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第3話

過去編に突入!

物語が動き出す・・・かも・・・

天羽(あまは)、これに目を通しておいてくれ」

「分かりました」


どうして朝からこんなことを考えてしまうのか。

そんなことを思いつつ葉月が自分のデスクにつくと、待ち構えていたかのように上司が書類を差し出してきた。

手渡された資料をパラパラと捲りながら、何気なしにちらりと男に視線を向けるとその肩がほのかに濡れていることに気づき、雨など降っていただろうか、と葉月は首を傾げる。


「・・・主任、肩、濡れてますよ」

「あぁ、外に出たら雨が降ってたんだ」


(さっき)は晴れていたんだが、と呟く主任の声は葉月の耳には入ってこなかった。

吸い寄せられるように窓の外に目をやると先ほどまでの明るさから一転、薄暗くなっていた。


色濃く残る彼の香りのせいだろうか、微かに耳に届く雨音に葉月は不意に男に出会った日の記憶が蘇ってきた。


****


「ふふ、昨日は楽しかったわ」

「あぁ」


艶っぽい女の声と気だるそうな男の声が聞え、玄関を開けようと扉に手を掛けていた葉月はため息を零した。

また違う女の声だ。

こうも毎回、毎回違う女性を部屋に連れ込んでいったいお隣さんはどういった人なのだろうと疑問がわく。葉月が家を出るときも帰ってきたときも隣からは人の気配がするためいったいいつ働いているのか、どんな仕事をしているのかさえ分からない。


結局、今日もカツカツとコンクリートをうつヒールの音が遠ざかり、聞えなくなるまで玄関の扉に耳を当てる。

やがて、音が聞えなくなると、ゆっくりと扉を開け外を確認する。

これじゃあまるで、葉月(わたし)の方がやましいことがあるみたいに見えてしまうので嫌なのだが。

・・・まったく、何で私が気を使わにゃならんのだ。

しかし、鉢合わせをしたくない葉月としては自分が気をつけなければついうっかり出会ってしまうことが分かっているので仕方が無いと割り切ることにしている。

出勤前にそんなことを気にしながら家を出るこちらの身にも少しはなってほしい。


「・・・じゃあ、なに?あんた、毎朝お隣から女が出てくるのを待って出勤してんの!」


笑いをかみ殺しながら友人が聞いてくる。

人事だからだろう、とても楽しそうだ。


「仕方ないじゃない、隣から女が出てくる時間と私が出勤する時間がなぜかしら被ってるの」

「くっ・・・安っぽいドラマにみたいに女追いかけて出てきた男と鉢合わせでもしたら面白いのに」

「・・・隣の人の顔知らないから、エントランスであっても確実に分かんない」

「つまらん。てか、ほんとどんな仕事してるのかしらね、そのお隣さん」


小説の読みすぎか、妄想のでもしているのか、友人は「謎のお隣さん」などと言って笑っていた。


「天羽、引越ししたのか?」


そういってラウンジに入って来たのは木之瀬だった。


「盗み聞きですか、主任」

「それは隣にいる人間が静かだった場合にのみ言ってもいい言葉だ、天羽。あの音量なら、聞こうとしなくても耳に入ってくる」


そう苦笑しながら木之瀬に言われ、葉月は隣でげらげらと一人爆笑している奈菜に冷ややかな視線を向けつつ、仕方がないとため息をつく。


「半年ほど前にしましたが、それがなにか」

「何か問題でもあったのか」

「いいえ、ただの気分転換です。前の部屋は会社から遠かったので」

「そうか」


未だに肩を震わせている奈菜の頭を叩き、空になったコーヒーのカップを捨てると葉月はラウンジを出た。



お気に入り登録、並びに読んでくださってありがとうございます。

そのまま、見捨てたりしないでください。


しばらくは葉月ちゃんの回想というかお隣さん(まだ名前を出していないので)とどうやって出会ったか、どうして冒頭のような関係になったのかを書いていきたいと思います。


現時点では、葉月ちゃんの認識としては何しているのか謎な人、というのがお隣さんに対する印象です。

はっきり言って、毎回、毎回、違う女性を連れ込んでいるため、印象は最悪です。

まぁ、この辺も後々どうしてか分かっていく・・・予定・・・


前作が完結いたしましたので、停滞しているときの言い訳が・・・・(無くなった)


完結目指して、ぼちぼちがんばります。(そこは、しっかりがんばりますだろ!)



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