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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
二章・死の炎

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入山

町を出て南西に一時間も歩けば、ニラルの山が見えてくる。

本来は入山ゲートを通らなければ入れないが、一般人はゲートを通れないため山のまわりの森林から不正入山する者もいるという。

ただ山のまわりの森林は複雑で、迂闊に入ると迷いかねない。

まして今は雪の深い時期なので、わざわざ不正入山する奴はまずいないだろう。

まあ、俺達には無関係の話だが。


入山ゲートとは言っても、学校の門なんかにあるようなでかいゲートと小さな建物があるだけだった。

そしてゲートの前に立つと、果たして水兵が二人現れた。

「環境保全のため、この先は一般の方は立ち入り禁止です」

とのことだったが、神殿で貰ったブレスレットを見せると顔色が変わった。

「それは!…失礼しました。

念のためお尋ねさせて頂きますが、入山の目的は何でしょうか?また、そのブレスレットは誰から受け取りましたか?」

アイテムを持ってるだけで信用せず、目的とアイテムを渡した奴が誰か聞くあたり、日頃からしっかり警戒をしてるらしい。

「ブレスレットはラニイ達からもらった。

煌めく清水を採らせてもらいたい、ニームの水兵長を元に戻すために必要なんだ」

すると、二人ともひどく驚いた顔をした。

「長って、キャルシィさん!?」


「長に何かあったんですか!?」


「ああ…」

経緯を事細かに説明した。






        ◇


「…そのような経緯があったのですか。

わかりました、入山頂いて結構です」


「煌めく清水は山頂付近の泉から湧き出ています。

金色に光る泉ですので、すぐにわかるかと。

是非、煌めく清水を汲んで来て下さい。…私達のためにも」

私達のため、って言葉が一瞬引っ掛かったけど、キャルシィさんを元に戻さないとニームを統率する人がいなくなってしまうから、そういう意味なんだろう。





ニラルは標高2000mを超える山だ。

夏場は山頂付近が涼しくていいんだろうけど、今は寒いだけだろう。

他にも、山頂付近では夜、星空が綺麗に見えるとも聞くけど、今はそんなことをしてる余裕はない。

まあ、せいぜい帰りに山からの眺めを見るくらいか。


山道はほとんど除雪されておらず、20cmは積もっている。

歩くのも大変だし、時折靴に雪が入る。

(っ、また…)

靴を脱いで雪を出してもまたすぐに入ってキリがない。

濡れるの自体は慣れてるけど、余計に寒くなるからキツい。

それに、雪のせいで道の本来の凹凸がわからず、突然ズボッとはまってしまうこともある。

簡単に抜け出せればいいけど、時には一度靴を脱がざるを得ない事もある。


やがて傾斜が急になり、岩や木の枝に掴まって登らなきゃない場面も出てきた。

掴むものにも雪が積もっているので当然、手袋も濡れる。

(ああ、早く泉につかないかな…)

手袋と言っても、今私がしているのはあくまでも矢を弓につがえて射つ時に指を痛めないためのもので、防寒用のものじゃない。

そのうち指が(かじか)み、関節が痛んでくる。

それでも、登るしかなかった。


龍神さんはというと、時折「寒いな…」とか言いながらも普通に登っていた。

彼の手袋は防寒用のものなのだろう。

羨ましい。私も、防寒用の手袋を持ってくればよかった。

まあどっち道濡れてしまえば冷たい事に変わりはないけど。


しばらく登ると、また平坦な山道が続いた所に出た。

最初はこれならもうこれ以上濡れなくていいかな、と思ったけど、手を動かさないからかじっとり濡れた感触が伝わってきて、冷たいのは変わりなかった。


もう結構高い所まで来た。地上より格段に寒い。それこそ、凍えそうだ。

でも、雪に覆われた森、というのはなかなか(おもむき)があっていいと思う。

暗い海底も好きだけど、これもいいな。


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