第二話 ep.2 造花の百合
注意
この物語は最初から最後までおとこの娘のえっちなお話なので、路線変更などはしませんご心配なく。
竜児の姉のエピソードなどは(裏でなんかえぐそうなこと起こってんな笑)程度に思って下されば。
本編には全く影響しません。
シリアスとか喧嘩とか怖すぎてあたいそんなの書けないわ!!
前書き
このお話は「Hになるほど硬くなる!」であってます。
2-2
やあみんな!俺は古東篤史!
現在進行形で金に困っている大学一年生で、カフェ『フェミメイル』のたった一人の従業員!
店長の足に縋りついて採用を懇願した出会いこそ最悪だが!今ではなんでもそつなくこなす優良従業員!
パッとしないのは顔だけ。それ以外は優秀も優秀!あの素っ気ない店長も頼りにするこの俺は今!
従業員室に控えさせられていた。
どうやらパッとしないのは顔だけではなかったようで。
「という冗談は置いといて…」
ふざけた思考を止めて、従業員室の壁にかけられたモニターを見やる。
そこには、監視カメラからの映像が流れており、店頭や店内の様々な区画の映像を映し出していた。
従業員室に俺が追いやられている理由はわかっている。
モニターの映像の一つ、テーブルに向かい合う二人の女子高生の一人、白髪の子をみる。
そう、この子だ。この子が来ると毎回店長に後ろに下がるように言われるのだ。どうやら店長はこの子をいたく気に入っているようで、どんなに忙しくてもこの子の相手だけは自分でしようとする。
カウンターの方の映像を見ると、店長が二人の方をじっと眺めながら立ち尽くしていた。
給料上げろ。
「それにしても、あの二人仲が良いな…」
映像は音までは伝えてくれないが、音がなくともわかるほどに仲睦まじく談笑しており、見ているだけでこちらも頬が緩んでしまう。
「おっ…」
映像の中の金髪の子が、味を共有しようとしたのだろう、白髪の子に自身のスプーンで掬ったパフェを向け、言うなれば、あーんをしようとしていた。
特に何の下心のない金髪の子に対し、白髪の子はその行為の意味するところを理解しているのだろう。
ボッと顔を紅潮させると、迷っているのか口をぱくぱくと動かす。
自分で取ります。そう言ったのだろう。金髪の子はあっさりと引き下がり、新たなスプーンを用意する。
そのスプーンを受け取る間も白髪の子は動揺を隠せず、その目は微かに潤んでいた。
「ッス―――………ご馳走様です」
モニターに映る美しい光景に心からの感謝を込めて拝む。
「やっぱり百合はいいなぁ………男同士とかクソだよ」
「何か言った?」
「ヴェッ!?マリモッ!!………って店長?!」
慌てて振り返ると、そこには先ほどまでカウンターにいたはずの店長が腕を組んで立っていた。
「何で店長まで裏に来ているんですか!?フロアに誰もいませんよ!?」
「休憩だよ。何か文句でもあるの?」
「……いえ…ありません」
鋭い目に睨まれて俺は思わず萎縮する。
店長、氷上涼子は、何と言えば良いのだろうか、恐ろしく美人なのだが、それ以上に恐ろしく恐ろしい。短く切られた黒髪は涼しそうな印象を与えると同時に女性らしからぬ男らしさも与えてくるし。その鋭い目は怖い。ただ怖い。
彼女の素っ気ない振る舞い方もあり、クール系美人、いや氷の女帝、いや氷鬼、もしくは鬼…………
「何?」
「いえなんでもないです」
「…………」
それにしても今日は一段と冷たい気がするが、何かあったのだろうか。
違和感を感じる俺を気にも留めず、店長はコップに水道の水を注いでいく。
コップの縁ギリギリまで注いだそれを、彼女は「はい」と俺に差し出す。
「あ、ありがとうございます…?」
(店長がてずから水を汲んでくれるなんて珍しいこともあるもんだな……)
そう思いつつ、受け取った水を飲もうとすると、
「は?何飲もうとしてるの?」
「えぇ!?飲めってことじゃないんですか!?」
「違うわよ。今、フロアに金髪の子が来てるでしょ?」
「あぁ、はい。来てますね」
店長はコクリと頷くと、親指でフロアの方をピッと指差して告げる。
「やりなさい」
「なにをですか!?」
「こうよ」
「殺せと!?」
親指を素早く下に向ける店長に俺は叫ぶ。
「違うわ。金髪の子に水をかけるの」
「はぁ?なんでですか…?」
「あの女の無駄に濃い化粧を剥がして千尋くんと別れさせるためよ」
「身勝手すぎるだろ!!って……待ってください。え…“くん”?“ちゃん”じゃなくて?」
真剣な顔で目的を告げる店長に対し、俺も真剣な顔で問いかける。
胸騒ぎがする。まさか………
「えぇ。千尋くんは男、いえ、おとこの娘なのよ!!」
「俺の百合の園がぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!」
俺は水がこぼれるのも無視して地に伏せ、告げられた事実に慟哭する。
思いもよらない現実…いや、どこか心の中で予想はしていた。しかし、白髪の子のあまりに美麗な外見から無意識にその可能性を放棄していた。店長のお気に入りなら真っ先に考えるべきなのに。
そう、この店長は―――
「あの見た目でおちん○んついてるなんて最高よね」
―――無類のおとこの娘好きなのだ。
恍惚とした表情で熱い吐息と共にそうこぼす店長に俺は内心げんなりとする。
この人はおとこの娘のこととなるといつもこれだ……普段はクールでカッコいい雰囲気を纏っているのに、おとこの娘を目にするとその氷は瞬時に融解し、だらしなく緩んだ顔と発情しているかの如き眼光は、それだけで人々の手を携帯へと伸ばさせる。顔がもう110番案件なのだ。というか俺も今迷ってる。よだれを垂らしモニターの中の白髪の子を舐め回すように見つめるこの店長はもう捕まった方がいい気がする。給料上げてくれないし。
「っていうかそんなに彼のことが気に入っているなら彼の好きなようにさせるのが一番じゃないんですか?」
「――――」
「ほら、お相手も可愛い子ですし、悪い人じゃなさそうですし」
瞬きの内に表情を引き締め直し、こちらを見つめる店長に気圧されつつも俺は続ける。
店長は顎に手を添え「ふむ…」と息を吐くと、
「そうね、金髪の子もなかなか良いわ。純粋そうだし、見る限り千尋くんに下心もなさそう」
「そ、それなら」
「でもね彼女には一つ私が絶対に容認できないことがある」
「え?それは?」
「それは―――」
「―――彼女が女の子だというところよ」
「何言ってるんですかマジで」
真剣な表情で理解し難い要因を吐く店長に取り残された俺は、だが店長はボルテージが上がってきたのか無視して続ける。
「そもそもおとこの娘と女で結ばれることがこれ以上なくナンセンスだと思うの。せっかくおとこの娘なのに女とくっつく物語とか理解できないわ。おとこの娘も性別は実際のところ男なんだから女のことを好きになるのが当然という人もいるけれど。おとこの娘は性別を超越した存在であってこうして性別の範疇で語るのはおとこの娘に対する侮辱よ。というかせっかく女の子みたいな体と顔と心を持ってるのになぜわざわざ女とくっつけるの?勿体無いというかおとこの娘の良さを半減させているわ。言うなればいいコーヒーにそれ相応のミルクではなくさらに別の安いコーヒーをいれている感じよ。いや、違うわねおとこの娘もミルクは出せるわ。それにおとこの娘はただ女の子みたいな見た目していればいいわけじゃないの。心に女と男の二つの要素があってこそのおとこの娘なの。自称おとこの娘なのに女にばかり目が行く奴は私は認めないわ。おねショタでショタが主導権を握っているような気持ち悪さを感じるもの。まぁでもそこから堕とすのも好きだけれども。だからと言って心が完全に女の子なのもいただけないわ。それはそれでえっちだけれども、女の子になりたい子がみんなおとこの娘というわけじゃないの。男の娘がおとこの娘なの。おとこの娘が男のことを好きになって自分の性別と自分がありたい性別との差異に悩みつつも恋焦がれるのをやめられないというのが美しいの。おとこの娘が乙女の心で、性別の分類としての男を好きになるのではなく、好きになった人が男だったというのが美味しいの。それでこそのおとこの娘なの。それでこそえっちなの。だから―――」
「―――私は千尋くんが女とくっつくのを阻止しなければいけないの」
(………キッッッッッッッッ)
突然襲い掛かる言葉の奔流に、だが理解を拒んだ脳がなにやら軋む音をたてる。
今おとこの娘と何回言ったのか、そもそも何をこの人が言っているのか全くわからないが、たぶん理解しないほうがいいことのような気がした。理解したら戻ってこれないような気がする…………
故に思考を放棄し、それより、とかねてよりの疑問を口にする。
「何で自分でやらないんですか?」
「いやよ嫌われる」
「どこまでも身勝手だな!?」
色んな意味で頭の痛い状況に俺はため息をつく。正直、店長の言っていることはほとんど理解できなかった。しかし、いま何をすべきかは明確にわかる。
「とにかく、俺はやりませんよ」
こんな変態的要求、飲めるはずがない。そして何より、
「俺は人の恋路を断つような真似は絶対にしたくありません」
「時給300円アップ」
「やります」
独奏的なラウム8です
わかる
合言葉
『おとこの娘って単におとこの娘と一括りにしてはいけないと思うんですというかできないと思うんです女装していればおとこの娘なのかと問われればそれは違うとみんなが思うようにおとこの娘の中にも種類があってそのどれもに大きな魅力があるんですそれはまさに十人十色私はおとこの娘は白いものであってほしいです願望ですええそれはまぁおいておとこの娘がおとこの娘足りうるのはなにによってかその問いの答えも千差万別だと私は考えますおとこの娘にたくさんの種類があるようにねしかし私はしいて言うなら心と体における男女の要素のバランスだと思いますええつまるところえっちなんですよなんなんですかねあんな可愛らしい顔してるのに股にはあれが付いてるんですよ小ぶりなそれを精いっぱい反らす夜を経ているんですよなのにあんなにかわいいなんて反則じゃないですかいやでもピュアな子も好きですけどねええ話がそれましたが私は生意気なおとこの娘もピュアなおとこの娘も初心なおとこの娘も経験豊富なおとこの娘も女の子になりたいおとこの娘も闇が深いおとこの娘もヤンデレなおとこの娘も大大大大大大大大好きですえっちですℌなおとこの娘おとこの娘はえっちその愛を語りつくすにはこの後書きは小さすぎるおとこの娘forevercomebyherepleaseおとこの娘はえ』




