第14話
現在に戻ってしました!!!
「・・・は・・・天羽!」
どのくらいその場にそうしていたのか・・・ほんの一瞬のようにも長い長い時間そうしていたようにも感じる。
思考の渦に飲まれていたためか、現実に戻りきれていない葉月の心は今もまだどこか過去を揺湯たっている。
「・・・」
「天羽!」
「・・・っ」
現実に引き戻された葉月の目の前にあったのは木之瀬の怜悧で整った顔だった。
一瞬息を呑んだ葉月だったが、すぐに立ち直った。
「・・・近いです」
「大丈夫か?」
「大丈夫です。ちょっと考え事をしていただけですから」
「ならいいが・・・」
どこか納得しきれていない声の木之瀬に苦笑し、大丈夫だともう一度自分にも言い聞かせるように言う。
そして、ちらりと時計に目を移すと十分も経っていないことに驚く。
いつまでも過去にとどまっていることなどできず、葉月は渡された資料の確認と作成に移る。
集中すると周りが見なくなる葉月がそれらの作業を終わらせる頃には昼の休憩時間をとっくに過ぎていた。
こきこき、と鳴る肩を揉みながら休憩のためラウンジへと向かう。
「・・・」
コーヒーサーバーやテレビ、雑誌に新聞といったものが備え付けられたラウンジにはこの時間帯、誰も居ないと思っていた葉月の予想ははずれ、そこにはすでに先客がいた。
「天羽、休憩か?」
「木之瀬主任・・・」
そういえばデスクに居なかったと思い出す。
「渡された仕事が終わりましたので糖分補給です」
「早いな」
コーヒーサーバーから入れたコーヒーにミルクと共にシュガースティックを2本入れる。
「なんだ、その甘ったるそうな飲み物は・・・」
その行動を見ていた木之瀬は自分が飲むわけでもないのに顔をしかめて葉月の持つコーヒーカップに視線をよこす。
「コーヒーですが?」
「・・・砂糖・・・溶けきれないで最後に底に残るだろそれ」
「シュガースティック二本ぐらい溶けますよ」
マドラーでコーヒーをかき混ぜながら言う。
「・・・主任にもお作りしましょうか?」
「何故そうなる」
「欲しいのかと思いまして」
「いらん。見ているだけでも胃がもたれそうだ」
「これくらいで胃にくるなんてお年ですね」
「お前と5歳しか変わらんわ。それに俺がおかしいんじゃなくてそれを平然と飲むお前の味覚と胃がおかしいんだ」
湯気に乗ってふんわりと香る甘い香りに葉月は微笑む。
「・・・」
『今日のゲストは小説家高馬宗谷さんです』
ラウンジに備え付けられているテレビから聞えてきた名前に今まで気にも留めていなかったテレビの音がやたらと大きく葉月の耳につく。
何より画面に映し出された人物の姿にどくり、と心臓が音をたて、息をつめる。
反応などしたくないのにその姿を認めただけで勝手に体が反応する。
そんな自分に葉月は嫌気が差し、自身を落ち着けるように呼吸を繰り返す。
『こんにちは』
葉月が知っている耳に心地よいやわらかな声よりも外用の声はそれだけで葉月から男を遠い存在にしてしまう。
画面に映し出されるのは知っているようで知らない男の顔・・・
いったい今、自分はどんな顔をしているのだろう。
平常心を保つために持っているカップを両手で握りこむ。
こんなところでみっともないところなど見せられない。そう思うと葉月は目を閉じ、大丈夫と唱える。
それにより幾分か落ち着いた葉月が目を開けると、木之瀬の訝しんだような瞳と視線が絡む。
「・・・」
「・・・」
そろそろ、葉月ちゃんを巡る関係がややこしくなって来そうな予感!!!
タグに三角関係と入れたのでそろそろそういったフラグを立てないとね(笑)
自分のことにとことん鈍い葉月ちゃんが気づくかな?
作者の妄想にも一段と力が入ります!!!(楽しい)
視点も過去から現在にに戻ってきたことだし、新しいキャラも出てくるはず・・・
というか、作者の中にはあらかた出来上がったキャラがいるのですが、いかんせんまだまだ出せるような展開まで話が進んでいない。(涙)
読んでくださる皆様がいるだけで今日もがんばれる作者ですので今後もどうかよろしくお願いします!!!(選挙みたいなシメだな!!)




