17.もうひとりの妖精息子(6)
「ふとんに入る……」
ぷーすけが、直実のことばをうらやましげに反芻して佐和子を見るが
(あんたはだめだからね)
母は視線で拒絶した。
そんなふたりの様子を見て、直実は
「……もしかして、青柳さんペットを飼ってたことがある?」
「うん」
佐和子の返事に、直実は納得したようで
「ぼくも飼ってたんだ、フェレットを。かわいがってたんだけど死んじゃった。だから、なついてくるこの子を見捨てられなかったんだよ」
緑髪を撫でると、さらに
「ちくわは決して強くないと思ったから、そんな命を賭けての王位争いなんてやめるように説得したんだけど『おれがやらなきゃ、おまえが巻き込まれてやられる』て言って……」
——えっ?なにこの子、急に襲ってきてひどいと思ったけど、そういう親孝行な気持ちで来たの?……いじらしいじゃない。
ぷーすけも
「このものは、ナオザネどののことをかくしていました。それは、拾い親を戦いに巻きこみたくなかったからでしょう。そこは感心できます」
みんなにほめられて、照れくさそうなちくわは
「ふん!なんでぇ、つまんねぇ!命枯れるまで勝負しようと思ってたのに、こうなったら気が削がれちまったぜ……こうなったら、もういいや。おれは降参だ!のこりは、おまえの下につくことにしたぜ」
赤髪の同胞を指差す。
「のこり?」
佐和子の問いに、緑髪の精は
「もちろんそうさ。まだ、ゲームは終わっていない」
ぷーすけを見なおすと
「……おまえはわかっているだろう?この世界には、おれたち以外にも卵が落とされ孵化しているものたちがいる。王子は、王位を争うものだ。王が決まるまで戦いは終わらな……」
あれ?言いながら、ちくわが苦しげだよ。
おかしく思った直実があらためると
「——ああ、ちくわ!おまえ怪我してるじゃないか!?」
かくしていて気づかなかったが、腹部に損傷がある。
ぷーすけとの戦いでついたのだ。
「……こんなの、だいじょうぶだ。ほっときゃ治る」
少年妖精は強がるが、ぷーすけは
「そうはいくまい。その傷はわたしの炎によるものだ。放っておいては、じわじわと体中に広がってしまうぞ」
「そんな!なんとかならないの?ぷーすけ?」
しかし火の精は、愛する母の問いにも首をふって
「いくらわたしが火属性と言っても、それでついたやけどを治すのはまったくの別問題です。治療行為は医者の仕事でしょう?」
「そんな!医者って言っても、ふつうの医者じゃ間に合わないだろう?」
直実の問いに、ぷーすけは重ねて
「……ですので、ふつうじゃない医者のところに行くのです。この街ならば『アチラの医者』がいるでしょう」
——あちらのいしゃ?なにそれ?




