表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/321

起死回生

王典は私達を改めて睨み付ける。

そして、

「[デッドマンズ·オンスロート]」

恐らく補助技であろう技を自分に使い、

「[巨人連弾]」

連続攻撃を撃ち込んできた。


幸い判定こそ大きいものの連射速度はそこまで早くないので、一撃一撃を回避するのは難しくない。

でも避け続けるのは疲れるし、身体中の痛みで動きが鈍っている。 

かといって当たれば致命傷は避けられないだろう。

体に無理を言わせ、しばらく回避を続けた。


「…」

突然、王典は攻撃を止めた。

そして、

「情けないな。生の始祖の血を引き、殺人鬼と共にある者だというのに、戦いの痛苦に負けるとは。

お前には、勝ちたいという気持ちがないのか?」

と言い出した。

「…何ですって?」


「当然だろう?真に勝ちたいと思うならば、どれほどの痛み、どれほどの血を舐めようと、全力で戦うはずだ。

傷の痛みに負けるは己の弱みに負けると同義。

まあ、所詮は人間上がりの貧弱な娘ということか」

そう言っている間にも龍神さんが攻撃を仕掛けていたが、どれもさほど効いていないか弾かれてしまっていた。

さっきまで普通に効いてたのにどうして…と思ったけど、考えてみれば王典は地属性。電属性である龍神さんが不利になるのは必然だ。

「多少は骨があると思ったのだが、思い違いだったようだな…

俺は弱い奴に興味はないが、俺にはお前が必要だ。

素直に来てはもらえなさそうだからな、仕方あるまい」

王典はそう言って、技の構えをとった。



(あれは…)

なんとなくわかる。

あれを食らえば、私は死ぬ。

攻撃しようにも、弓を構える事もマチェットを振る事も出来そうにない。

(ああ、終わりか…)

やっぱり、私に再生者と戦うなんて無理があったんだ。

もはや抗う気力もなく、棒立ちした。


でも、何だろう…

心のどこかに、まだ死にたくないという感情があった。

私には、まだすべき事がある。

私には、まだ大切なものがある。

私にはー







「す…」


「…?」


「[スターナイト·トライアンフ]!」




無意識のうちに、術を放っていた。

そしてそれは、今までで一番効いていた。




「アレイ…!」

龍神さんが驚き、そして感心していた。

「ぐあぁっ…」

王典は吹き飛び、後ろに倒れ込んだ。


言われなくてもわかる…

今のは、かつてここで使われた技。

そして放ったのは…言うまでもない。


「お、おのれ…」

王典が立ち上がってきた。

「小生意気にも、あの陰陽師の術を使いやがって…」


「私が彼女の末裔だと知っているのなら、始めからわかりきってた事のはずよ。

そして…」

あの錫杖を取り出す。

「私が、あなたを倒すべくしてここに来たことも!」

それを見た王典は若干驚きつつも、

「小娘が何を…!

殺人鬼もろとも、殺してくれる!」

怒りにも近い雄叫びを上げ、私に飛びかかってきた。

でも、もう恐れる事はない。


錫杖を掲げて、

「陽道 [赦しの()(ぎろい)]」

かつてと同じ術で止めをさす。




王典はふらつきながら後退していき、倒れると同時に消滅した。



私は、中央におかれた古びたハンマーに近づく。

そして唖然とする龍神さんを尻目に、

「星法 [昴(すばる)の子らの歓声]」

小さいけれど強力な結界を張り、封印した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 分厚くわくわくするかっこいい設定!種族も生も死も過去も混ざり合うカオスな雰囲気!めっちゃ良いです! 特に八大再生者の面々や術名でセンスが光っていて心震えました! 血を渇望する王典もよかった…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ