表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/140

妖精息子2の3

 なんだ?そのどう考えたって、親しい間柄あいだがらでしかありえない呼称は。


 直実も同じクラスだが、絵里と彼がちゃんと話しているのを佐和子は見たことがない。

 先日の文化祭で三人はクラス実行委員だったが、絵里は佐和子としかしゃべらなかったし、直実も佐和子にしか話しかけなかった。

 学内一のスター女子と、花に水をやるだけのさえない系男子ではあまりに波長が合わず、ことばをかわすことさえできないのだろうと佐和子は思っていた。

(ただ、直実がさえないといっても、それはまわりの子が思っているだけで、彼にもそれなりの美点があると、多少親しんだ佐和子は知るようになったが)


 それにしても

(それが……なおくんだと?なに、その「キング・オブ・親近感」な呼び方)


 直実は、絵里のことばに反応して、すこしだけ振り返ると、あたりをうかがう小声で

「……なんだよ?学校では声かけるなって言ってあるだろう」

 学内一のスター女子に向かって、たしなめるように言った。


 タメ口!


 それに対して、絵里は

「なによぉ。今はまわりにだれもいないから、いいじゃない。だってもう佐和子ちゃんとなおくん、仲いいんでしょ?ならもう、あたしたちの関係を隠しておく必要なんてないじゃない。いつもどおりにしゃべろうよぉ」

 今まで聞いたことのない鼻がかった声を出しながら、ハンカチを出してクラスメイト男子の頬の土を取る。

挿絵(By みてみん)


(あたしがやろうとしたのに……って、それよりカンケイ!?あたしたちの関係って言った?)

 スター女子生徒とさえない男子生徒になにか関わりがあるだなんて、想像だにしてなかった。


 目を丸くする佐和子を後目しりめに、絵里は

「実は、あたしとなおくんって、幼なじみなんだよ」

 いたずらっぽくわらった。


 おさななじみ?


「うん。なおくんったら、照れくさがって学校のだれにも言わないようにって、あたしに言うんだけど……佐和子ちゃんなら、あたしたちどっちとも仲良しなんだから、いいよね?」

 そう言うと、指に手を当てて

「他の子にはナイショだよ。たとえば、あたしたちがちっちゃいときはいっしょにお風呂に入っていたとか」


 おふろ!いっしょにおふろ!

 なに?そのラノベに出てくるみたいな幼なじみ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ