妖精息子2の39
「あんなところに人間を落とすとはな。あぶねぇことしやがる」
――ああ。今はそれより
「絵里ちゃんはどうしよう!?顔色も悪いの!」
あわてる佐和子を後目に、
ハンターは気を失う少女をすがめると
「この子は魔能持ちだな?ああ……『さかしま』だからと調子に乗って術を繰り出したんだろう。マナを消費しすぎだ」
「だいじょうぶ?」
佐和子の問いには
「ただの疲労困憊だからな。とりあえず休むしか手がない……そっちの女は?」
大田原教諭を見ると、
彼女は
「絵里さま……絵里さま……ああ、すてき……」
譫言なのか寝言なのか、法悦の表情でつぶやいている。
「……なんかがツイてるみたいだな。ほっといてよさそうだ」
(とにかく、早くぷーすけたちと合流しないと……)
コチラにもどってきたおかげで、佐和子も息子の気配を感じることができる。
あの子はどうやら第二校舎の上の方にいるらしいが……
「だれか来たぞ」
ハンターの声に警戒すると
「青柳さん!」
駆けよってきたのは
「直実くん!」
同級男子とその拾い子たる木の王子だった。
「ヘッへッ。やっぱりこのへんだったか。ファイア野郎とつながってるおかげで、オレにもなんとなく佐和子の気配がわかるのさ」
自慢するちくわの横で、
平井直実は
「青柳さん。良かった無事で……って絵里!?だいじょうぶか!?」
倒れている幼なじみを見て表情を変えて駆けよる。
(絵里……ね。ずいぶんあたしの推しに対してなれなれしいじゃない。ええ、そりゃ幼なじみだものね。あたしなんかとは重ねた年月がちがうからね。それぐらいわかってますよ。ええ、わかってる……)
直実のかいがいしい態度に、よくわからないもやもやを感じる佐和子の横で、
ハンターが
「心配せずとも、その子は魔……」
言いかけるを
「……ちがいなく元気よ!ただちょっと疲れてるからだって!そうですよね!?」
あわててことばを取って、かぶせる。
(絵里ちゃんは、自分が魔能持ちであることを直実くんに知られたくないと言っていたから。秘密にしてあげないと)
そこはファンとして、推しの気持ちを尊重する。
「……あっ?ああ、まあちょっとしたら回復するだろう」
ハンターが言うので
「そう?……ならいいけど」
けげんながら受け入れたらしい男子に、
佐和子は
「それより、直実くんはどうやってここに?ぷーすけは?」
言外に雷の王子のことをふくませてたずねると、
同級生は顔をくもらせて
「彼は、ぼくらにきみの探索をたくすと、雷の王子の前に立ちはだかったんだ」




