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黒界異人伝・生命の戦争  〜転生20年後の戦い〜  作者: 明鏡止水
二章・死の炎

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乗り込み

侵入した先は弾薬庫のような部屋だった。

幸いにも乗組員はいなかったので、慎重に進む。


部屋のドアを開けると、丁度一人の乗組員が奥へ歩いて行く所だったので、背後から仕留めた。

すると、その死体は黒い液体となって消滅した。


「何、今の…」


「呪霊は倒すとこうなるんだ。アレイの所まで、気づかれないよう進むぞ」




次の扉をくぐり、誰もいない事を確認して一旦ストップする。

「とは言っても、アレイはどこにいるのかしら」


「そうだな…あ、そうだ!」


一か八か、星気霊廟で手に入れた地図を広げてみた。

すると、船内の地図が浮かび上がる。


「何この地図…」


「星気霊廟で手に入れた地図だ。やはり、ただの地図ではないらしいな」


「今の居場所の地図を映し出す…みたいな感じかしら。何にしても、便利なアイテムね」


地図には白い丸と赤い丸が1つずつ表示されている。

白丸は船底のほうに、赤丸はその1つ上のエリアにある。


「これは…?」


「よくわからないけど、恐らくは…」


「白が現在地で、赤が目的地、だと思うな。つまり…!」

奥にある階段を指差す。


「アレイは、上の方にいる!」



階段をあがり、通路の奥の扉を開くと、すぐに牢獄にたどり着く事ができた。

「…龍神さん!それにお二人も!」


「アレイ!間に合った!」


「無事なのね…よかった!

さあ、下がって。すぐに出してあげる!」

ラニイが立派な鎌を取り出し、檻を斬りつけた。

しかし、檻はわずかに傷付いただけだった。


「っ…!」


「この檻には特別な魔法がかかってて、普通の方法では壊せません!どうにか壊す方法を…!」


「うむむ…」

考えあぐねていると、キャルシィが動きを見せた。


「アレイちゃん、離れて。私がやってみる」


「キャルシィさん…?わかりました」

奴は斧を目の前に構え、魔力を溜める。

そして、斧を薙ぎ払う。

「[マクシスパワー]」


果たして見事檻を破壊した。


「キャルシィさん、ありがとうございます」


「…」

キャルシィは何やら、折れた檻を手にとって不思議そうな顔をしていた。


「長、どうかしましたか?」


「この檻にかけられた魔法…記憶にある。確か、一時的に物の耐久力を上げる魔法だったはず…」


「え…?でも、これは耐久力を上げる、というレベルの魔法ではありませんでしたが…」


「そうよね…何かしら…何か、変なのよねえ…」

疑問が浮かぶのはわかるが、ここでくすぶっていても仕方ないので先を急ぐよう切り出す。

「それはいいが、まずこれでアレイも助けれたんだ、先行こうぜ」


「そうね。私、まだ働けてないし」


「言われなくてもそのつもりよ。長らく話の中にしか聞いてなかった幽霊船に、やっと乗れたんだもの。この船の真実を、この目で見てやるわ」

お二人は乗り気なようだ。


「…」

一方でアレイは、何やら複雑な表情をしていた。

気にはなったが、聞くことはしなかった。


この船に何が隠されているにせよ、それはおいおい分かっていく事だ。

アレイは船長にも会ったらしいし、彼女の能力を考えると、もう答えを知っているのだろうが。


が、しかし、答えを一番知りたいのは俺ではなく、キャルシィだろう。

疑問の答えを知る、というのは時に恐ろしい事だが…

果たして、それに耐える精神が奴にあるのだろうか。




「なんだ?何者だお前ら!」

どこから来たか、乗組員の海人が出てきた。

「見ればわかるでしょ?水兵よ水兵」


「そうだな、水兵だな…

ってそうじゃなくてな!」

茶番をやってる間に、向こうの首筋に刀を突きつけた。


「お前の種族は何だ?」


「み、水守人だ…」


「そうか。他にこの船にはどんな種族の連中がいる?」


「海姫、魚人、海人、海騎士、あとは…」


「海騎士?」

騎士は知ってるが、海騎士ってのは初めて聞いた。

と思ってたら、キャルシィが説明してくれた。


「魚人と半魚人の上の種族よ。陸の者が海を荒らさないよう見回ってるの。

あ、陸の騎士とは全く別の種族よ?」


それくらい言われなくてもわかる。そもそも海人系の異人は、陸の異人とは根本的に異なるものだ。

だが、海の異人にも陸の異人にも共通している事がある。

それは…


「船長はどこにいる?」


「せ、船長室にいる…」


「そうか…」


「もう、いいだろ?離せよ…!」


「ラニイ…」

 

「ええ。鎌技(れんぎ)[カーズストライク]」



殺せばそれまで、ということだ。


故に、その法則に当てはまらない化け物(アンデッド)があれば、どんな手を使ってでも当てはめさせる。

それが、俺達の役目であると思っている。


「この船には水兵も乗っています。そしてそれは…」

アレイは一瞬口をつぐんだが、 

「かつて、ニームの所属だった水兵です。彼女らは船長と共に海人や船乗りを襲い、自分たちと同じ呪霊に変え続けています。

船長を倒さなければ、この船にまつわる一連の呪いは解けません。どうか、お力添えをお願いします!」

勇気を出して、事実を喋った。


「…そう。わかった。船長室ってのがどこにあるかわかる?」


「はい、ここのすぐ先にあります。ですが…」


「なに?まだ何かあるの?」


「いえ、何でもないです。行けば全てわかります」



アレイに連れられるがまま進み、先の部屋へ入る。

そこには…




「いないわね…」

誰もいなかった。


「まあそうだろうな…」

と、テーブルの上に何か、妙なものが置かれている事に気づいた。

「ん?何だこれ?」


「何か見つけたの?私にも見せて」


それはロケットのようだった。

正確な材質はわからないが、何やら特別な石でできている事はわかる。

「これは…ロケット?」


「開けてみてよ」

ラニイに言われたので開けようとしてみたが、なぜか開かなかった。


「これも魔法がかかってるタイプか。キャルシィ、これも見覚えあるか?」


「ええ。何だったか…は思い出せないけどね。

てかこれ、壊す…のはやめておいた方がよさそうね。今は他を調べましょう」

とりあえずロケットはアレイに持たせた。

そして、俺は彼女らに甲板へ行こうと言った。


「甲板に?それはまた、どうして?」


「ここにいないって事は、たぶん甲板にいると思うんだ。それに甲板なら、雑魚どもと戦うにも十分な広さがある。決戦の場にもふさわしい場所だろ?」


「そうね。よし、すぐに甲板に向かいましょう!」




船長室を出ると、二人組の乗組員と鉢合わせした。

声を出される前に飛びかかり、首を切り落とす。


「こいつらは何だ?」


「二人共魚人ね。見てわかるでしょ?」

言われてみれば、鱗もあるしヒレもある。


「そうだな…」


それ以降、甲板に出るまで敵は現れなかった。


甲板に出ると、ここまで敵が出なかった理由がわかった。

「…!」


「あら、これはこれはご丁寧に…」

甲板に、おそらく船に乗ってる全員であろう数の乗組員がびっしりと待ち構えていた。


「おぉ、来た来た。お客様のお出ましだぜぇー」


「ったく、待たせやがって…」


「船内探索して楽しかった?あんた達はここで終わりよ!」


口々に色々言ってくれる。

「そうだな、終わりだな…お前らがな。

俺達はお前らをぶっ飛ばす為に来た。だがまずは…軽く遊んでやるよ」


「これ以上呪霊を増やす訳にはいかない!

あなた達の呪いは、私達が解いて見せる!」


「海辺の町のリーダーとして、管轄の海域をうろついて他人に手を出して回るような船は放っておけないのよね。呪霊だか何だか知らないけど、死んでるんならさっさと成仏しなさいよね!」


「死んだものはそれまで。あがいても見苦しいだけ。

呪われているなら、私達が解く。

死人は死人らしく、消えなさい…」


4人それぞれ武器を構え、自身の思うところを言った。




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