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魔界の姫と緑園の王子

人間界に来てしまう前にあったこと・人間界に来てからの事・ヴィルと出会ってからのこと・ヴィルノ事を愛している事。

「ルーンはその人の事が好きなんだね。でも、それなら何故彼から離れてこんなところにいるの?」

「ヴィルのお兄さんが去年から豹変して別人になっちゃったらしくてそのせいで国が乱れてきてるから、そのお兄さんをどうにかするためにヴィルと戻ってきたんだけど、お兄さんにそのことがバレて殺されそうになったヴィルを私が付いてくることで殺されずにすんだの。」

ルーンは瞳に涙をためて話した。

「そっか・・・まぁ仕方ないよね。王様に悪魔が憑いてる事は誰も知らないし・・・」

子鬼のその一言を聞いたルーンは驚き尋ねた。

「え!?王様に悪魔が!?」

「うん。でも安心して。人に憑依しないと活動ができないくらい弱い悪魔だから」

どこを安心すればいいのかわからないけど・・・それなら話は早い。ルーンは魔界の姫だ。ルーンが名乗って前に出ればその悪魔は即座に言うことを聞いて王から離れるはずだ。

でも、ひとつ不思議なことがあったのでまたもルーンは子鬼に尋ねた。

「ねぇ、悪魔はどうやって王様に憑いたの?」

「私は普段王宮のいたるところにある闇の中に住んでいるの。去年くらいに倉庫の闇で寝てたら扉が開いた音がして、扉の方を見たらいつもなら後ろに護衛を何人か連れて歩いてる王様が立っててね。そのまま奥に入ってきて棚に置いてあった水鏡を除いてたの。

その水鏡にはどうやら悪魔が憑いてたみたいで、そのまま王様の身体に入っていったの。」

その話を聞いたルーンは自分の顔から血の気が引いていくのがわかった。もしそれが本当ならヴィルは王が悪魔に憑かれていることを知らず殺そうとしていることになる。

(ヴィルを止めなきゃ!)

ルーンは子鬼をその場に残し走り出した。すると

ドン!「きゃっ!」

誰かに思いっきりぶつかり尻もちをつきそうになったがぶつかった人がルーンの腕を掴んで引っ張ってくれたので尻もちをつかずに済んだ。

「おや、これはちょうどいいところにルーン様。今呼びに行こうと思っていたところです。」

そこに立っていたのはフードをかぶった女性と一人の兵だった。

「ルーン様、陛下がお呼びです。」

そう言い兵に視線を送ると兵はルーンの腕を掴んだまま、一つの部屋へと連れて行った。

その部屋には数人の侍女がいた。侍女達はルーンを風呂に入れ、髪を洗い、身体を洗い、露出度の高い寝着を着せ部屋を出て行ってしまった。

意味がわからずルーンが首をかしげていると部屋の扉を誰かがノックした。部屋に残っていた一人の侍女が扉を少し開け外にいる人を見て

「陛下のおいでです。」

その言葉を聞いたルーンはまたもや顔から血の気が引いた。

王は部屋に入ってくると侍女と護衛に部屋の外に出るように促した。

扉が閉まると王はルーンに近づき腕を掴んだ

「な!何もしないという話だったじゃない!」

「気がかわったのだ。ヴィルの悔しげな顔が見たくてな。」

そう言うなり嫌がるルーンを抱き上げ寝台に乱暴に下ろすとまたもや腕を掴み動けないようにされた。

ルーンは自分が魔界の姫である事を言おうとすると

「あまり声を出すなよ?」

と言い王の瞳が一瞬光ったと思ったらルーンは声を出せなくなっていた。

その後王はルーンの腕を掴んだまま肩に顔を埋めてきた。

(い、嫌・・・いやぁぁぁぁぁぁ!!!!)

心の中で叫ぶと同時にルーンの身体からまばゆいほどの光があふれ出しルーンの上にまたがっていた王は一瞬にして飛ばされ壁に激突した。

ルーンは魔法を使えると言ってもまだ上手く扱うことができず強く念じてしまうと体が反応してしまうのであった。

王はうちどころが悪かったのか少し呻いた後立ちあがり

「お前・・・何者だ。魔法が使えるのか・・・そうか・・・フフフ。」

そう言うと懐から宝石を取り出しルーンに向けてかざした。すると宝石から光が出てきてルーンがまぶしく目を瞑り次に目を開けた時には宝石の中に閉じ込められていた。

言葉も話せないままなので助けを呼ぶこともできなかった。

すると外から声だがしてきた

「あんたその方がどなたなのかわかってそんなことしてんの!?ルーンを離しなさいよ!!」

この声は・・・マルセス?

ルーンは王の指と指の間から宝石の外をのぞいた、王の足元にはマルセスがいた。

「この者を助けてほしくばこれをヴィル王子に持っていけ。居場所は匂いでわかるだろう。」

そう言いバサっという音がその後にした。なんの音なのかはルーンにはわからなかった。マルセスは王から託された物を持って駈け出して行ってしまった。




その頃ヴィルは。

(準備は整った。後は明日謁見の間にて計画が上手くいけばそれで・・・。ルーンは無事だろうか、もうすぐ・・・もうすぐ助けるからな!ルーン!)

ヴィルは窓の外の覗いていた。

すると何かにズボンの裾を引っ張られた事に気がついた。

「なんだ?誰かいるのか?」

そう言い後ろを振り返るが誰もいなかった。

気のせいかと思いまた窓の外に視線を送ると

バサッ!ゴン!!

「いてっ!」

何かがヴィルの頭の上から落ちてきて直撃した。

「なんだ?これは。」

巻物だった。中を開いてみると

「な!?なんだこれは!?」

巻物の中には絵が描いてあり、それはまるで生き物のように動きまわっていた

「これは・・・兄上か?兄上の手に何か・・宝石だな・・・宝石の中に誰かいる?ルーン!?何故ルーンが宝石の中にいるんだ!?兄上が立っているのは岩?丘だな・・・ここは見覚えがあるぞ、東にある川の上かあそこは確か流れが激しく、川に落ちた者で生きて帰ってきたものはいない・・・兄上はそこで何を?・・・もしや!?」

ヴィルが見ている巻物の中にいるマーリフ王は川の上の丘まで来ると宝石を持った腕を上に上げ宝石を川に落とそうとしていた。

「これは・・・一体なんなんだ?今なのか?それとも・・・・」

(考えてる時間はない!)

ヴィルは走り出し部屋の外へ出ると、そこにはちょうど侍女がいた

「ヴィ、ヴィル様!?どちらへ行かれるのですか!?」

「少し外に出る!明日の朝までには戻ると伝えておいてくれ!」

そう言うとヴィルは外に走って行き馬に乗り東の丘に向かった。


(一体どこまで行くのかな?)

ルーンを閉じ込めた宝石を持った王はどこかを歩いていた。周りには風の流れる音がする

(外?外に何しにいくのかな?)

ふと、そう考えた時に

「見よ。この川を。さぁてヴィルはどんな顔をするか、楽しみだな」

と王はルーンの入った宝石と人差し指と親指で持ち川の上に掲げた

(な、何この川!?流れが速い・・・もし落とされたら上がってこられないだけじゃないわ宝石が割れちゃうかも!)

と、その時王の背後から声がした

「兄上!お待ちください!」

「おや?ヴィルじゃないか?こんなところで何をしているのかな?」

ルーンは王の言葉を聞き来た方の道を見ると馬の手綱を握り馬から降りたヴィルが立っていた

(ヴィル!!)

「兄上、あなたこそここで何をしているのですか?その宝石をどうなさるおつもりですか?」

「風に当たりにきただけさ」

「その宝石の中にはもしや、ルーンがいるのではありませんか?」

「さぁ?確かめてみたらどうだ?」

王はそう言うとルーンの入った宝石を掴んでいた人差し指と親指の力を抜き、宝石を川の中へ落とした。

ルーンは水の中に落ちる間に覚悟を決め目を閉じようとしていた、かすかに覚えているのはヴィルが自分を追って川に飛び込んできたことだけ。



(うぅ・・・ここは・・・?え!?ヴィ、ヴィル!?ヴィル!!)

ルーンが目を覚ますとそこは川を少し流れた先にある岩の上だった、ルーンはまだ宝石の中にいた宝石の前にはヴィルが倒れていた。ルーンは宝石の周りを見たが傷がついていなかった

(ヴィルが・・・追いかけて来て宝石を掴んでくれたんだわ・・・だからヴィルがこんな・・・ヴィル!お願い目を覚まして!ヴィル!!)

出ない声を一生懸命に出しヴィルを起こそうとするがヴィルは目を覚まさなかった。と思ったら

「う・・・・・。」

(ヴィル!)

ヴィルは呻いた後身体をゆっくり起した

「は!?ルーン!?ルーン平気かい!?」

ヴィルは宝石を自分に近づけ中にルーンがいることを確かめた

「あぁ・・・ルーン無事で良かった。どうして宝石の中に入れられてしまったんだい?というか、どうやって?」

(言いたいけど言葉が・・・)

とその時

『人間、何故我が娘は宝石の中に入っている?』

ヴィルの背後から聞きなれた人の声が聞こえてきた。さすがのヴィルも慣れたのか驚いた様子も見せず後ろを振り返ると

(父様!何故ここに!?)

「人間聞いている。何故ルーンが宝石の中にいるのだ」

ヴィルを怒ったような瞳で睨み

「もうしわけありません。わかりません。私の兄がルーンをここに閉じ込めたみたいなのですが、城には魔法なんか使える者はいないはずなのです」

「何?わからないだと?」

そう言うとコルタンは宝石の方に目をやり手を一振りすると、一瞬にしてルーンは宝石の中から出てこられた、そして言葉も話せるようになった

「あ・・・ありがとう!父様!!」

ルーンはそう言うとコルタンに抱きついた。

「礼を言われる覚えはない。当然のことをしただけだ。そんな事より、やはりお前を弱い人間の傍に置いておくわけにはいかんな」

(あ!そうだった。父様はヴィルと私との事まだ完全に許してくれてないんだった!)

ルーンはすぐコルタンから離れ

「だ、大丈夫よ父様!そ、それに人間の仕業じゃないもの!」

ルーンはそう言うとすぐヴィルの方を向くと

「ヴィル大変なの。王様には悪魔が憑いているわ。」

コルタンの力を見て驚きのあまり声も出せていなかったヴィルはそれを聞いてやっと声が出せるようになった。

「な、なんだって!?なんでそんな事知ってるんだい?ルーン」

「マルセスに聞いたのよ」

「マルセス?」

ルーンはヴィルと別れた後のことを全てヴィルに話した

「それじゃあ、そのマルセスっていうのは王宮の闇に住む子鬼でそいつの話じゃ悪魔は水鏡の中から兄上に憑依したんだね?」

『そいつとは何よ!そいつとは!』

どこからかまたも、聞きなれた声がすると思ったら

ポンッ!という音とともにマルセスがルーンの頭の上に姿を現しコルタンに礼をした。

「マルセス!?何故ここに!?」

「え?マルセスがいるのかい?どこに??」

(あ、姿見えないのね・・・)

「ここよ。こ~~こ!」

そう言うとマルセスは楽しそうにヴィルの足の裾を蹴飛ばした

「あいた!!そ、そういえばさっきも似たような事があったな・・・もしかして巻物を持ってきてくれたのはマルセスだったのかい?」

「「そうだよ」って言ってるわ」

「ありがとう。マルセス。」

ヴィルが礼を言うとマルセスは自慢するかのように胸を張っていた。

それを見たルーンは少し微笑んだ後に質問した

「マルセスなんでこんなところにいるの?どうやってきたの?」

「いや~丘に行くまでは王子の服にしがみついてたんだけどね?いくらなんでも川には付いていけないからさ上空で見てたんだよ。ルーンの事が・・・心配でさ」

「ありがとう。マルセス」

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