表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精息子ーお母さんと呼ばないでー  作者: みどりりゅう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

132/140

妖精息子3の39

 その変化の様子を、さわこはただながめていた。これで、この世界はもとどおりに安定するのか……。


『――そんなことをさせてはならない』

 また声がした、と思ったとき

 

 バリンッ!!


 宮殿の水晶の天井を突き破って落ちてきたのは、組んずほぐれつ戦う黒鎧の騎士と

挿絵(By みてみん)


「ぷーすけ!」

 火の王子のすがただった。


 彼らは落下すると、互いにすばやく距離をとって

「「――邪魔ヲ、スルナ」」

「――やれやれ。なるべく宮殿から遠ざけようと思ったのだが、なかなか強引なものだ。押しが強くていけない」

 にらみあう。


 彼らを空の王子……いや、もはや王になったものは、その座から見下ろして

「おそかったな、汚れた混沌のものめ。この座にはすでにオレが着いた。オレさまが、この世界の新たな王……秩序だ」

 威厳ある声で威圧する。


 それに対して、黒鎧の騎士は

「「秩序ナド、ミトメナイ。ソノ座ニハ、ワレラノ種子ガ、根ヲ張ル」」

 言うと、玉体を槍で刺し上げんとする。


 しかし、王は

「――退しされ!けがらわしきもの!王前である!」

 腕より出したレーザーで、混沌の騎士の鎧を貫き、転がす。


 そして

「王の与える秩序は、混沌に死を与える。いまわしき混沌の種を持つものをこの座に近づけてなるものか!この世界は、永遠にオレのものだ!」

 呵々大笑する。


 それに対して、混沌の騎士は穴の開いたところから身を崩しながら

「「……近ヅケナイ?何ヲ言ッテイル?オマエガ、種ヲ座ニ近ヅケテクレタ」」

 くぐもった声で嗤う。


 どういうこと?


「「――ワレハタダ、種子ガ着床スル『支援』ニ、派遣サレタモノ。ソシテ今、ソノ任務ハ完遂サレタ。無事ニ種子……新シキ混沌ノ母胎トナルモノガ、座ニ至ッタ……」」


 その視線の先にいるのは、ほっそりとした少女だ。


「「ヨクヤッタ、種子ノ運手ハコビテ」」

 うやうやしく頭を下げる騎士に


「なにを言っているの?」

 とまどうばかりのさわこだったが、


 空の王は目を見開いて

「そういうことか!?退れ、けがらわしきもの!」

 少女に攻撃を加えようとするが、


 それを防ぐものがいた。火の王子……ぷーすけだ。

「やめろ。そのものに危害を加えてはならない」


 その態度に、さわこは喜んで

「さすが!やっぱりあたしのことをわかっていたのね?まったく、あたしのことを忘れちゃったのかと心配しちゃったじゃない」

 息子を褒める。


「……その顔を見間違うことなどありえない」

 そんな火の王子に、


 空の王は

「なにをする!?今のこのもののげんを聞いただろう!その娘こそが混沌の種子!われらが敵だ!」

 訴えるが、


 赤髪の王子は平然と

「そんなことは、わかっている」

 言った。


 ――へっ?なにを言っているの?あたしは佐和子。あなたのたまごを拾って誕生を見とどけた……いちおうは養い親よ。

 そう訴える少女を、


 火の王子は憐憫のまなざしで

「それはちがう。おまえは、わたしの崇敬する母ではない」

 首をふった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ