支援特化と黒鎧さんの決着
変だなぁ。と思ったらご指摘してくれると助かります。ちょっと変だと言われそうな心当たりはあるので。
あと、ポイント評価お願いします。
日間ランキングの順位が38位まで上がってて嬉しかったので更新しました。ぜひ楽しんでください。
「なっ!」
「……え?」
……なんで、どうして?
疑問が頭を埋め尽くす。
先程までスライムさんが全く受け止めることが出来なかった攻撃を、何故か受け止めている。
進化。その言葉がよぎる。
きっとそうだ。スライムさんは進化したんだ!
そして、スライムさんが作ってくれたこのチャンス。逃すてはないよね!
「〖ホーリーライト〗!」
「しまっ!」
完全に不意をついた形で光を浴びせることが出来た。
黒鎧さんから距離を取り魔法の準備を始める。
「くっ!させんぞ!」
そう言って高速で迫る黒鎧さん。きっと私の攻撃は間に合わない。でも
「……狙いは、魔法じゃないんだよねぇ」
そう呟き。手に隠し持っていたそれを投げつける。
瞬間。
轟爆。
炎と光が轟音を撒き散らし広がった。
救済爆弾。お助けアイテムであるそれを今使ったのだ。そして、黒鎧さんが怯んでいるうちに次の手を打ち出す。
「〖ホーリーヒール〗」
これでなくなったHPは全て回復した。
「【死神流 刀剣術 一の音 誘う鈴の音】」
またあれだ。でも、今は大丈夫。
救済爆弾は、ボスにダメージを与えることは出来ないので、ダメージは与えてないが、救済爆弾の効果はそれだけじゃない。
チリン
と、音が鳴るが。
そこには無傷のプリンがいるだけだった。
「なっ、なぜだ!」
「教えてあげないもん」
一時的なダメージ無効化。それにより私へのダメージは入らない。
そしてその効果が続いているうちにMPポーションを飲み少なくなっていたMPを回復させる。
「〖ホーリーランス〗!」
「効かんわ!小娘!」
放たれた槍はしかし、黒鎧さんによって斬られた。
「うそ、そんなの反則だよ!」
「【死神流 刀剣術 六の音 終わりへ誘う声】」
『こっちだ。後ろだ』
「っ!」
脳内に響くような声に思わず後ろを向いた。
「フンっ!」
しかし、力む声は確かに私の後ろから聞こえた。振り向いてしまった私の後ろから。
「しまっ」
後悔しても、今から何をしようが遅い。魔法は間に合わない。回避も無理。
どうしよう!えっと、えっと!……そうだ!
地上での回避が無理なら
上!
「〖飛行〗!」
そう言うと羽が出てきて一気に上空まで上りその刃を避けきった。
「お主、天使族だったのか。道理で攻撃が痛いわけだ」
「上なら、攻撃できないよね!〖ホーリーランス〗!」
「甘い!」
そう言って跳躍した黒鎧さんは魔法を斬り、空中を踏みしめ、こちらへ襲いかかってきた。
ほんとっ!なんでもありだね!君は!
「〖ホーリーシールド〗!」
振るわれた刃は
キィィン
と、甲高い音を響かせ、現れたシールドに阻まれた。
「厄介な」
〖ホーリーシールド〗準備時間三秒、消費魔力十。球状のシールドを生み出す魔法。INT値で硬度が変わるが限界はある。
「【ステルス】」
そう呟くと私の姿は空気に溶けるように消えた。
「なっ!」
救済爆弾によって生まれた時間は、あれだけのために生み出したものではなかった。
本来ステータス設定の時に決める三つのスキル。今の今まで放棄してきたその権利を、先程使ったのだ。
膨大な選択肢の中から選ぶ時間はなくて、ランダム選択になってしまったけど、とても強いのを引き当てられた。
【ステルス】
一秒間に全体MPの十%を消費して姿を完全に消す。
「〖ホーリーランス〗!」
「ぐあっ!」
背後からの直撃。しかしHPは1割と少ししか削れない。飛行によるデメリットは飛行中MPを消費し続けること、魔法を使う際MP消費が倍になり、威力が半減してしまうのだ。だから決めることが出来なかった。
さすがにMPが限界なので地上におりてMPポーションを飲んだ。
「……強いな、お主は」
「結構、ギリギリだけどね」
墜落し、立ち上がった黒鎧さんは唐突に喋り出す。
「我に刀は、似合わないと思わぬか?」
「……似合わない訳では無いけど、違和感はあるかな」
「ハハっ、そうだろうそうだろう」
黒鎧さんが着ているのは兜とかではなく、どちらかと言うと西洋風の鎧。だから和風の刀をつけていると似合わない訳では無いけど違和感が少しある。
「これはな、我の師匠からの受け売りでな。大剣などの方が良かったのだが。まぁ、仕方ない」
「そっか」
「それでだ、お主は強い。だからこの刀をやろうと思う。もし、我を倒せたらな」
「ほんとっ!?やった」
「ああ、約束する。ただし、我を」
「倒すことが出来たら、な?」
そう言った瞬間。黒いオーラが渦巻き。その黒かった鎧は、段々と白く染って行った。
まるで、死神のように。
「これが、我の本気だ」
第三形態とか、もうやだぁ。無理だよぉ、そんなの。
うぅ、でも、スライムさんの仇は打たないといけないし。なんとか、勝たないと。
「では、行くぞ」
刹那。その姿は掻き消え。目の前へと現れる。
「っ!『ホーリーシールド』!」
貼られたシールドはしかし、いとも簡単に破られる。
頭目掛けて繰り出された斬撃を、何とか躱し肩へと直撃させる。そしてその攻撃はスライムさんによって止められた。
さすがスライムさん!頼りになるぅ!
「ちっ!」
「舌打ちされると怖いからやめようか!」
連撃。頭しか狙われないので回避が容易くなったのに。ギリギリなその連撃を何とか躱す。
「では、威力をあげようか」
「……は?」
纏われる黒いオーラ。
やばい、絶対やばいのが来る!
どうする、どうしよう。
一瞬の思案。そして、ふと。思い出したことがあった。
あれなら、いける!
黒いオーラを纏った刀は、静かに、速く、振り下ろされる。
間に合えぇぇぇぇぇ!
轟爆。
辺りは黒く染る。
そして、黒が晴れた後には
無傷のプリンと、光を纏い、刀を受け止めるスライムさんがいた。
「なっ、なぜ、なぜ受け止められる!」
「んー、強くなったスライムさんが、あなたの攻撃よりつよかったからかな」
「ありえない。我の攻撃はそのスライムよりも強いはずだ」
「そうだね、でもそれは、さっきまでの、話でしょ?」
確かにスライムさんにあの攻撃は止められなかったかもしれない。今までのでもギリギリっぽかったし。でもそれは、さっきまでの話。
〖パーフェクトディフェンス〗準備時間三秒。消費魔力五。対象のVITを上昇させる。
これをスライムさんにかけた。だからスライムさんは攻撃を受け止めることが出来た。だってさ
「言ってなかったっけ?……私」
「支援特化型なんだ」
今の今まで、忘れていたこと。私は神官で、支援特化型をめざしたんだった。
でも、ここに支援する相手はいない。そう、思うよね?
でも、
考えてもなかったけどさ。
いるじゃん
支援するべきスライムさんが。
そして、獲得した二つ目のスキルを発動させる。
「〖エンチャント・ホーリーランス〗」
そう言うと、メイスが光輝いた。
〖エンチャント〗対象に、同じ消費魔力で魔法を付与する。ただし、触れていないと効果は発揮しない。
〖ホーリーランス〗を、メイスにかけた。
こんな至近距離。魔法は間に合わない。でも、物理なら、間に合うよね!
「いっけぇぇぇぇぇ!」
振るわれたメイスは、直撃。光を撒き散らし黒鎧さんのHPを削った。
〖ホーリーランス〗と同威力の攻撃の直撃。到底耐えられるものでは無い。
そのはずだった。
「……惜しかったな」
「…………うそ」
ほんの少し、一ミリほどの、HPを残し。白鎧さんは生きていた。
「惜しかった。だが、我の勝ちだ。ここまで追い詰めたお主に、敬意を評して、これで決める……【死神流 刀剣術 終わりの音 消える灯火】」
瞬間。辺りから音が消えた。
うっすらと、ゆらゆらと、輝く朱を纏い。振るわれる刀。
【死神流 刀剣術 終わりの音 消える灯火】斬った対象を即死させる最後の音。それをプリンは知っていた訳では無いが、直感で理解していた。
避けるのも、防御も、回避も無理。スライムさんでも、耐えられないと。
酷くゆっくりになった世界で、迫る刀を見ながら思う。
悔しい。
スライムさんの仇を打てないことが。ここまで追い詰めたのに。負けてしまうことが、悔しい。
あぁ、悔しいなぁ。
ごめんね。
その、次の瞬間だった。
今までずっと私を覆っていたスライムさんが
迫る刀へ向かった。
「……ぇ」
勇敢に、迫る刀へと向かうスライムさんは
本来、私が、私が受けるはずだった攻撃を、吸い込まれるようにして
受け止めた。
そして静かに、確かに
スライムさんは消えた。
消える粒子を掴もうとするも、そこにスライムさんの姿はもうない。
死。
スライムさんは、死んでしまったのだ。私を庇ったせいで。
「……あぁ、スライムさん。そんな、そんなぁ」
頬を、涙が伝った。でも、そんなことも気づかない位、プリンの心は悲しみに溢れていた。
この時、スライムさんは、確かに、自分の意思で、プリンを庇った。
バグ、エラー。モンスターがプレイヤーを庇う。システム上、ありえないことではあったが、確かに、確かにスライムさんは、自分の意思を持って、プリンを助けた。
そこにあったのは、なんなのかは分からない。愛情なのか、友情なのか。なぜスライムさんにその思いを抱かせたのかも分からない。
ただ、一つだけ言えることは
スライムさんは
プリンを確かに
好きであったということ。
「……素晴らしい。我をここまで追い詰めるスライムが居るとは、そして、モンスターが、人間を助けるとは、なんとも素晴らしい」
「……スライムさん、ごめんね、ありがとう」
ありがとう。助けてくれて。でも、ごめんね。もう、戦う気力が起きないや。ほんと。ごめんね。
「……すまない。これは死合いだ、殺し合いだ。情けをかけることは出来んのだ。すまない」
そう言って、無造作に振るわれる刀を、避ける気力はもうなかった。
ごめんね。
迫る刀。それを見て、静かに目を瞑った。
……ほんとに、いいのかな。
ここで、負けても。
せっかく守ってくれたのに。
負けて、死んで。
それって、スライムさんの死が、無駄になることじゃないの?
ほんとに、いいの?
ダメ、そんなの、ダメ。
死んだら、ダメなんだ。こいつに、勝たなきゃ。勝って、ありがとうって、無駄じゃなかったよって、言わないと、だから。
負けたくない!
『君、面白いね』
『ユニークスキル■■■■■を、獲得しました』
そして、刀は吸い込まれるように直撃し。プリンの体を散らした。
「さらば、好敵手よ」
「……まだ、まだだよ」
「なっ!」
そこには、散ったはずなのに。確かに、直撃したはずなのに生きている。プリンがいた。
そして
スライムさんが作ってくれた。最後のチャンス。
絶対に、絶対に逃さない!
「〖ホーリーボール〗!」
そして放たれた魔法は、確かに直撃し。そのHPを削り取った。
白鎧さんは倒れ伏し。私は立っている。
私の、かちだ!
「……負けだな。我の、我の完敗だ。本当に、お主は素晴らしく、そして強いな」
「……違うよ」
「ん?」
「私は素晴らしくも、強くもないよ。私は、助けられただけだから」
「……そうか、そうだな。訂正しよう。お主達は素晴らしく、強い。最高だよ」
「うんっ!ありがとっ!」
ありがとう、スライムさん。あなたのおかげで、勝てたよ。
「……では、さらばだ。我の最高にして、最後の好敵手達よ」
「バイバイ」
「ああ」
そう言って、白鎧さんは光の粒子となって空へと消えた。
そして
「……ありがとぉ」
そこで私の意識は途絶えた。
編集しました。内容に変わりはありません。今後も編集することがあるかもです。すいません。