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第11話


まだまだ、暗い展開が続きます・・・

気絶するように眠りに着いた葉月が目覚めたのは、まだ夜が明けきらない頃のことだった。


「・・・」


視界いっぱいに広がった端正な男の顔に声をあげてしまいそうになるのを抑え、がっちりと自分を抱え込むように腰に巻きついた腕から男を起こさないよう細心の注意を払いつつ抜け出す。

カーテンの隙間から覗く白み始めたばかりの薄暗い空は遠く高く清んでいて、葉月は目を細める。

そして、昨日よりも幾分か軽くなった心に苦笑する。

泣きすぎたのだろう、まぶたが腫れぼったく感じる。

倦怠感の残る体を引きずるようにして起こし、決心が鈍ってしまわないうちに、と葉月はそろりと自身の家へと戻った。

クローゼットから黒のスーツを取り出し着替える。


・・・


着替えている最中、不意に涙が出てきそうになり、ぐっと我慢する。


「・・・不細工だわ」


鏡に映る自分を見て、そんな言葉が口をついて出た。

化粧をしているにもかかわらず、腫れぼったい顔はごまかせているかどうかきわどいところだ。


「大丈夫」


そんな励ましにも何にもならない言葉を呟き、葉月は家を出た。


電車を乗り継ぎ、都心から一時間。

葉月は手紙に書かれていた住所の家・・・何度か訪れた事のある彼の実家へとたどり着いた。


「・・・」


しかし、インターホンの前に立った瞬間、受け入れきれていない現実が目の前に立ちはだかり体が震え始めた。

そんな自身の震える体をなだめ、葉月はインターホンを押した。

背中を流れる冷たい汗と早鐘を打つ心臓を落ち着けるように呼吸を繰り返す。


「はい」


玄関から出てきたのは記憶にあるものよりも歳をとった彼の母親だった。


「・・・葉月ちゃん」

「・・・お久しぶりです」


驚いたような声にぎこちなく挨拶をする。


「・・・あんな手紙突然送ったりしてごめんなさいね」


家に上がった葉月に母親はそんな風に言った。


「いえ・・・こちらこそお礼を言わなくていけません。明菜さんからお手紙をいただかなかったら、私、ずっと後悔したままでした・・・今も後悔はしてるんですけど」


流れ落ちそうになる涙を堪え、唇を噛んで下を向く。


「・・・そう・・・でも、あまり思いつめたりしては駄目よ。そんなことたぶんあの子も望んでないから」

「はい」


そう言ってふすまを開ける。

その瞬間、視界に飛び込んできたのは真っ白な骨壷と遺影だった。


・・・現実なんだ・・・


認識すると同時に、葉月はその場に泣き崩れた。

そのままぬくもりも何も感じることの出来ない無機質なそれに手を伸ばし『彼』(いつき)に触れる。


「・・・ごめんね・・・ごめん・・・」


あなたの愛を疑ったりしてごめんなさい。

信じきれず傷つけてごめんなさい。

一人にしてごめんなさい。


葉月はそううわ言のように何度も何度も繰り返した。


きっと、優しい彼のことだ葉月のこんな謝罪を聞いたら頭を撫でながら、『気にしてない』と笑うだろう。


困ったように笑う斎の顔が脳裏によみがえり、あふれる涙が止まらなかった。




ふぅ・・・


こうなってくると書くのも一苦労です。(言葉は出てこないし、描写しづらいし・・)

これで伝わると良いのですが・・・如何せん文才がないので自信がありません・・・(ごめんなさい)


今回は出番の無かった東悟さんも次話には出てくる予定です。


よし、がんばろう!(こうして宣言していないと、絶対にサボる・・・)


最後に、いつも読んでくださっている皆様、ありがとうございます。

今後もがんばりますのでどうぞよろしくお願いいたします。


                              

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