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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
二章・死の炎

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復活

門番の人達に煌めく清水を持ってきた事を伝えると、とても喜んで通してくれた。

玉座の間では、ラニイさんとティーサさんが仰向けで眠っているキャルシィさんを囲んで心配そうに見ていた。

二人は私達に気づくと、

「お帰りなさい。早かったわね」


「お戻りになられましたか。煌めく清水は入手できましたか?」

と言ってきた。

「ええ、しっかりと」

私が瓶に入った清水を見せると、二人は喜んでくれた。

「…本当に煌めく清水だわ!」


「よかったです…さあ、すぐに長を戻しましょう!」


「はい!」

私はキャルシィさんに歩み寄り、瓶の蓋を開けて清水を飲ませた。



キャルシィさんは、なんとも表現し難いけたたましい叫びを上げた。

そして、体が溶けて一度黒い油のような姿になった。

そこからスライムのように人型に伸びて、そしてー






私の倍近くある身長。

三つ編みにした、きれいな銀色の髪。

水兵には他に殆どいない、青緑の瞳。

そして、鷹のような4対の黒い翼。

まさしく、かつて見たニームの水兵長キャルシィさんの姿だ。


「…やった!」


「ああ…キャルシィさん…!」

ティーサさんたちが喜びの声を上げるなか、キャルシィさんはその黒い翼を広げて飛び上がり、力強く羽ばたいた。

久しぶりに見た、キャルシィさんの「闇の羽ばたき」。


レークの水兵長、つまりユキさんは月に一度、朝方に海と町の全ての生物に生きる力と希望、そしてやる気を与える「光の羽ばたき」を行うけど、ニームの水兵長であるキャルシィさんは、満月と新月の夜に羽ばたきを行う。

そして、ニームの脅威となる異形やアンデッドを静め、無力化しつつ、海と町の全ての存在に安らぎと幸せ、穏やかな休息を与える。

普通は日も沈みきった夜に行われるので、夕暮れに見られたのは運が良かったと言えなくもない。


キャルシィさんは玉座に舞い降り、

「ふう…日が沈んでないうちに羽ばたくのは久しぶりだなぁ」

と漏らした。

「キャルシィさん!」


「あら、アレイちゃん。救援要請、ちゃんと気づいてくれたのね」


「はい。私の他、みんな気づきました。

ユキさんの命で、救援に来ました」


「ありがとう。ティーサたちも、悪かったね」


「いえいえ…長が元に戻られて何よりです」


「ふふ。それで…」

キャルシィさんは、龍神さんを見た。

「あなたは殺人鬼ね?」


「ああ、そうだ」


「普通は町や神殿に入る事は認めないのだけど…アレイちゃんの保護者なのなら、別に構わないわ。ユキも承知の上なんだろうし」


「あんた、ユキとどういう関係なんだ?」


「彼女とは長い仲なの。早くに母を亡くした私にとって、ユキと彼女の母…先代のレークの長は、姉や母親のかわりのようなものだった。

二人は、8つで長になった私をとことん気遣ってくれた。彼女らがいなければ、私は長としてやってこれなかった。だから、今もユキとはたまに会ったりしてるのよ」

キャルシィさんもユキさんと同じく、400年の命を持っていたはず。

そして今、キャルシィさんは25歳だと聞いた事があるから…

大体6800年前。そんな昔から、キャルシィさんはニームの長として頑張ってきたんだ。

それも、8歳という幼さで。


「ほ、ほう…

悪いが、桁が凄すぎてよくわからん…」

1500年ほどしか生きていない龍神さんからすれば、そりゃそうだろう。

いや、"私"からしてもそうだ。

するとキャルシィさんは、微かに笑った。

「そんな壮大に考えなくてもいい。

あなたがどれだけ生きてるのかは知らないけど…人間の感覚で言えば、たかだか17年前の事なんだもの」


「いや、それ結構な年月だからな?」


「そう?

ま、とにかく助けてくれてありがとうね。

さて…」

と、ここで一人の水兵が駆け込んできた。

「長!リヒセロさんがお戻りになられました」


「あら。わかった、ちょっと待ってるように言って。

いいタイミングだわ。二人とも、リヒセロの元に行きなさい」



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