魔界の姫と緑園の王子
「ルーンの為だからな!!」
マルセスはまたも胸を張った。
「それでヴィル、マルセスの話だとどうやら王様は去年ある日、悪魔に誘導されてか倉庫に一人で行って棚に置いてあった水鏡を手に持ったら
それに封印されていた悪魔が王様の身体に乗り移ったらしいの」
「もしそれが本当なら・・・兄上自信は悪くないと言う事か?・・・それじゃあどうやって救えばいいんだ・・・。」
ヴィルは顎に手を置き考えだした。
「ヴィル忘れたの?私は魔界国第一王女ルーンなのよ?」
「そうか!ルーンに逆らえる魔界の者は魔王様ただ一人だからね!でも・・・、本当に平気かい?今まで閉じ込められていたし、それにとても危険な事に変わりはない・・・。」
ヴィルがそう言うと後ろにいる魔王も似たような事を言いだした。
「そうだぞ、ルーンよ。人間界にいたっていい事は1つもない。人間はお前を守れない。お前がその男を守ってどうするのだ。魔界城にいれば今までどおり幸せに暮らしていけるのだぞ?」
魔王のその言葉を聞きルーンはある事を考えた。
「では、父様?こうしてはどうでしょう?ヴィルと私が魔界城に住む・・・というのは?そうすれば私は父様と約束しましょう。ヴィルが生き続ける限り私は魔界城から父様の許し無しで外には出ない。
そのかわり、ラングール国現王マーリフ様に憑いている悪魔は父様が御処分ください。」
「我が城に人間を連れて行けと申すのか?」
「はい、ヴィルがそれでも構わないのなら・・・」
ルーンはそう言うと視線をヴィルに向けた。ヴィルは。
「僕は構いません。ルーンと一緒にいられるのなら」
「まったく・・・頑固な娘を持ったものだな・・・。いいだろう。お前が危険な目にあうよりかましだからな。」
「ありがとう!!父様!!」
ルーンはそう言うとコルタンの首に手を回し抱きついた。
「礼を言われる事をした覚えはないな」
コルタンがそう言うとヴィルが話を切り出した。
「では、王宮に帰ろう?ルーン。明日の朝謁見の間にて各国の王を招いた会議がある。チャンスはおそらくその時しかないだろう」
コルタンはそのまま何も言わず、何もないひずみの中に姿を消した。ルーンとヴィルはそのまま丘の上まで登りそこに止めてあった馬の背に乗り城に向かった。
城に帰ると侍女がヴィルの元へかけてきた
「まあ!ヴィル様!?そんなに濡れてしまって!ルーン様もご無事でなによりですわ。ただ今、湯の準備をいたしますね。」
そう言うと自分の後ろからかけてきた他の侍女に湯の準備を言い、本人はヴィルとルーンを部屋へと連れて行ってくれた。
翌朝、謁見の間には各国の王が集まり自分達の席につき話しあいをはじめようとしていた。話し合いの内容は
「集まってくれた各国の代表者達よ。そなたたちの国を我が国と合併させたい。もし断るようなら・・・戦争だ。」
ラングール王国は人間界の国で一番範囲と国の面積の大きな国、そんな国から攻め入られては跡かたもないことは王達は百も承知だった。
だが、言葉では逆らう者は山ほどいた
「な、何を言い出すんだ!?戦争だって!?戦争でお互いどれだけの犠牲が出るのかわかっていらっしゃるのか!?」
「そ、そうだ!それに、ラングールは大国だ!そんな国から攻め入られるのを黙って見過ごせるとお思いか!」
たくさんの王が席から達上がり反論を述べていた。
「それでは、戦争・・・でよろしいのか?」
マーリフがそう言うと謁見の間内にはしばらく沈黙が訪れた、そして一人の王が口を開けようとした時。
バーン!!!!!
謁見の間の扉が強く開け放たれた。
各国の王達は驚いたまなざしで扉の方を見やると、そこにはヴィルと不思議な髪と瞳の色をした少女が立っていた。
「おや?ヴィルではないか?どうかしたのか?」
何事もなかったようにマーリフはヴィルに問いかけると。
「兄上、あなたは兄上ではありませんね。あなたには悪魔が憑いている。だからあの優しかった兄上は突然豹変してこの国を壊そうとなさるのですよね?」
「フフフ。何を言い出すんだ。ヴィルよ。昔も今も私はこのままだぞ?お前の目がおかしかっただけではないのか?」
『まだそのような事を申すか。魔族が聞いて呆れる台詞だな。まあ、お前は魔族などではなく下級だがな』
低い声がどこからか聞こえ各国の王達はあたりを見回し始めた。
マーリフはというと何故か青ざめた顔をしていた。
「ほう・・・声を聞いただけでわしが誰かわかったのか。そこらへんは褒めてやっても良いな。」
その声はさっきと違い一つの決まった場所から聞こえてきていた。各国の王達はその声のするほうを見やると、ヴィル王子の目の前の何もない空間から一人の男性が姿を現した。その男性はヴィルの横にたたずむ少女と同じ髪に少女より少し薄眼の色の瞳をした男性だった。
その姿を見たマーリフはガタガタと震えが止まらなくなっていた。
「な、何故貴方様がここに・・・!?」
「何を言うておる。我が愛娘に最初に手を出したのはお前だぞ。」
「な!?ひ、姫ですか!?一体どこ・・・に・・・も、もしや!?」
そう言うとマーリフの視線はヴィルの横に立つルーンの方へと向かされる。黄金色の髪、王とは違うが少し黒のまじった青い瞳。姫に手を出したとなるとこの女の事しか考えられないとマーリフは思った。
「私は・・・魔界国第一王女ルーン。あなたはこの国の王に憑きとても美しい世界を怖そうとした。もし壊してしまったら魔界と人間界の均衡が崩れ戦争になるでしょう。あなたはそれを起こそうとしました。なので直ちに王の身体から出て、兵とともに魔界に帰り牢に入りなさい。」
ルーンがそう言うとマーリフはガタガタ震えていた足が限界にきたのかその場に座り込んでしまった。
「出てこない・・ということは反発とみなします。衛兵!」
ルーンが叫ぶと何もない空間から頭に角の生えた者、角は生えてなくとも耳が尖っているもの、牙があるものいろいろな兵のような甲冑を着ている男たちが姿を現しマーリフの前に立った。
そして何やら紫水晶を上に掲げ始めた。すると水晶から紫の光が出てきた。その光を浴びたマーリフは頭を抱えて苦しみだした。
「や、やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」
叫び声と共にマーリフの身体かわ黒い煙のようなものが出ていった。
そこで兵の一人が小さい瓶を掲げると煙は瓶の中に吸い込まれて行った。
「よくやった。下がれ。そしてそやつの処分はのち考える。今は牢にでも入れておけ。」
コルタンがそういうと兵は返事をしてまた何もない空間へと姿を消した。
「ルーン・・・今の水晶は?」
「今のは強い魔力をやどした魔石、魔法を使えない者は大抵魔石を使うわ。使えるとしても強い魔法と弱い魔法があるからあの兵達も魔法は使えるけど強い魔力が必要だったから水晶を使ったの。魔界で強い魔法が使えるのは魔族だけなの」
ヴィルの問いにルーンは詳しく説明した。
「う・・・・・」
そこに玉座のある床で倒れていたマーリフが目を覚ました。
「兄上!!」
ルーンとヴィルは駆け寄った。
「兄上!ご無事ですか!?」
「う・・・・ん?ヴィルではないか?そなたここで何を・・・私は・・・何をしていた?」
どうやらマーリフは今まで自分が何をしていたのかわかっていないようだった。なのでヴィルは今まであったことを全てマーリフに話した。
「兄上の身体に憑いた悪魔は兄上の身体を操り国をだめにしようとしていました。が、ルーンのおかげでなんとか兄上を助けられました。」
ヴィルはそう言うとルーンの肩に腕を回した。
「ルーンとな?だが、何故悪魔の事をこの娘は知っている?」
「はい。実は彼女ルーンは魔界国第一王女なんだそうです。そして後ろにいる・・・あれ?」
ヴィルはコルタンの事も紹介しようと後ろを振り返ると後ろにはコルタンはいなかった。
「ヴィル?」
「あ、ああ。いえ、なんでもありません。」
「そうか。だが、まさか魔界という国が本当に存在するとわな。ありがとう二人とも。私はお前達のおかげで助かったよ。」
マーリフは立ちあがり二人に頭を下げた。ヴィルは慌てて立ちあがりアタフタとしていた
「お、おやめください。第二王子として当たり前のことをしたまでです。」
「いや、私が悪魔に身体をあたえてしまったのが悪いのだ。そうだ!救ってくれたので礼をしなければな。なにがいい?」
それを聞いたヴィルとルーンはお互いの顔を見合い言った。
「それでは兄上。私の話を聞いていただきたいのですが・・・」
「なんだ??」
「私、ラングール国第二王子ヴィルは、この魔界国第一王女ルーンと結婚させていただきたいと思います。そして、私が魔界城にて暮らすお許しをください。」
「結婚!?・・・・・うむ。良いだろう。許そう。幸せになるのだぞ?」
「ありがとうございます。兄上。」
そう言いながらヴィルはルーンと手を繋ぎ謁見の間を出て行った。
そして、空の光を照らして花が綺麗に咲き乱れている庭にルーンを連れて行くとルーンの前で肩膝を地面につきルーンを見上げ言った
「遅くなってしまったし、順番も変わってしまったけれど・・・ルーン。僕と結婚してください。君の事は僕が守るよ。」
ヴィルの口から出た言葉を聞いたルーンは涙を流しながら返事をした。
「は・・・い・・・はい!」
そう言いルーンの唇はヴィルのそれに重なった。
それから二日後、二人の元に魔界の城の兵がやってきた。
「ルーン様!ヴィル様!御迎えに上がりました!」
そう言い何もない空間に手を当てると黄色い光が溢れだした。
二人は手を強く繋ぎ光の中へと入って行った。
その後二人は結婚しやっと安らげる生活が訪れました。
これから波乱が起こるとも知らずに・・・。
「魔界の姫と緑園の王子【1】」読んでいただきありがとうございます!^^w
どうでした?私の初恋愛小説・・・(ドキドキ)
王子のヴィルですが、私の理想の男性そのものを書いてみましたb
そしてルーンですが・・・設定的にはド天然&純粋で動物達に愛されるようなまるでお人形のような少女を書いたつもりですb
そしてルーンの父コルタンは・・・まあ、親ばか?w的設定ですbw
親ばか・・・的設定ですが、やはりお妃さまを亡くしたつらさに娘ルーンまで失うのはつらい・・・ということで親ばかに見える設定で書かせていただいた・・・という理由もありますb
この作品はまだ【1】ですので【2】が存在するかもですよ~^^w
この作品を読んでくださった皆様にお礼もかねて【2】の内容をチョビット!話しちゃいますね><
【2】ではなんと!ルーンの従兄弟が登場します。そしてその従兄弟とヴィルのルーン取り合いバトルを考えてます!そしてラストは悲劇が・・・
この先は内緒^^w
気になる人は【2】読んでくれると嬉しいな♪
それでは皆様。最後まで読んでくれてありがとです><
またお会いしましょー!|壁|ω・`*)ノ。o○(バィ㊦㊦)