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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
二章・死の炎

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先代皇魔女ルーユ

「ずいぶん気にかかる言い方してくれるじゃんか?一体何をお話ししてくれるんだ?」


「まあ焦るな。

まず、お前さん達はロザミの使いでリスウェ湖に行ってきたのだろう?ご苦労だった」


「気にするな。大したことないお使いだったからな」


「そうですね。私としても、白水兵に会う事が出来てよかったです」


「そうか。冥月龍神、じゃったな。

お前さんなら、奴らとの交渉も容易だったであろう」


「まあな…あいつらは一応同族だし」

殺人者は一目見れば誰が同族かすぐわかるし、殺人者同士は仲がいいものだ。


「ならば、交渉は上手くいったのだな?」


「ああ。ロザミにいい報告が出来るな…って思いながら帰ってきた次第だ」


「それはよかった。

ところで、ここからリスウェ湖までの間で何か、変わった物を見なかったか?」


見事なタイミングだ。

丁度、報告したい事があったからな。


「ああ見たぜ。途中の河辺に、ルビーズ・ブエルが沢山生えてたんだ」


俺がそう言うと、ルーユは酷く驚いた。   

「なに、本当か!?」


「本当さ。村をまるまる一個潰して、竹林を形成してたよ」


「なんたる事じゃ…

他にブエルが生えているのを見たか?」


「いや、今回見たのはあそこだけだった。

ただ、他の場所にも生えてるのかもしれんが」


「そうじゃな…」


ここでルーユは老眼鏡をくいと押し上げ、

「よく聞くのじゃ。今この国は数千年ぶりの危機にさらされておる。

わしらは、生きるために戦わねばならぬ。お前さん達には、可能な限りわしらと共に戦ってもらいたい」

と、凄みのある声で言った。


「一体何があったんですか?」


「先ほど、ロザミがミレールに向けて出発した。

その直後、楓姫の僕たる死霊騎士と祈祷師が国を襲ってきた」


「…!それで、どうなったんですか!?」


「持てる限りの戦力をつぎ込み、どうにか撃退した。

戦力にならぬ者たちは家に籠らせ、防衛に徹しさせたおかげで無傷じゃ。だが、戦わせた者達の被害は甚大なものになっておる。

ロザミはいつ戻るかわからん。奴らはいずれ戻ってくる。

わしとて国を守りたいが、何分この老体じゃ、とてもまともに戦う事はできぬ。

次に襲われれば、この国は終わるであろう。

…のう、お願いじゃ。

どうか、若く強いお前さん達がこの国を守ってくれ」


先代の皇魔女に、頭を下げられてしまった。

だが、ここで断る理由は全くない。


「わかった、やってやろう」


「私も精一杯戦います。これ以上、彼らの好きにはさせません!」


ルーユの表情が、悲嘆に暮れた暗い顔から希望に満ちた明るい顔へ変わった。

「やってくれるか!ありがとうのう…」


「しかし、私達だけであの二人を相手するのはキツいかもしれませんね…」


「だな。確かな実力がある味方が数人欲しいが…」


「それならばわしの弟子、リヒセロを呼ぼう。

あやつなら、きっと心強い味方になってくれるぞ」


なんだ、そういうことだったのか。

だからあの百合がパスポートになった訳だな。


「リヒセロさんを、ここから呼べるんですか?」


「うむ。あやつとは師弟の契りを結んでおるからの、どこにいても呼び出せるわい」


そして、ルーユは左の中指にはめた白い指輪を擦った。


「第3の弟子よ、顕現せよ」


指輪から小さな緑の光が飛び出し、地面に落ちた。

そしてそれは人型になり、リヒセロの姿になった。


「リヒセロ、ここに参上いたしました。

お祖母様、お久しぶりです」


「おお、元気そうじゃな。わしはおまえに会えて嬉しいぞ」


「私もです。あら、お客様がいらしたのですね」


「ああ。そしてこの者達は、マトルアの盾となる事を受け入れてくれた者達じゃ」


「…という事は、この国に何か大きな危機が迫っているのですね。

お祖母様、よろしければご説明をお願いします」


「うむ」


そして、ルーユは一連の経緯を話した。




  









        ◇





リヒセロさんはルーユさんから話を聞いている間、目を見開いたり相槌を打ったりしていた。


そして、ルーユさんが話し終わると、すぐに口を開いた。


「龍神さん、アレイさん。

どうか、よろしくお願いします。

私も精一杯戦いますので、共に頑張りましょう」


「はい!」


「おう!」


ルーユさんの話では、死霊騎士達が次に来るのは二日ほど後になるだろう、との事だった。


ルーユさんは「予感」の異能を持っていて、近い将来に起こる事は「予感」としてわかる。

なので、疑う必要はなさそうだった。


ところで、私は明日、行きたい所がある。

ルーユさん達にそれを言ったら、快く承諾してくれた。



宿を取り、龍神さんと同じ部屋にしてもらった。

そして、目的地と目的を話した。

  

彼は、喜んで了承してくれた。


「へえ、いいな。よし!明日行こうか!」



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