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第1話


本編のようで本編ではない・・・かも・・・

目覚めた葉月はきしむ体にため息を零すと同時に自身を包む男の残り香にまるでマーキングのようだと苦笑する。

もちろんあの男がそんなことを考えて残しているなんてこれっぽっちも思わないが・・・

何よりあの男と葉月の関係はそんな甘やかな感情を含んでいるものではないことくらい理解している。

ベッドから体を起こし勝手知ったる男の家の冷蔵庫から水の入ったペットボトルを一本拝借すると葉月は隣接する我が家へと出勤の着替えのために戻った。


「・・・っ」


シャツに袖を通していると、体の各部が悲鳴をあげる。

筋肉痛にも似たそれに、原因たる男の顔が浮かび、殺意がわく。

忙しいと言ったはずなのに手加減という言葉を知らない男はぐったりとベッドにつっぷしている葉月とは対照的に何時もと変わらぬ何を考えているのか分からない飄々とした雰囲気で葉月の髪や頬を滑るように撫でていく。

ひんやりとした男の手は未だ火照りを帯びた身体には心地よく文句を言おうにも言えなくなってしまった。

やはり、あの時文句のひとつでも言うべきだったと今更ながらに後悔に襲われる。


「はぁ」


葉月の唇からは無意識のうちのため息が零れた。


『にー』


甘えるようにすり寄ってきたくせに頭を撫でようとすると猫はするりと葉月の手をかわす。

気分屋でわがままですり寄ってくるくせに触られる事を嫌がる。猫はまるであの男のようだと葉月は笑う。

知りたくて、知りたくて、触れたくて、触れたくて、けれどそれをしてしまうと男は自分から離れてしまうだろう。

だから知りたくて、触れたくて、彼の心に手を伸ばすが臆病な私は何時だってすんでのところでその手を止めてしまう。


「いい子にしててね」

『にゃっ!』


用意した餌を夢中になって食べる猫の頭を撫で葉月は家を出た。

澄み渡った朝の空は葉月を切なくさせる。

雨の使者のような男の側にいるせいだろうか、葉月は晴れよりも雨の日の方が好きになってしまった。

雨の日のひんやりとした空気はまるであの男に包まれているような錯覚を葉月に思い起こさせる。

いつか、こんな蒼く蒼く遠く晴れた空のようにあの(ひと)の雨も止むだろうか。

そして、この歪な関係が終焉を迎えるとき自分はどんなことを思うのだろう・・・

やわらかな朝の光を浴びながら葉月はそんなことを思った。




出だしから、あれれ??な展開ですが・・・現時点での二人の関係は曖昧です。

恋人ではありません。

あくまでお隣さんだと二人とも認識してます。(おっしゃりたいことはいろいろあると思いますが、断固として言い張ります、お隣さんなのです)


どうして、こんな関係になっているかというお話は、もう少し後になれば分かる予定です。


さて、二人はこれからどうなるのでしょうか??

そして、作者は大丈夫なのでしょうか??




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