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世界は変化する

 それは唐突にやってきた。




 ピロン♪




 美容院のソファでスマホを見ながら順番待ちをしていた美羽の目の前に、半透明の画面がいきなり現れた。


「なに!?」


 美羽が思わずのけ反ったのと同じタイミングで、周囲の全員が声を上げたり驚いたりする。


「うわっ」


「え?」


「何これ?」


「ん?」


 作業中だった美容師含む大人たちは比較的冷静に、だが全員が同時に何かを見て驚き、そして周囲の様子をうかがった。


「えーと、もしかして今、みんな目の前に何か出てたりする?」


 そう笑顔で訊いてきたのは、この美容室の店長をしている真崎だ。


「出てます、店長」


「あたしも。何かゲームの画面みたいなヤツが」


「ゲームのスタート画面みたいです。タイトルは『アーシアン』。スタートってボタンありますけど押してみます?」


「うん、そうだね……」


「あ、あたし押しちゃいました。説明画面みたいなのになってます」


 美羽がしぱっと手を挙げる。

 真崎はそれに苦笑して近づいてきた。


「早いなー、美羽ちゃん。吉田さん、ちょっと変わるね。ナナちゃん、吉田さんの髪、ドライヤーよろしく」


「はーい」


「いいわよー、でも乾かしたら今日はカットやめとくわ。また今度にする」


「いいんですか?」


「だって面白そうじゃない! なのにこんなときに髪切って手が動かせないとか悲しすぎる!」


「まあそうですよねー」


 言いながらナナは吉田のカットクロスに手をかける。


「はずします? クロス」


「ぜひ!」


 そう言った吉田(45歳パート主婦)の目はキラキラと輝いていて、ナナは楽しそうだな、と笑顔でクロスをはずした。

 本音のところは自分も早くさわりたい。

 でも仕事仕事、とドライヤーの電源を入れて吉田の髪を乾かし始める。彼女は何やら目の前にあるものをポン、ポンと押しながら読み進めているようだが、ナナにはそれは見えない。

 どうやらナナの目の前にも浮かぶこの半透明のタブレット画面のような何かは、当人にしか見えないようだ。

 そうなるとどこまで一緒かは分からないが、待合室のソファでは店長と美羽ちゃんが隣に並んで互いに見えるものを確認しあっているようだ。


 きっと後で教えてもらえるだろう、とナナは吉田の髪を丁寧に乾かしていった。









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