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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
二章・死の炎

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再来

「ん…、ここは?」


「お目覚めですか?もうすぐニームですよ」

彼を起こさないように背負い、真っ直ぐ浮上して海面に顔を出し、陸に向かって泳いでいた時に龍神さんは目を覚ました。

「っ、太陽が眩しい…それに、空気が冷たいな」


「海の中が快適だってこと、わかっていただけましたか?」


「ああ…てか、君よく俺をおぶれてるな」


「水兵は水中では身体能力が強化されますからね。

龍神さんも、同じ強化を受けているはずですよ」


「そうか…じゃ俺も泳いでいくか。しかし、初めての海水浴が10歳も年下の女の子と一緒とはな…」


「海に来たことなかったんですか?」


「海辺の都市に来たことはあるけど、海に入った事はなかった。

俺は内陸出身だし、泳げないんだよ…ノワールに来た後も、海に入ってなかった」


「そうなんですか…あ、もうニームに着きますよ」




海に入った時と同じ砂浜に上がる。

人間だと陸に上がるとき体が重く感じるけど、水兵はそういうのはない。

また、水兵は陸に上がっても体が濡れているうちは水中と同じ強化を受けられる。

戦闘に出る時は、一度髪や服を濡らすくらいだ。



神殿近くの町の入り口にリヒセロさんがいた。

「来ましたね。そろそろ時間なので、神殿に行きましょう。お姉様はもう神殿で待機しているはずです」




キャルシィさんは玉座の間で待機していた。

「来た来た。準備は出来てるよね?」


「はい…」


「いつでもイケるぜ。

てか、部下は連れてないのか?」


「これ以上犠牲を出したくないからね。

奴らの迎撃は、私とリヒセロとあなた達二人の4人で行うわ」


「そうか。…ん?なんで複数形なんだ?」


「夢に見たのは二人だった。仮面をかぶって赤いローブをまとった男と、変な装身具をつけた女」


「女?そっちも祈祷師か?」


「そこまではわからなかった。

けど…」

その時、窓のステンドグラスが割れた。





「…!」

それはバスムと、緑のワンピースのような服を着て胸のあたりに体を覆うように大きな銀色の輪のようなアクセサリーをつけた女だった。

「おお、来たな!」


「まだやり残した事があったのでな。そして、今回は私一人ではない」


「その女は何者なの?」


「この方は…」

女はバスムの言葉を切って自ら名乗った。

「私は死霊騎士エイミ。炎の再生者苑途楓姫の友人にして、腹心よ」


それを聞いて、私達はみな一斉に身構えた。

「騎士」という種族の異人は経験を積むことで聖騎士、魔騎士と昇格していき、最後には霊騎士という最上位種族になる。

霊騎士は霊力と呼ばれる独自の力を扱う事ができ、例え死んでも記憶と種族と能力をそのままに別の肉体を持って生まれ変わる事が出来る。

その霊騎士が、自らアンデッドとなったものが死霊騎士。

再生者同様に死の始祖に仕え、再生者と同じかそれ以上の実力を持つ。


「死霊騎士?楓姫に友人などはいないと聞いたのですが」


「巷ではそう言われているな。だがそんなのは作られた話に過ぎぬ。

エイミ様は、紛れもなく楓姫様の唯一無二のご友人なのだ」


「ええ、そうですよ」

私が口を開くと、みんながこっちを見た。

「お前は、此度新たに再生者となった星羅こころの妹ね?」

エイミは降りてきて、私の顔をまじまじと見た。

「かわいい…なるほど、確かにあの陰陽師にも似てる。

その目も、その魔力もね」


「エイミ様、恐れながらその娘の回収は…」


「わかってるわバスム。

まずは、こいつらを片付けないとね」

エイミは龍神さん達の方を向き、鈍く赤色に光る大剣を抜いた。

「へえ、お前は大剣使いなのか」


「その目…お前は殺人者ね。

殺人者が水兵のボディーガードってわけ?

…面白いじゃない。言っとくけど、お前のその刀では私の大剣は斬れないわよ?」


「そりゃ分が悪いな。だがな、ここにいるのは俺だけじゃない。

リヒセロ、キャルシィ、それにアレイ…

みんなで、お前らをぶっ飛ばして見せるさ」


「かかってきなさい…死霊騎士だろうと、町に害をなす者には容赦しない!」


「楓姫の友達なら、あいつに言っといてくれる?

『ニームの連中は想像以上だった』ってね!」


「ほう…威勢はいい連中ですな。

しかし、我らにとっては恐るるに足りない。

そうでございましょう?」


「そうね。

それじゃ、まずはあなたが奴らと遊んでおあげなさい」


「承知でございます。…闇法 [情裂くもの]」

バスムが唱えた術の効果は目に見えるものじゃない。

龍神さんたちは気づいてないかもしれないけど、私達は互いにサポートが出来なくなった。

連携して戦う事も出来ないし、誰かが傷ついても助けられない。

つまり、2人チームの敵に4人個別で立ち向かわなければならない。完全に自分自身の実力が試される戦いだ。


「では、始めましょう」



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