妖精息子2の12
「ゲフッ……そうはいかん。たしかにこの揚げ物とやらも魅力的なおやつだが、栄養面で問題がある。食事はちゃんとしたものをいただかねばならん。
それにしても、やっと今から本腰を据えてディナーにとりかかろうというその時に闖入してくるとは、きみたちも無粋なものだ。育ちは違うとはいえ、少なくとも同じ血統だろうに、それぐらいのたしなみは持っていてもらいたいものだ」
手を広げて嘆く王子に、
ぷーすけは
「この人間たちのマナを吸いつくす気か?そんなことをしては死んでしまうぞ」
「?あたりまえだろう?食材とはそういうものだ」
小首をかしげる風船王子に
「そうはいかん。母上が悲しまれる」
そうよ!さすがよくわかってるじゃない。
ぷーすけのことばに、ハンターもうなずき
「狩道会に属するものとしても、人間に害するアチラモノを放置するわけにはいかんな。狩道会法の第53条にもとづき、コチラを害するアチラモノおよびその協力者のコチラモノに対しては、武力を持ってこれを排除する」
その宣言に、
術師は
「『この街』だからしかたないだろうが、よりによって悪名高い狩道会と出くわすとはやっかいだな。おとといまでのオレだったら、おそろしくてここで尻尾を巻いて逃げ出しているところだ」
嘆息すると、つづけて
「――しかし、今のオレには殿下がついていてくださる。いかに強力なハンター相手とて、なにもおそれる必要がない」
そう言って懐に手を入れる術師の横で、
あるじたる王子は
「エッヘン。そのとおりである。自慢じゃないが、きみたちなど束になっても我輩の敵じゃないよ」
その傲慢なことばに、ぷーすけとハンターはそろって
「「ぬかせ」」
ことばとともに、攻撃を仕掛けた。
ハンターが袖から繰り出し投げつけるのは匕首、苦無、錐などの短刀類、さらには矛、峨嵋刺、袖箭、三節棍、狼牙棒などなど……ぶっそうな武具・暗器を次から次へと、まるでマジシャンのように繰り出す。
それに対して、術師はシンプルに
――バンッ!
懐から取り出した古風な短筒銃の引き金を引く。
(銃!?冗談でしょ!?そんなのに勝てるわけが……)
しかし、茶髪をなびかせるハンターはなにごともないかのように、すばやくとりだした円盾で銃弾を弾いていた。
「これは……魔弾か?おそろしいものを持っているな」
おそろしいどころか、おもしろそうに言う。
術師もあきれて
「銃弾を反射神経で受けとめるあんたのほうが、よっぽどおそろしいぜ。まじで人間か?」
「一応な」
暗器と魔弾の打ち合いとなった。