第29話
ぽつりぽつりと葉月は話し始めた。
それはなんら脈絡のない彼女の想いを形にしたような言葉だったが、木之瀬は何も言わず最後まで聞いてくれた。
自分が好意を寄せている人間がする他の男の話など聞きたくないだろうにも関わらず、時折、嗚咽によって詰まる葉月の背中を撫でながら、木之瀬はただただ静かに葉月の話に耳を傾けてくれた。
「・・・ごめんなさい・・・」
こんな話を聞かせて・・・そう言おうと思い開きかけた唇は木之瀬のそれによってふさがれてしまった。
「・・・っ」
逃れるように体を動かすが、首の後ろに回った手がそれを拒む。
「んぅ・・・」
徐々に深くなっていく口づけに頭の芯がぼうっとする。
『無防備』そんな言葉が頭をよぎる。
いや、自業自得だ。
してはいけない相手に衝動的にしてはいけない話をした葉月の・・・
霞む視界、上がる呼吸に生理的な涙が止めどなくあふれる。
それは頬を伝う前に木之瀬の手によって拭い取られていく。
「・・・」
「ふぁ・・・」
やっと離れた木之瀬を睨むように視線を向ける。
「煽ってんのか」
「・・・ばっ・・この状況で何で私が主任を煽るんですか!!!」
「なら、そんな物欲しそうな顔するな」
「そんな顔してない」
だいたい物欲しそうな顔ってどんな顔だ。
「・・・そんな顔だよ」
「・・・」
声に出しただろうか?
「顔に書いてある」
「・・・」
無表情が基本装備の葉月は喜怒哀楽が分からないと言われることはあっても、言いたい事が顔に書いてあるなどと言われることなど皆無である。
「普通の人間には分からないだろうな」
「えっ・・・」
「見てるからな・・・いつも・・・それくらいは分かる」
その言葉に葉月は固まった。
(面と向かって好きって告白されるより恥ずかしいんですけど、その言葉)
「弱ってるところにつけ込んで、卑怯なことしてるって自覚はあるんだ」
「・・・」
「でも、欲しいものは手に入れるから、俺」
「・・・私、木之瀬さんが欲しがるようなそんな女じゃないですよ」
「なんでそう思うのかは分からないが、俺は葉月が良いんだ。その弱い部分も強がっていても本当は寂しがり屋なところも全部含めて、な」
真顔で言われた言葉を葉月は理解しきれなかったのか、ぱちくりと瞬きした。
そして、理解した瞬間、真っ赤になった。
「木之瀬さんって優しい、ほんわかした方がタイプなんじゃないんですか」
「・・・どうしてそんな結論になったのか聞いても良いか」
「えっ、だって、噂になる方はそういうイメージの方が多かったので、てっきりそういった方がタイプなのかと」
「あぁ、噂ね。別にそういった女が勝手に寄ってくるだけで俺のタイプじゃない」
「・・・」
「だいたい、その手の女とは付き合わないようにしてる。後がめんどくさそうだから」
わぁ、開いた口がふさがりません。
確かにクールなイメージはありましたが、恋愛面においてはクールというよりは最低ですね。
涙も止まりましたよ。
「・・・そうですか」
むしろ、それ以上、なんと答えればよいのか葉月にはわからなかった。
きゃーー(゜o゜;;
木之瀬さん、狼化!
まぁ、葉月ちゃんも自業自得なところはありますが・・・それにしても駄目だろ!無防備な相手に迫るとか!
まぁ、上手に油揚を掻っ攫った感はありますが・・・
東悟さん!頑張ってくれー(´・Д・)」
美味しいところを持っていかれるぞー
と、まぁ、だいぶ木之瀬さんが活躍してますが、それはおいて置いて、気温の上がり下がりが不安定な今日この頃、一気に暖かくなったと思っても、翌日は急に寒くなることもまだまだありますから、体には気をつけてくださいね(。-_-。)
うちの猫ちゃんは寒くなるとすり寄って来ます!
寒くないと来てくれません。…>_<…
では、では!




