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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
一章・流れる血

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勇者との邂逅

その後は家に帰って寝た。

意外と家の居心地は良かった。

まあ、今日しか泊まらないかもしれないけど。


翌朝、あの戦士にお礼をしようと思ったのだけど、龍神さんは「そんな事気にするな」と言って、家を出た。




町の市場へやってきた。


「さて、何食べる?」


「うーん…あっ、じゃああれにしませんか?」

私は、パンの屋台を指差す。


「おっ…よし、じゃあそうしようか」


「わかりました。じゃあ買ってきますね」



龍神さんを待たせ、私が買い出しに向かった。

屋台には人が並んでおり、龍神さんの顔をあまり多くの人に見せたくないと思ったからだ。



パンを7つ買った。

あとは、龍神さんの所へ戻るだけだ。



そして歩いていたら、滑って転びそうになった。

「おっと」


目の前にいた男性にもたれかかり、間一髪で倒れずに済んだ。


「ご、ごめんなさい」


「いやいや、大丈夫だ。君こそ大丈夫かい?」


その人の顔を見て、驚いた。


それは、濃い青色の髪と瞳の若い男の人…勇者ラカル、その人だったからだ。


「…」


「どうした?大丈夫か?」


「は、はい…」


一瞬、意識が飛んだ。

こんな形で、みんなの憧れの存在に出会うなんて。

思いがけない形で、思いもよらない幸運が舞い込んできたと思った。


「あれ?君はもしかして…水兵かい?」


「はい、私は水兵です…」


すると、彼は目の色を変えた。

「やっぱりそうか!すごい…本物を見るのは初めてだ!

っていうか、よく見たらなかなか可愛い子じゃないか…いいねぇ、朝から気分が晴れ晴れするなぁ!」


彼の反応にはちょっと引いた。

確かに、水兵は珍しがられる種族だけど…まさか、こんなにはしゃぐなんて。

彼も、冒険の旅に出会いを求めているのだろうか。


「朝から何してんだ」


ラカルの後ろから、赤い髪のがたいの良い男性が声をかけた。


「ん?いや、ちょっとね。本物の水兵さんに会えたもんだから、つい…」


「水兵?」

その男性は、私に目線を移してきた。


「…確かに水兵だな。驚いた。こんな内陸の町に水兵がいようとは」


「だろ?だから、さすがの僕も驚いたんだよ!

しかもこの子、僕の前で転んで、僕に倒れかかってきたんだよ?いやぁ…いいよねえ!」


「やめろ、こんな子の前で」


「…なんだ、この子が幼いって意味かい?いやいや、この子は相応の年だと思うよ。それに、可愛い子に年齢なんて関係ない!」


「あ、あの…」

私は、赤髪の男性に向かって言った。


「ん?」


「狂戦士バムス…さんですよね?」

ラカルには3人の仲間がいる。

狂戦士バムス、僧侶オリア、魔法使いメーレイ。

バムスは自身の命を危険に晒しても仲間を守り、オリアは僧侶でありながら高位の回復や蘇生の術を使いこなし、メーレイは魔女に匹敵するほどの魔法を扱うと言われる。


「ああ、そうだ」


「お話はお聞きしています。頑張って下さいね」


「応援感謝する。てか、よく俺の事を知ってるな。うちのパーティでは、ラカルばっかり目立ってるからな」


「皆さんの事は、町でも評判ですから」


「町…?あ、そっか。水兵さんは町を作るんだっけ」


「そうだ。で、お前さんはどこの町の出だ?」


「私はレークという町の水兵です」


「レーク…?あんな遠くからわざわざ来たのか。

てか、お前さんはここで何をしてるんだ?」


「私は、ある人と旅をしてるんです。

それで今、買い出しをしてる所なんです」


「なるほどね。じゃ、あと3日くらいこの町にいるといいよ」


「どうしてですか?」


「決まってるだろ?凱旋する僕らを、間近で見られるチャンスだからさ!」


ラカルは、誇らしげに言った。


「凱旋…?あ、もしかして…」


「そうさ…今日の昼には、バーサクの塔へ向けて出発する。

僕らは、あの塔を支配するアンデッドを倒す。そして、この町に戻ってくる。

だから、それまでいたほうがいいと思うよ」


「3日で足りるかはわからんぞ」


バムスはそう言うけど、大丈夫だと思う。

ラカルは、相当に強い。

もちろん、その仲間である彼もだけど。




そんなこんなで話をして、二人と別れた。


なんだか、胸が暖かかった。

みんなの憧れの人に会えた上に、短い時間ではあるけど喋れた。

それが、とても嬉しかった。



        ◆

投稿時間が遅くなってしまいました。

申し訳ありません。

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