スーパー小池
スーパー小池は、駅からまっすぐ続く商店街の端のほうにある。
経営者が広い土地を持っていた事が幸いして、大きな駐車場と電気自動車の充電器を備えた、コンビニと見紛うばかりの個人事業スーパーである。
ちなみに駐車場に比べて店舗面積は小さい。
そこで勤務中のパートの皆さんはベテランもベテラン、メンタルの強さだけなら異世界の弱肉強食も乗り越えられそうな、パワフルで能力の高いおばちゃん達ばかりである。
しかし今日はその最強の一角であるスーパーパートリーダー吉田さん(本名吉田あおい45歳、7人家族の主婦で母)が連休取って少しばかりてんやわんやしている中、彼ら彼女らの目の前にその画面は現れた。
レジ打ちの彼女は忙しかったため、あのクソ店長また何か新しいもの入れやがって、とレジの画面だろうとYESを押して説明をスライド、完全無視した。
鮮魚コーナーの彼は魚を捌いている最中になんだ!とキレて適当にYESを押してあとは無視。
品出し中の彼女は気にせずYESを押して無視。
バックヤードで水分補給中だった店長は、『俺疲れてんのかな』と半笑いでYESを押して無視。
吉田さんを召喚できるならなんでもするのに、とちょっぴり泣いた。
ちなみにお客さん達はこの時間、タイムセール中でそれどころではなく、またここの店長新しいものにうっかり乗っかって、と、みんな新種の広告だろうとさくさくスルー。
スーパー小池が世間の流れに追いつくのは30分後、まだもう少し先の事である。