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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
一章・流れる血

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52/322

疑問

       ◆



朝からアレイが1人で酒場に行きたいと言い出したので、昼に教会で合流しようとだけ伝えて見送った。

「さて、どうしたもんかなぁ…」

酒場の他に情報が得られそうな方法ってえと…

通行人から話を聞くくらいか?



という訳で、道行く人々からしらみ潰しに話を聞いていく。もちろん、こっちの正体がバレないようにフードを被った上で、だ。

RPGじゃないが、町の人に何か情報はないかって聞いて回ると意外と収穫が得られるもんだ。

最近ドーイの廃都で異形をよく見るとか、小さなものだが地震が多いとか、色々聞けた。

そんな中で特に目をつけたのは、最近この町に傭兵がよく来るようになった、というものだ。

その理由はよくわからないが、おかげで盗賊や異形が町に近寄ってこなくなったので助かってる…とのこと。

「その傭兵ってのは人間か?」

「たぶんそうだと思います」


傭兵…ねぇ。

確かに人間でも異人でも敵に回せば厄介なもんだが…

盗賊はまだしも、異形まで近寄ってこないというのは変だ。

人間や異人であれば相手構わず襲う異形が、なぜ"人間"であるはずの傭兵を恐れているのか?

幸せに暮らしてる奴はわからないかもしれないが、実はこの問題の答えは簡単だ。


さて、こういう時に敵の注意を引くには、リスクを冒した方がよい。

わざとフードを脱ぎ、素顔を晒して歩く。

するとどうだろう、数分もしないうちに数人の男に睨まれた。

これが傭兵か。確かに外見は人間のようだ。

何とか言って追いかけてきたが、あえて何も言わず街中を走り回って引き回す…振り切れるほど早くはなく。

町を一周するころにはかなりの数がついてきていた。

あとはこいつらを誘導するだけだ。



町を出て東へ向かう。

なぜこっちへきたか。それにはもちろん相応の理由がある。

傭兵たちの方を見ると、多少ふらついてるやつはいるが大体のやつはピンピンしてた。

最初からついてきてたやつは特に、たぶん8キロくらい走ったと思うが、だてに傭兵やっちゃいないってことか。


このままやってもいいのだが、念のため確認を。

小高い丘の頂上にかけ上がり、魔導書を取り出して魔法を詠唱する。

「[リベレー]」

奴らはたちまち人間の皮膚が溶けて崩れ落ち、本来の姿である腐った死体の姿をあらわにした。

やはりこいつらは"ロトゥン"で間違いない。

なんで傭兵に化けてたのかはわからんが…とりあえず、さっさと片付けよう。

もう一冊魔導書を取り出す。

「[フレア]」

これは光属性の中級魔法で、ある程度までのアンデッドは一撃で仕留められる。

光属性にはあまり適正がないが、魔導書はあって困るものではないので持ち歩いている。


…しかし、人間の傭兵に化けた所でバレバレだった。

ドーイの廃都近辺は再生者の力が満ちる場所。

その力を受けた生者は苦しみ、死者は力を得る。

町中で戦えば目立つし、どうせなら強い状態でかかってきて欲しかったのでわざわざここまで引き付けたのだが…

全く大したことなかった。


盗賊や異形が町に近寄ってこなくなったというのは、奴らを恐れたからだ。

アンデッドは、盗賊から見ても異形から見ても襲うメリットがないし、そもそも死んだものが動いている、という事自体に恐怖ないし嫌悪感を抱くだろうからな。


それにしても、なぜ傭兵なんかに化けて町に潜んでいたのか。

そして、一体何が目的だったのか。

俺を狙っていたのかもしれないが、そうだとしたらもう少し強い奴をよこしたはずだ。

とすると?


クリーチャー解説

ロトゥン

再生者の魔力を受けて蘇った生ける屍。自我や理性はない。

外見はゾンビにも似ているが別の存在。

ゾンビと異なる点として、主たる再生者にのみ従うこと、死霊術を用いて生前の姿を装うことが出来ることが挙げられる。


異形

この世界に存在する、理性も知能もなく、本能と憎悪と殺意によってのみ動き、人に危害を加える化け物の総称。

様々な種類が存在し、元は無害な動物や植物だったと思われるものもいる。

アンデッドより古い時代から認知されていた存在であり、アンデッド同様に長い間人々の脅威であり続けてきた。

数は少ないが位の高いものもおり、それらはある程度の知能と異人でも負ける事があるほどの力を有している。


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