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第32話

本当に、本当に遅くなってしまって申し訳ありません・・・

「少し長い昔話をしても良いかな」

「はい」

「・・・現実は小説よりも奇なりって言うだろ」

「バイロンの言葉ですね・・・」

「・・・世の中の実際の出来事は虚構である小説よりも不思議だ、っていう意味の言葉だ。まぁ、実際、その通りだよな。人の心は目に見えない。だから、誰が誰を好きであるかということもわからない。それ故、恋とか愛という名のつくものほど厄介で脆いものは無く、自分の感情であるはずなのに、それは時として自分の思い通りにならないことがある。そのせいで過ちが起こる。けれど、人は欲深い。それが他者を傷つけることだと知りながらそれでも己を見て欲しいと望む・・・そんな心を誰しもが秘めているんだ・・・」

「・・・」

「あの頃、俺が願ったのは他愛もない日常、変わることのない時間だった・・・ただ、それだけだったんだ」


昔話、御代はそう言った。けれど、彼の話は葉月に話して聞かせるというよりは独白のようにも彼自身に言い聞かせているようにも聞こえる。


「俺と東悟は今の・・・作家と編集という関係になる前から交流がある。まぁ、年齢が離れているのと東悟の態度から気づく人間はなかなかいないが」

「・・・東悟さんって確か、35歳でしたよね」

「あぁ」

「御代さんは・・・」

「あぁ・・・41だ」


言うと、御代は手を伸ばし、ダッシュボードの中から一枚の写真を取り出すと葉月に渡した。

そこには、今よりも若い東悟と彼と双子だと一目で分かる青年の間に少女が写しだされていた。


「真ん中に居るのが俺の妹、左が宗谷だ右が東悟だ。三人は幼なじみ・・・まぁ、よくある関係だった・・・そのはずだったんだ」

「・・・」

「東悟が悪いわけでも、ましてや、他の誰かが悪かったわけでもない。ただ、少しずつずれた歯車が招いたのは最悪の結果だった・・・・・」





お久しぶりです。

本当に久しぶりの更新です。

そして、申し訳ありません。

前話で近いうちになどと書いておきながら忙しさにかまけて気づけば一ヶ月・・・一ヶ月も更新していないではありませんか!!!(近いうちどころか、その逆のことしてますよ!!!ほんと、申し訳ない・・・)


とりあえず、しばらくは御代さん東悟さんの過去になります。

この過去編が終了すれば、物語も終わりに近づきます。

だから、がんばって、完結させます!




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