セ◯ム、入ってました
浅葱、雪屋、黒川の3人は泣いた。
天に祈りを捧げつつ泣いた。
神はいる。
彼らは今、確信していた。
神はいたのだ。
我らを常に見守り、愛してくれていた。
その間違いのない真実に彼らは咽び泣いた。
『プログラム『アーシアン』のインストール、ありがとうございます。
これよりあなた方、地球人の肉体・霊体・精神体、その他全てにおいて、異世界とそこの生命体に対抗するための改良が行われます。
しかしながら、これまであなたが生きてきた人生を無駄にすることはなく、新しい世界をより快適に生きるための措置である事をご了解ください。
まずは、これまで学び、身につけてきた事がスキルとして身についている事をご確認ください。』
3人は自分のステータスを確認。
そこにあったスキルに苦虫を噛み潰したような顔をした。
◯スキル「忍耐」
◯スキル「空気を読む」
◯スキル「忖度」 ……etc、etc
社会人としては必須スキルではあるが、間違いなく異世界を生き抜くには必要がない。
いやもしかして異世界人との関わりの中で必要になるのか?
そんなクソファンタジーお断りだ。
「なんだろう、無性に腹が立つな」
「こんな世界、滅びればいい」
「だな」
そして彼らは説明画面に戻る。
『おそらく、あなた方のほとんどが持つスキルは戦闘向きではないものばかりでしょう。
一部スキルは、レベルが高くなればなるほど戦闘にも使用できるようになっていきますが、誰もがそうはいかないものです。
そこで、我々はあなた方が生き延びられるよう考えました。
それが、『ゲーム』です。
データ量の関係でここ1週間に限り、となりますが、あなた方が遊んだゲーム、その中で手に入れたアイテムを、一部制限があるものの使用できるようにしました。
これで食糧や武器防具、薬などの問題は解決するでしょう。
ゲームなどしない、という方には、スキルレベル用ポイント、もしくは土地神や守護神からの加護をプレゼントしています。
これらを使って、最低最悪の弱肉強食世界を生き延びてください。
我々地球の神々は、いつもあなた方を見守っています。応援しています。頑張って!!』
この文章を読んだとき、彼らは涙が溢れて止まらなくなった。
神々はまさしく彼らを見守ってくださっていたのだ。
その見守りが今、暖かく彼らのこれからを愛しんで守ってくださるのだ。
「やってて良かったクリエイティブ……!!」
「アイテムコンプリート、万歳!」
「くだらねえ、何の意味もねえ、そんな時間が全て今意味を持った……!!」
「「「神様ありがとうっっ!!」」」
そう、彼らは今はじめて、神々の愛に、そしてその愛に守られている事に気がついたのだった。