表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

第18話

木之瀬さんと会話してから数時間後の出来事です。


「・・・嬢ちゃん」


会社を出て、冷たくなりつつある夜風を感じながら、オフィス街を駅まで歩いているときだった。

そう、声を掛けられた。

もう、嬢ちゃんなどと呼ばれるような年齢ではないにもかかわらず未だに自分をそう呼ぶ人物を葉月は一人しか知らない。


「・・・御代さん」


振り返ると、思ったとおりの人物がこちらを見下ろしていた。


「今、帰りか?」

「はい。御代さんは東悟さんのところですか」

「いや、その逆、原稿を取りに行った帰りだ。・・・嬢ちゃん、今、時間あるか」


少し考えるようなしぐさをした後、御代はそうたずねてきた。


「はい」

「・・・じゃぁ、ちょっと付き合ってくれ」

「?」


言うなり腕をとられ、半ば強引に車に乗せられる。

事態を把握できないうちに車は発進し、みるみる帰り道からそれていく。

どのくらい車に乗っていたかも定かではないが、葉月が御代に連れてこられたのは日本料理店の一室だった。二人しかいないにも関わらず広い座敷に、なれない空間に居心地の悪さを感じる。


「あの・・・」

「食べたいもんとかあるか」

「いえ、特には」

「そうか、じゃ、いつものを頼む」


(慣れてるなぁ・・・)


場慣れしているというか、なんというか御代という男は絶妙な歳の重ね方をしているように葉月は感じる。


「御代さん」

「あいつとまだ続いてんのか」


御代の言うあいつとは東悟のことだろう。


「はい」

「でも、付き合ってはないんだろ」

「・・・はい」

「・・・」


難しい顔をする御代に何か悪いことでもしたのかと葉月は不安になる。


「二人ともいい大人だから、部外者の俺が口を挟むことでもないと言いたいところなんだが、東悟が絡んでいる以上、口を挟まないわけにもいかないんだよ」

「はい」

「だいたい、あいつは大人というカテゴリーに属してないからな」


悲しいがそれは否定できない。


「二年」

「えっ」

「嬢ちゃんとあいつの関係が始まってから二年経つな」

「・・・はい」

「正直、ここまで続くとは思ってなかった。あいつは何かに執着するっていうことをしらないから、こんな風に特定の誰かとの関係が長く続くなんて思いもしなかった」

「・・・反対してます?」

「いや、俺は反対しようなんて最初っから思ってない。嬢ちゃんとの関係はあいつにもいい刺激だと思ってるからな。ただ、俺が心配なのは嬢ちゃんのほうだ」


どうして、今なのだろうと思う。

この人は東悟との関係が始まったとき、一言「そうか」といった。そして、今日まで関係を黙認し続けてきたのにどうして、いまさらこんなことを言ってくるのだろうか。


「今、こんな風にわざわざ言うのはこのまま関係を続けても泣くのは嬢ちゃんなのが目に見えてるからだ。

・・・あいつは・・・東悟は推理作家としては一流だ、天性の才を持っているといっても過言じゃない。殺す側の人間の心情をああも手に取るように分かるやつなんてそうそういないからな。ただ、その代わりと言っていいのかは分からないが、あいつは自分にも他人にも興味というものがないんだ。いや、興味を持てなくなってしまったといったほうがいいのかもしれない・・・」


葉月は自分に言うというよりは独白に近い御代の言葉を聞きながら、にっこりと微笑んだ。

向けられた御代のほうが息をのむほどにそれは綺麗な、綺麗なともすれば消えてしまいそうな儚い微笑だった。


「・・・そうか」


唐突に理解した。

目の前の女にはたぶん今、自分が言ったこと、言いたいことなどとっくの昔に分かっていたのだろう。二年という期間は案外、長い。その期間、あいつの側に居れば、否応なく、相手の性質など分かるようになるだろう。特に、彼女は聡い。


(引き際を決めるのは、案外あいつじゃなくて、彼女のほうかもな・・・)


どちらも危うい・・・

正直、こんな風に他者の関係に口を挟んだりするのは御代の流儀に反する。けれど、口を挟まずにはいられなかった。

絶妙なバランスの上に成り立っている彼らの関係は、はたから見ればいつ崩れ落ちてもおかしくはないのだ。


「どうしたもんか・・・」


呟いてみるが答えなど返ってくるはずも無い。


「・・・宗谷・・・」


幸せになってもらいたい、彼女にもあいつにも。

その答えをくれるであろう存在はもうこの世にいないことが悔やまれる。


「いったい、どこで間違ったんだろうな・・・」


間違いなど数えればきりが無い。

結局、転がり始めた石が止まらないのと同じように、流れはじめた人生もまた生きている限り立ち止まることなど出来ないのだ。


「無力だな・・・俺は・・・」


立ち去る後姿は、頼りないほど小さかった。

その小さな背を思い出し、御代は言い知れぬ感情にため息を零した。





突然ですが、御代さんの年齢は40代前半!

いい具合に歳を重ねたダンディーなおじさまです!!!

ちょっと強引ですがそこがいいんです。(萌)


まぁ、作者の好みは置いておくとして、ここだけの話、偶然を装ったかのように出会った御代さんと葉月ちゃんですが、実は御代さんは葉月ちゃんを待ち伏せしていました。

会社の前で待っていないあたり、なんというか・・・策士っぽい・・・

偶然を装うことで不審がらせずに葉月ちゃんと話をしようという裏事情があるのです。


それにしても意味深な・・・

まぁ、おいおい分かってくるのですがね・・・

書くつもりですがね・・・

作者もそろそろ頭が限界・・・(年中言ってる。正常なとき無いのか???)


これから二人の関係が変化するにあたって東悟さんの過去も明らかになってきます。(最近出番少ないからな・・・)


のろのろ書いているので話が動くのはまだ先になりそうな、そうでもないような・・・(作者の予定ほどあてにならないものは無いですからね!!)

とにかくがんばって書きます!!

絶対に書きます!!!(宣言しないと放棄しそう・・・涙)


では、また近いうちに~~~



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ