表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/140

25.文化祭(2)

 文化祭が終わった次の日は、後片付けだ。


 生徒全員での掃除が終わったあとも、実行委員である佐和子と直実はのこってゴミ運びをしないといけない。その後ろには、それぞれの息子たち……ぷーすけとちくわがついている。


「——なんで、あたしたちだけがのこってこんなことまでしないといけないわけ?ゴミの分別はクラス全員の仕事でしょ」

 佐和子の不満に


「……まあ実行委員だからね、しかたないよ」

 めずらしくも、直実がしおらしいことを言う。

「ぼくは体を使う仕事のほうが楽でいい……それにきみと並んで歩けるなんてうれしいな」


 思いがけない男子の好意的なことばに、なれていない少女は顔を赤らめる。 

 そんな母のすがたに、ぷーすけは機嫌悪しく、ふたりのあいだに身を入れる。


「ナオザネ、おめぇファイア野郎にずいぶん警戒されてるぞ。ママを取られるんじゃないかってな」

 後ろからちくわが愉快げに冷やかしていたが

「……って、おい」

 急に緊張感のある声を発す。


 一同の前に広がるのは

「……霧?」


 不自然な水気が、またたくまに視界が隠れるほど濃くなったのだ。


「——ふん、来たか」

 ぷーすけはなにごとも無いかのように身から火を出すと、その熱によって四人のまわりの霧が払われた……


 その先に立つのは、髪の長い美しき女性 (らしきもの)だった。

 その髪は青く透明で、まるっきり


「ウンディーネ……絵に書いたような水の精ですな」


 ぷーすけのことばに対して、彼女 (?)はもだしにらんだまま美しい髪をひろめかすと、その髪先に水の玉が浮かんで……

 急激な勢いにのって、無数の水弾が佐和子らに襲いかかる!

挿絵(By みてみん)

「……無礼ものですね、挨拶もなく」

 ぷーすけが即座に放つ火の玉とぶつかり、相殺される。


 無数の火と水がぶつかって、大量の蒸気が発生し視界が悪くなるが、火の王子……ぷーすけには熱センサーでもあるのだろうか、問題なくすべての水弾を防いでいる。


 佐和子や直実らがふつうの人間として、せんかた無くこの世ならざる火と水の応酬を見守っていると……


「あぶねえ!」

 ちくわの声とともに、ふたりの生徒は植物の枝に巻かれて引っ張られた。


 彼らが立っていた通路には、大きな

「……岩?」

 砕けたかたまりが叩きつけられている。あんな物が当たっては即死していた。


「あ、ありがとう、ちくわ!」

 少女の礼に


「……そんなのはどうでもいい、はやく警戒しろ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ