表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
119/140

妖精息子3の26


 王子は薄目を開けると

「王妃の飼っていた異界よそものか……たしかに、余は契約したな。うぬには手出しせずに守ると……とはいえ、このようなざまになっては、おまえを守ると言ってもできることはほとんどあるまい」

 自嘲気味に言う。


 傲慢を絵に描いたような王子らしからぬすがただ。


「あの機械兵どもに取り囲まれて、このざまだ。このまま静かに消滅を待つつもりであったが、そんな余の前にうぬらがすがたを見せたというのも、これも王妃の執念か」

 王子のことばに、


 坊が

「かあさまは死んだよ。あの金属のツルピカたちを引きつれて死んだ」

 言うと


「……そうか、異界よりの侵略を身を呈して防いだということか。仮とはいえ、この世界の支配者だったものとして正しいすがただな。そこは評価できる」

 たたえる。


「あのツルピカは、いったいなにかな?」

 坊のなれなれしい問いにも、


 たんたんと

「あれは、おまえと同じく異世界よりの侵略者だ……と言っても本来、あの程度の侵略は身体に入る黴菌ばいきんと同じで、日常茶飯事。ちゃんとした免疫……正式な王による防衛体制さえ整っていれば、すぐさま排除できた。王の不在が問題の本質だ」


「ぼくは、侵略なんかしてないよ」

 坊の不満げな声にも


「ふん。たしかに侵略の意志はなかったろうが、結果として今この世界が危機に瀕した最大の要因はおまえだ、取り替え子。おまえと王子の卵が取り替えられたことで、この世界の秩序が崩壊されてしまった。

 取り替えられ異世界で生まれた王子は、われわれの常識とは異なるグロテスクな成育をとげた。まさか、王になるのを厭う王子とは!本来ならば最初に抹消されるべき精神的奇形児が一番の強者になるとは、まさしく世の末だ。これでは次の王がいつまでも決まらぬ!」


 動きもままならぬ苦しい体で、せいいっぱいの憤激をしめすと

「……このままでは混沌が復活する。いや、すでにその影はこの世界に射している」

 顔をしかめる。 

挿絵(By みてみん)


 ――こんとん?さっき、あの黒い騎士が言っていたことばだ。


「なにそれ?ぼく知らないよ」

 坊の重ねての問いに、


 王子は

「……それは、この世界の成り立ちにかかわることがらだ。おまえたちよそものにこの秘を明かすことは決し……いや、この期に及んでそんなことに拘泥こうでいしても、仕方あるまいな」

 半分なげやりに苦笑むと、説明をつづける。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ