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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
一章・流れる血

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戦士

最初は戦士が向かってきた…

立派な斧を振り上げて。


試しに受け止めてみたが、なかなかの威力だ。


さらに、斧を受け止められるとすぐに体勢を立て直して薙ぎ払い、それを躱されると振り上げを放つ。

その動きは、磨かれた戦士のそれだった。


「龍神さん!」

アレイが心配してくれるが、生憎そんな事をされる必要はない。

というか、今アレイは自分の心配をせねばならない。

「アレイ…後ろだ!」


「えっ…!?」


間一髪、アレイは振り向いて、剣をマチェットで防いだ。

だが、受け止めただけで、そこからの動きがない。


「アレイ!」


「うぅ…!」

アレイは少しずつ押されている。

やはり、まだ経験の薄い彼女では、歴戦の戦士のアンデッドは相手に出来ないか。


だが、それで納得してしまう訳にはいかない。

吸血鬼狩りとして、彼女の指導者として、助言をする。

「片方の手を離して、魔弾を撃て!」


「…!?」

アレイは歯を食いしばって剣を押さえながら、右手で魔弾を打ち出した。


当たりはしなかったが、勇者は魔弾を避けてバク宙したので、結果的に膠着状態から抜け出せた。


「大丈夫か…!?」

俺は、戦士の斧撃を躱しながら言った。


「はい…!龍神さんは…!?」


「俺か?俺は…」

正直、地味にきつい。

刀ってのは、攻撃を受け止め続けるのには向いていない。

受け流すのは多少出来るが、それは剣や槍のように、一撃が比較的軽い武器の話。

斧のような一撃が重い武器相手では、分が悪い。


なので、躱すしかないのだが…

当然、それを続けると疲れてくる。

一方で、相手はそんなことお構い無しだ。

アンデッドには基本的に疲れという概念がないので、何時間でも全力でかかってくる。


従って、アンデッドとの戦いでは短期決戦が基本となる。

だが、ゾンビやレイスのような低級のものはともかく、高位のアンデッド相手だとそれもなかなか難しい。

故にアンデッド狩りや吸血鬼狩りには、並外れたスタミナと優れた戦闘の技量が必要なのだ。


「俺は大丈夫だ。すぐにこいつを始末する!」


一瞬、動きを止める。

すると、奴は好機とばかりに斧を振るってくる。

これをジャンプして躱しつつ、技を放つ。


「[雷月落とし]!」

強烈な電撃の力を込めた斬撃を打ち込む技だが、これを受けてもなお戦士は立ち上がってきた。


「さすがにタフだな…っ!」

喋ってたら、斧を投げてきた。

横に投げてきたので、体を思い切り仰け反らせて躱す。


奴の斧は両手で持つ両刃のもので、明らかに投げ斧ではない。

力も一級品のようだ。


真っ向から斬り合うのは分が悪いと判断し、魔導書を取り出す。

魔導書は一冊に一つの魔法の力が込められた書物で、これを持ってその魔法を唱えるという使い方をする。

威力は術に比べると少し劣るが、魔力をさして消費せずに魔法攻撃ができる。


「[エアロス]」

唱えたのは、風の中級魔法。

風の渦を呼び起こし、ダメージを与える。

風で相手を切り裂く…なんてことはできないが、それでも十分なダメージを与えられる。


戦士は、これで結構なダメージを受けたようだった。

なので、続けて闇の中級魔法も使う。

「[ネクロス]」

魔力で黒い球体を生成し、地面に染み込むように消え、相手の足元から手のような形で現れ、掴むようにして攻撃する魔法。


これも効いた。

アンデッドは闇に耐性がある者が少なくないが…こいつが元戦士であったことに救われたか。


また、戦士系種族は、魔法攻撃に弱い者が多い。

その事も、後押ししたかもしれない。



さらに、そこにアレイがトドメとばかりに魔導書をかざして叫んだ。

「[アイシクル]!」

アイシクルは確か、氷の中級魔法。

アレイにぴったりだ…というか、アレイ魔導書持ってたのか。


そして、戦士は事切れた。










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