1.砦の上の物語
「昔々あるところにある国の王がいました。王は頭が良く、誰からも好かれるそれはそれは立派な王がいました。王は悪い魔族との戦争に悩まされていました。王は悪い魔族との戦争を止めるべく、女神のいる場所に旅立ちました。そのたびはとても過酷なものでした。毒の谷を越え、竜の住処を超え、女神の試練を超え、王は女神に会い、悪い魔族との戦争を止めてくださいとお願いをしました。すると、女神はここまで来た王に敬意を払い、一体の女神の使者を遣わせることになりました。その使者は人々から守りの使者と呼ばれ、悪い魔族と人の領地の境目に結解を作り、悪い魔族が二度と入らないようにしました。それから、守りの使者によって2000年の間、平和に人の世に平和が訪れ、それを成し遂げた王は未来永劫語り継がれるような偉業とともに人々から愛される存在になりました。おしまい。どうだった」
「おうさますごい」
「まぞくこわい」
「実は。この話はね。本当のことなの」
「「ほんとう?」」
「本当よ」
「もしかして、いつも砦の上にいる男の人のこと」
「そう、今も守り続けてくれているの」
「すご~い」
「じゃあ、今日のお話はこれで終わり、みんなお休みなさい」
「「おやすみなさ~い」」
女性はろうそくを消して、静かな夜から一つ小さな光が消えた。




