魔界の姫と緑園の王子
「ルーンはどこだ!!!ルーンはいないのか!」
その時の魔界では魔王コルタンが姫の魔力を感じられず探しまわっていた。
「へ、陛下!落ちついてください!ただ今兵が姫様をお探しになっております。」
従者がそういうとコルタンが言った
「落ちついていられるか!そんなこと言っておきながらもう何時間たったと思っておる!私自ら探したほうが早いわ!」
人間界ではもう1月はたっているが魔界ではまだ三日の話しだった。
従者が慌てふためきながらに魔王を納めようとすると思いついたように言った。
「陛下。水鏡を使ってはどうでしょう??水鏡ならばどこの世界にいようと探し物を見つけてくれるはずです。」
従者がそう言うと
「おお!そうであったな!わしの従者は知恵が働くのぉ。わしも嬉しいぞ。」
そう言いながら大声で笑っていた。従者はその言葉を聞くとすぐ魔法を使い水鏡を出し魔王に渡した。
すると水鏡が揺れ始めそこにはヴィルの隣で笑っているルーンが写った。
「誰だ!こやつは!?もしや我が姫をさらった物ではあるまいな!」
魔王がそう言うと水鏡を除いた従者が慌てながら言った
「へ、陛下!違います!この男人間であります!」
王はそれを聞くと驚き目を見開いた。
「なんだと!?それではもしや人間がこちらの世界に来ているのか!?探せ!探すのだ!我が姫を探し出すのだ!」
王がそういうと従者は慌てて走って王の間を後にした。
その時ルーンはヴィルと城を出て少ししたところにある湖で遊んでいた。
正確にはかくれんぼをヴィルとルーンと侍女達とでして遊んでいた。
ヴィルが鬼になるとルーンは悲鳴をあげながら走って林の中、木の後ろへ隠れたルーンの後ろには暗い闇が広がっていた。
走り疲れてかルーンは木の陰で息を切らしていると・・・。
『・・・・・・んで、・・・・・んと・・・・・の?』
「え?」
後ろの暗闇から声がして振り返ったが後ろには誰もいなかった。
不思議に思ったルーンが声を出そうとすると。
「ルーン見つけた!」
とヴィルが木の前からひょっこりと顔をのぞかせてきた。
ルーンは後ろを振り向き戸惑いの表情でヴィルを見るとそんなルーンの表情にきずいたヴィルは
「どうしたの?あ、疲れちゃった?ここにきてずっと遊んでいたもんねー。もう暗くなってきたし城に帰ろうか。皆がルーンの好きなものたくさん作って待ってるよ。」
と言いながらルーンの手を掴みルーンを馬のとこまで連れて行く。ルーンが馬に乗るとその後ろにルーンを抱き寄せるようにヴィルが馬にまたがり手綱を引く。ルーンはまだ不思議そうに林の方に目をやっていた。
その日の夜中、どうしてもあの声の主が気になったルーンは寝静まった城を抜け出しあの湖に行こうとしていた。
「申し訳ありません。王子お目覚めください。」
侍女の言葉に目を覚ましたヴィルは侍女に聞いた。
「なんだ?こんな夜更けに、何があった?」
「はい。見回りをしていましたらルーン様の部屋の扉が少し開いていまして、中をのぞいたところルーン様がどこにもいらっしゃらなかったのです。」
それを聞いたヴィルは目を見開き言った。
「なんだと!?城の中は探したのか!?」
「はい。くまなく探しましたがいらっしゃらず。もしかしたら外に出られたかもしれません。」
「馬を出せ!探しに行くぞ!昼間と違ってこの時間は夜の動物達が活動しているんだ!」
ヴィルはそう言うと寝着のまま上に上着をはおり部屋を後にした。
その時ルーンは城を出たことを後悔していた。
ルーンは商人とあの城へ行ってからまだ一度も一人で城の外へ出たことがなく、案の定森の中で道に迷ってしまっていたのだ。ルーンが困りはててその場に座りこむと・・・・。
アォォォォ~~~~~ン!!
という鳴き声が聞こえてきた。ルーンはなんの鳴き声かわからず震えたそして頑張って立ちあがり(外に出なければ!)と考えながらに前に進んで行った。すると目の前に息を切らしている黒く毛の生えた動物がいることにきづいたルーンにはその動物がなんという名前なのかがわからない理由は記憶をなくしてからヴィルに教わっていたのは絵本を読んでもらったりしていただけだからだ。ルーンは怖くなり後ろに逃げようと振り向くと後ろにも同じ姿の動物がルーンを見つめていた。ルーンは怖くなり
「ヒッ・・・ク。ヒック。ヴィル・・・・ヴィルーーーー!!!」
と泣きながらに声を張り上げヴィルを呼んだ。
その時馬にまたがり森の中を走っていたヴィルはルーンの声に気付き声のする方に馬を走らせた。走らせた先にいたのは狼の群れに囲まれたルーンだった。
「ルーン!!」
ヴィルは馬を降り城から持ってきた剣を上げ狼たちに向かって走って行き自分が通れるだけの道を開けるとルーンの傍まで行った。
「ルーン!大丈夫かい!?」
ヴィルがそう言うと安心したようにルーンは
「うん!!ヴィルありがとう!」
「礼は後だよ!」
と言い剣を構えると、先ほどより引数の増えた狼がルーンとヴィルを囲んでいた。
(この数では僕一人では無理だ・・・。ルーンだけでもどうにかしないと・・・。)
そう考えるているとヴィルの足元にいるルーンが
(このままじゃヴィルまで怪我しちゃうの??私のせいで??そんなの嫌!ヴィルは私に優しくしてくれたの!怯えていた私を慰めてくれたの!ヴィルは私のたった一人の家族なの!ヴィルに何かあったら私・・・・)
と思った瞬間狼の1匹が飛びかかってきた。すると。
「だめぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
とルーンが目を閉じさけぶと、まばゆい光が二人を包んだ。
ヴィルは何が起こったのか分からず目を瞑る、そしてゆっくり目を開けると目の前にいたはずの狼の群れは姿形なくなっていた。ヴィルは驚いたようにルーンを見るとルーンの周りがまだうっすらと光輝いていた、そして光がが消えると同時にルーンが目を開けると
「え?ヴィル?さっきの動物さん達は?」
ごく普通に何があったのかさっぱりわかっていないルーンを見たヴィルは驚きより、ルーンが無事だったことのほうに安心をしルーンを抱き寄せた、そして
「何故こんな時間に外に出たんだ!城の皆も僕も心配したじゃないか!君はまた商人につかまりたかったのか!」
とヴィルが声をあげて言うと
「ご・・・ごめんなさい。湖に行きたかったの・・・・昼間誰かに話しかけられた感じがして気になって・・・嫌っちゃ嫌・・・ごめん・・・なさい・・・もう行かない・・・もう行かないから・・・」
と泣きながら言うルーンを見たヴィルは
「違う、違うんだ。怒っているんだじゃないんだよ。泣かないでおくれ。」
そう言ってまたルーンを強く抱きしめた。
ルーンが泣きやむとヴィルはルーンを馬に乗せ馬の手綱を持ち今度はヴィルは地面を歩いて城に帰った。




