14.もうひとりの妖精息子(3)
それに対して緑髪は
「ふんっ!やってみるか?このマザコン野郎!」
彼はやはり風をつかうのが上手らしい。手をふるうと、それに応じて突風が吹き荒れる。
ぷーすけが佐和子を抱きかかえたまま地面に飛び下り避けると、風の勢いで曲がりくねった鉄製屋根に
「……葉っぱ?」
緑色の木の葉が、まるで鋭いナイフのように突き刺さっている。
「風でものを飛ばすだけか?シルフの児戯だな」
あざけりに
「なめるな!よけるだけのものが!」
緑髪は、さらに手をふるう……
って、あれ?風が来ないよ。
佐和子が戸惑っていると
「——まずい」
ぷーすけが、にわかに佐和子を突き放した。
「きゃっ!なにすんのよ?」
地面にしりもちをついた佐和子が文句を言おうとすると
「えっ……なに?」
ぷーすけの身をすっぽりくるんでいるのは、通路の煉瓦を突き破り上がった巨大な植物の根茎だ!
緑髪はその美しい顔を笑み曲げて
「ふん、そのコチラモノをかばったか?ばかなやつ……まあいい、そのままボクのかわいいシモベに押しつぶされて死ぬがいい!」
その声に合わせて、巨大な根茎はとらえたぷーすけの身を締めつける。
「そんな、ぷーすけ!やめて!そんなひどいことしないで、その子を助けて!」
少女の懇願にも冷ややかに
「そうはいかないな」
ますます締めつけるが
『——ご心配なく、母上』