妖精息子2の22
そこに
「――ふっ」
強力な熱波が生じた。火の王子が息を吹きかけたのだ。
その熱にあてられた真吾が倒れる。
「ぷーすけ!?」
母の問いかけに、
子は
「熱のショックで、異常な神経興奮を飛ばしただけです」
落ち着き答える。
雷の王子は
「ほう、やるな」
わらうと、しかしつづけて
「だが、そんな単純な物理ショックで余の神経支配をぬけきれると思ったら大間違いだぞ。ほれ」
その指の動きに合わせて、講堂じゅうの倒れたものたちが立ち上がる。
その先頭には真吾のすがたもあった。
「おにいさん!」
「真吾先輩!」
さけぶ絵里や佐和子たちに対して
「多少、動きに精粗はあるがな。余の電撃を直接あびたのだ。意のままに動かすなどたやすい。いいかげん腹も減ってきたし、おまえたちを一網打尽にして食事としよう。ついでに、目障りなコチラ生まれも始末してくれる」
雷の王子の支配下に落ちた生徒教員たちが、正気を保ったわずかなものたちを取り囲み、今にも襲いかからんとする。
とっさに息子が火で払おうとするのを
「だめ、ぷーすけ。みんなを傷つけては!」
佐和子は止める。
そして直実が
「ちくわ!」
「あいさ!」
口は悪くとも養い親の少年と以心伝心である緑髪の王子が、植物の枝をのばして周囲を隔てる壁を作る。
ぷーすけが
「コチラモノをあやつって自らは前に出ないとは、アチラ生まれとは意外と怯懦なものだな」
安易な挑発をしかけると
「ぬかしたな、下郎」
王子は、その両掌のあいだにまるでテスラ・コイルのような電気をおこす……と思ったら、その放電気をこちらに飛ばす。
そんな轟音を響かせる電気スパークを、ぷーすけは炎の壁で防いでいた。火がどうやって電気を防いでいるのか、そんな理屈は佐和子にはまるでわからないが、やはりウチの子は優秀だ。
電撃を防がれた王子は、感心したように
「ほう。それがおまえの力か?なるほど、人間をパスとしてつかうとは、かわったエネルギー供給システムだな。とはいえ、われらアチラ生まれとは地力がちがう」
「ぬかせ」
美青年たちはすさまじき熱光のしのぎあいをくりひろげる。
その一方で、操られた生徒を佐和子らに近づけないように奮闘しているのはちくわだった。正直、彼らを一蹴するのは簡単だろうが、なるべく傷つけないように対処しているので苦心している。
「くそ、いっぱいいっぱいだ」
おさえる樹木もひしゃげて押し破られんとするなか
床が不気味にうごめいた。




