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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
一章・流れる血

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地鬼の館·深層

門を越えると、そこそこ長い直線の通路が現れた。

奥へ案内するかのようにアーチが連続しており、アーケードのようになっていた。

その奥には再び門があったが、これは普通に開いた。

そして、階段を降りた…







「ここは…」

降りた先の様子を見て、アレイが呟いた。

洞窟を改良して作った場所のようだが、壁は一面が黒く塗られ、壁のところどころに白い火が灯った豪華なランプがある。

そして、床は高級感のある艶やかな紫の石材になっている。

先ほどまでの荒廃した古い屋敷、という感じとはうって変わり、そこそこの費用をかけて洞窟を改良した施設という感じになった。

いよいよ来た、王典の本拠地。

「ここからが本番だな」

「そうですね」

とりあえず、最初の扉を開く。




地下洞窟故か薄暗く、視界がよくない…と言いたい所だが、壁に飾られたランプが異様に明るいからかそうでもない。

通路に関しても、ロトゥンがそれなりにいたにせよ面倒なギミックなどはなく、シンプルな道が続いた。

ただ、分岐点はちょっと厄介だった。




「分かれ道か…どっちにいく?」

「そうですね…私は左に行くので、龍神さんは真っ直ぐ進んで下さい。

それで、しばらく行ったら戻ってきましょう」

「そう来たか…まあいい、わかった」

という訳で脇道に逸れずに進んだ。

その先にあったやたら重い扉を押し開けると…

「ありゃ」

真っ暗な部屋だった。

しかし、何かの気配を感じる…

「…?」

とりあえず暗闇を凝視していると…




突然闇から何かが現れ、襲いかかってきた。

それはメーヴ…盗賊のアンデッドだった。

咄嗟(とっさ)の判断で口に短剣を突き刺すと、あっさり倒せた。

まあ、所詮は人間の盗賊がアンデッド化したものに過ぎないって訳だ。


…と油断してると、奥からザネビが現れる。

これは感電させて動きを止め、その間にぶった斬って倒した。

灯りを灯すと、何もない狭い部屋に過ぎなかった。

「こんな狭い部屋一つにアンデッド二体か…」

とまあこのように、単純だが厄介なトラップがあるのだ。

アレイのほうは大丈夫だろうか…





     ◇


龍神さんと一旦別れて暫く進んだら、変な石像が一定間隔で並べられた通路に出た。

その石像は…何だろう、不気味ではあるけど、どこか美しさも感じられるものだった。

背中に二枚の翼を持ち、角を生やした、人間に近い形をした怪物…のようだけど、こんなの見たことない。一体何を象ったものなんだろう?

異形やアンデッドの一種だろうか。


シャッターみたいなものが降りている所を見つけた。

上げれば通れそうだけど、一人では上げれないので、一旦戻ることにした。

さっきの分岐点に戻ると、丁度龍神さんも戻ってきた所だった。

「あ、龍神さん。どうでした?」

「いや、何もなかったよ。雑魚がいただけだ」

「そうですか…

シャッターみたいなものを見つけたんですが、私一人じゃ上げられないんです。

手伝ってください」

「わかった」

二人でやったら、あっさり開けられた。

その先にはさらに下へ続く階段と、低く浮かぶ大きな紫色の水晶があった。

彼は階段を降りていこうとしていたけど、私はそれを止めた。

「そっちじゃないです」

「え?」

「この水晶…お気づきになりませんか?」

「…あ、そうか」

「そういうことです」

これはたぶん、ただの水晶じゃない。

私は龍神さんの手を取り、水晶に触れた。



「おお…」

思った通りだ。

ユキさんが作り出すものと同じ…転移の結晶。

触れたものを、同じ結晶がある別の場所へワープさせる。

そして、今ワープしてきた、この小部屋の先は…。


奥へ進むと、暗い空間に出た。

床に描かれた特殊な魔法陣は弱々しく光っている。

そしてその中央には、かすかに光を放つ小ぶりのハンマーがあった。

あれが祀具の槌か…

「ここで間違いないな。あれを壊すぞ」

龍神さんが、そう言って魔法陣を踏んだ瞬間…

重々しく、恐ろしい声が聞こえた。

「誰だ…ん?そうか、そうか…」

同時に、ハンマーが眩しいほど強い光を放つ。

そして…

「わざわざ出向いてくれるとはご苦労な事だ…。

して、どこまで遊ばせてくれるのかな?」

声の主…かつて猛る地維と呼ばれた再生者が、姿を表した。



クリーチャー解説

メーヴ

人間の盗賊やならず者がアンデッド化したもの。

知能や理性はなく、目につく生者全てを攻撃する。

攻撃力と獰猛性は高い。ほぼ異形と同等の存在とも言える。


ザネビ

異人の盗掘者や盗人がアンデッド化した姿。

メーヴの異人版、と言って差し支えないが、元が異人である分戦闘力はメーヴより高い。


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