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魔界の姫と緑園の王子

その時ヴィルは机に向かい座って考え事をしていた

(ルーンは今頃どうしているだろう?父と一緒にいるんだ、もう寂しくはないはずだよな。)

ヴィルがそう考えていると

『お前が娘をだましているというヴィル王子か』

とさっきまで聞いていたはずの声がどこかから聞こえてきた、すると自分の背後の何もない空間が光輝いていることにきづき後ろを振り向くとそこにはさっきまで自分の目の前にいたはずのルーンとその父、コルタンが立っていた。

「何故、あなたがここに?ルーンまで・・・。」

ヴィルがそういうとコルタンは何かに反応したように一瞬眉を吊り上げ掴んでいたルーンの腕を放し一瞬のうちにヴィルの前へ移動しヴィルの首に手をあて壁づたいにヴィルを上に持ち上げた。

「父様やめて!なんでそんなことをするの!?」

ルーンが叫ぶと

「お前は黙っておなさい!さあ、言え!ルーンになんと言って言い寄ったんだ!」

コルタンからそういわれると息をするのがやっとのヴィルは喉が渇いたような声で言った

「言い寄った・・・?おっしゃっていることがわかりかねます・・・。僕は純粋にルーンを愛しているのです。」

ヴィルがそう言うとコルタンは手に力をこめた、するとヴィルから小さい声で唸りのようなものが聞こえルーンが慌ててコルタンに言った

「やめて!殺さないで!その人だけは殺さないで!もし・・・・もし・・・!殺したら私父様とは一生話さないから!」

ルーンがそう言うと

「はっ!わしと話さぬだと?嘘を言うのは・・・」

ルーンの方に振り向きながらにそう言うとコルタンはヴィルの首にある自分の手の力を弱めヴィルを下に下ろした、ルーンの瞳には一瞬の迷いもなく強いまなざしでコルタンを見つめていたのだ、それを見たコルタンはルーンに近づき肩を爪が食い込んでしまうんではないかと思えるくらい強い力で掴んで揺さぶった

「な、何故だ!なぜ人間なのだ!お前は・・・お前は・・・わしを一人にするのか?ルーシフを亡くしそれだけではなく愛する娘であるお前までわしのそばを離れるのか?!」

コルタンがそう言うと、また何もない空間から光が現れたと思ったら従者が現れた。

「陛下、失礼ですが話は聞かせていただきました。私の考えではルーン姫様は本気のご様子。陛下も知ってのとおり人間は長くて100年しか生きられません。もうすでに1000年生きていらっしゃる陛下や400年生きてらっしゃる姫様とは寿命が違います。なので姫様はすぐ帰ってくることになると思われるのですが。」

従者がそう言うとルーンの肩を掴んでいたコルタンの手が離れていった、そして

「・・・いいだろう。どうせたった100年だ。だがな!もしルーンに何かあるようならすぐにでもルーンは連れて帰るぞ!」

コルタンがそう叫ぶと

「はい、ルーンは僕が命と引き換えにしてでも守ります。」

その言葉を聞くと返事もせずコルタンは従者と光の中へ入っていった。


コルタンが消えるとシーンと部屋に静けさが戻り、ルーンとヴィルはお互いの顔を見合わせ

「ルーン!!」

「ヴィル!」

そういって名前を呼び合いお互いを強く抱きしめた。

「ああ、ルーン!帰ってきてくれたんだね?!本当に帰ってきてよかったのかい!?本当に僕と一緒にいてくれるのかい!?」

ヴィルがそう言うと

「ええ、帰ってきたわ!私の家はここだもの。ヴィル会いたかったわ!」

離れていたのはごく数分のことだったが二人にとってはかなり長い時間だったのか抱きしめあうと心が落ち着くのがわかった。

言葉を交し合うと二人は深く口付けをしあうのであった。

騒ぎをききつけた侍女が部屋までくると部屋の扉が少し開いていたのでそこから除くようにして部屋の中を見回しヴィルとルーンが抱き合っているのを見て安心したように小さく笑い部屋を後にしたのであった。


翌日、ヴィルとルーン、そして何人かの侍女は馬に乗り城を出ようとしていた。

「いいかい?ルーン。このヴェールを僕や侍女意外の人がいるところではずしてはいけないよ?」

「どうして?」

ヴィルは小さい声で答えた

「どうして・・・って・・・。君は、その・・・見た目がとても可愛い・・・から・・・あんまり他の人間に見せたくないというか・・・」

ヴィルからそんな言葉を聞きルーンは頬染めて聞き取れなかったように聞いた。

「え?」

「いや、なんでもない。君は見た目が可愛いからね。いろんな人が君を見て誘拐などされては大変だからだよ。」

何事もなかったように話す内容をかえたヴィルだった。

ヴィルはルーンを馬に乗せるとまた自分はルーンを抱きしめるように後ろにまたがり手綱を掴んだ。

そして侍女の乗った馬を連れラングール国へ向かった。


その日の夜野宿することにしたヴィル達は焚き火をしヴィルはルーンに侍女と寄り添って寝るように言うがルーンは言うことを聞かず、ヴィルの肩に頭を乗せるようにして横に座った。

それに驚いて閉じていた目を開けたヴィルは

「!?ルーン!?侍女と一緒に寝ないとだめじゃないか・・・。まったく仕方のない子だね。」

そう言うと自分の肩にかかっていた毛布の半分をルーンにかけてあげるのだった。

次の日の朝、またルーンはヴェールをかぶり馬に乗り自分を抱きしめていう状態で馬の手綱を掴んでいるヴィルとその後ろから馬に乗ってるいてきている侍女とラングールへ向かっていた。

もう日が落ちようとしていた時ヴィルが馬を止め言った

「ルーン降りてついてきてごらん。いいものを見せてあげるよ。」

そう言いルーンの手を持ち馬から下ろすとそのまま手をつなぎ丘の方まで歩きだした。

丘のてっぺんまで登って見た光景にルーンは驚きの言葉を出した

「わぁ!!すごい綺麗!」

そこには緑豊かな森や花畑が一面にあり少し遠いところには綺麗な水の川が流れていたそしてその真ん中には大きな塀に囲まれたとてもにぎやかそうな町がありその真ん中には今までルーンがヴィルと一緒にいた城より何倍も大きく美しい城が建っていたのだ。

「ここが僕が生まれ育った国ラングールだ。去年、兄上が変わられてしまう前は今よりもっと美しかったよ。」

そう言いながらヴィルは微笑んでいた表情を段々濁らせていった。


城に着くとヴィルとルーンは1つの部屋へ通された。しばらく部屋の中を眺めているとノックの音がして一人の男性が部屋に入ってきたルーンはヴィルに言われ隅のほうにある椅子に座り紅茶を飲んでいた。

目の前の大きな椅子にはヴィルがその前の大きな椅子には入ってきた男性が座ってなにやら難しそうな表情で話をしていた。

話が終わり男が席と立つと

バーン!!!

という音をたて扉がいっせいに開き兵が剣を構え部屋に入ってきた、そしてヴィルと男を囲んでしまった。兵がヴィル達を囲むと一人の男の人が入ってきた。その人はどこか雰囲気がヴィルと似ているようだった。すると

「兄上!?」

(え?兄上・・・って・・・えええ!!!あの人がヴィルのお兄さんなの!?)

驚きに目を見開くと

「久しぶりだなヴィル。元気にしていたか?」

「はい。兄上もお元気そうで何よりです。」

ヴィルがそう言うと一瞬、フッ、と微笑んだかと思うと

「ヴィルあるものの証言によりお前が私を殺そうとしていることを知った。よって牢に追放する。」

「な!?私が兄上にそのような事をするはずあるわけないでしょう!」

「黙れ!お前の意見は聞かん!連れて行け!」

マーリフがそう兵に命令すつとこを見たルーンはすぐさまヴィルの前に立ち

「待って!ヴィルを連れて行かないで!」

それを聞いたマーリフは後ろを振り返りルーンの姿を見て一瞬目を見開いた

「ほぅ?お前はヴィルの恋人か何かか?美しくめずらしい髪と瞳をしているな。」

そう言われルーンはヴェールをはずしてしまっていることに気づき後ずさった。

「ルーン!僕は大丈夫だから離れるんだ!」

ヴィルは兵に腕を掴まれ床に倒れた状態になりながらルーンにそう叫んだ。が遅かった。

「女、ヴィルを助けてほしければお前が俺の元へ来い。そうすればヴィルは放してやろう。」

「な!?何を言うのです!兄上!」

「何を心配しておる?恋人を取られるのが心配なのか?案ずるな暇を持て余しておる妃達の話相手にするだけよ。さぁ女・・・いや、ルーンと言ったか?どうする?ヴィルを助けてほしいのであろう?」

(ヴィルを放してくれる?放してもらえればヴィルは計画を実行できる・・・ヴィルの手助けができる!)

「行き・・・ます。」

ルーンは怯えながらに返事をした。


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