。被疑者は、職業は?」

「もごっ!」

「職業は……”モゴ”と……」

極めて事務的な口調と共に、さらさらと調書は書き進められていく。

「で、これが一番重要なのですが……」

鋭くキラリと目が光ったような気がした。

「……出身は?」

「ウゴッ!」

「よろしい。”ウゴ”の出身と……」

「ぶっ!」

「そこ、煩いですよ。それにしても、『ウゴ』の出身……、困ったわ。聞いたこと無い地名だわ……」

と、ここで悪い笑顔のままライラが言葉をつなげた。

「そうね。私も冒険で色々な地を旅しているけれど近隣の国には無い地名だわ」

(そりゃあ、そうだろうな……)

「なるほど。では、衛兵の方。次に罪状をお願いします」

「は」

短く答えた衛兵が敬礼すると犯罪者はだかのおうさまのご乱行を申し述べる。

「被疑者、”ウゴ”出身の男”フゴ”は不思議な…」

「こほん!」

「……失礼いたしました。不思議な奇術を用い、そちらの女性に乱暴を働くことを目論みましたが抵抗に遭い、結果的に未遂に終わりました」

「わかりました。つまり、近隣の国ではない、おそらく別大陸から渡って来たであろう旅人の男”フゴ”が奇術を用いて犯行に及ぼうとしたが、未遂に終わったという訳ですね」

「ムゴッ!」

男性の誇りをdisられ続けた青年、羽村が抗議の声を上げるが衛兵に制された。

「被告人は静粛に!」

うわ、茶番過ぎる……。

つまりアレか。巫女でありこの王国の姫が召喚した日本人とは関係ない、外交上も影響のない別の大陸から流れ着いた旅人の犯行という事にして……事案自体を揉み消すと。


「事情は分かりました。それでは、そこのポークビッ●に刑を言い渡します」

おいおい。せめてフゴだかモゴだか知らないが名前で読んでやれよ……。


「一つ目。その怪しげな奇術の使用を制限する為、パンツを履くことを禁止します」

「ムグッ!」

「ただし、ズボンは忘れず履いてその貧相な物体は隠すように」

「ムググッ!」

言い渡された男の顔が真っ赤だ。まあ、気持ちはわかる。

「そして、二つ目。社会奉仕活動に従事すること。具体的には、”壊滅したシュクラ村の復興ボランティア”を命じます」

「壊滅? 何かあったのか?」

これは俺の声だ。一体何かあったのか。

「ええ。王都から半日程の距離にあるシュクラ村は低級モンスターが大量の群れで行進する”大行進”という自然災害に巻き込まれてしまったの。人はなんとか退避出来たのだけれど、建物が全て全壊してしまったの」

「物騒な話だな」

「ええ。確かクラキさん、貴方は”建築家”の異能があるのよね」

「でも”妄想”が付いてるし、試した事も無いぞ」

「でも向こうの世界でも建築に携わってきたと聞いています。その知識も活かして復興をお願いしたいわ」

「罪を償うのは俺ではないが」

「ええ。貴方には報酬を出します。その犯罪者は……そこでこき使ってもらえれば良いわ」

「なるほど。一件に関わった連中はしばらく王都から姿を消していた方が助かると……」

「さて。何の事か分からないけれど、犯罪者の”フゴ”と召喚した異世界人の容姿が似ていればビックリする人が出るかもしれないし、一緒に当事者の貴方達の姿が有れば色々な憶測を呼ぶ事は間違い無いわね」

「で……人員は?」

「素直に理解してくれてありがたいわ。で、工夫のあてだけど、当事者の村人が協力するわ。あと、予算を渡すからそれで自由に募って良いわ」

「了解した。良い落し所だと思う」

「……何の事かしらね。それと、ライラは……」

「分かってる。”建築家クラキ”の護衛の任務、ね。了解よ」


こうして俺達はそのシュクラ村とやらの復興に赴くことになったのであった。


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