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支援特化とリング

バイト行きたくない。


なんか最近先輩が私の生活習慣叩き直す!とか言ってて怖いんですよね。



「…………ん?……知らない天井だ」


目が覚めると白くて綺麗な天井が目に入ったが、こんな天井知らない。


そこで思考を巡らせる。


んっと。確か、意識失ったんだっけ。それで、気がついたら知らない場所、かぁ。


……ゆ、誘拐、とかじゃ、ないよね?


ち、違うよね?そうだよね!?前にもこんな経験あったけどさ!違うよね!?ゲームだもんね。大丈夫だよね……?


そう考えていると不意に声がかかった。


「お目覚めかな?お嬢さん」

「ひっ!ゆ、誘拐犯!」


現れたのは真っ白な服を身にまとったおじいさん。その服を私の血で染める気!?うぅ怖いよぉ。


「おやおや、混乱しているようですな。安心してくだされ。ここは神殿。わたくしは神官でございます。失礼ですが、死んだのは初めてですかな?」

「神殿?しんかん?しぬ?」


どういうこと?


「……僭越ながら、説明させてもらいますが。あなた方異界人は、たとえ死んだとしても神々の加護で神殿で復活することが出来るのです。そしてあなたは死に。ここにて復活したというわけですな。どうです?ご理解頂けましたかな?」


えっと、異界人って私たちのことかな?そういえば、こういうゲームに限らずゲームって死んでも復活するんだっけ。


……あれ?もしかして私……すっごい勘違いしてた?


「すいませんでした!ほんとに、ほんとにすいません!」

「ほほ、大丈夫ですぞ。初めて死んだ方は戸惑うものです。いきなり知らないところにいたのでは混乱するのもわかります故」


よかったぁ。優しい人で。ほんと良かった。


「えっと、これからどうすればいいんですか?」

「それは貴方様の自由です。ここでゆっくりするのもよし。ここから出てまた冒険するも良し。ただ、復活してすぐは冒険なさらぬほうが良いですぞ。危険ですからな」

「そうですか……あ!遥!」


忘れてた!早く行かないと!


「すいません!人待たせてるので行きます!」

「はい。ではお気をつけて」

「はい!」


そう返事して外に飛び出すとはるかに連絡を取る。


゛リングへ゛


今神殿の前にいる!遥はどこ?


そう送るとまたもやすぐに返信が来る。


゛プリンさんへ゛


今冒険者ギルドの前なんですが。多分場所分からないと思いますし、人も多いので南門に集合しませんか?神殿出て真っ直ぐ行けば着くので。


゛リングへ゛


分かった!


そう返信すると駆け出した。



きゅるるるる。


とお腹が鳴ったので。


「ちょっと。ちょっとだけご飯食べようかな」


少し寄り道しながら駆け出した。








「えっと、南門ってここ、だよね?」


んー、正直わかんないけど。真っ直ぐ来たしなぁ。


そう唸っていると。


「プリンさん。遥です」


そう声が掛かり振り向くと赤い髪に猫耳と腰の辺りにしっぽをつけた遥がいた。


「……えっと、それ、本物?」

「ん?あぁ、この耳としっぽのことでしたら本物ですよ。赤猫族っていうユニーク種族ですね」

「……なるほど」


ぴこぴこ。フリフリと動く耳としっぽを見て思う。


触りたい。さわさわしたい。どんな感触なんだろう!


「ねぇ、ちょっと、ちょっとでいいからさ。それ触らせて?」

「……これ、慣れてないから触られると変な感じするんですよね」


それは遠回しに嫌ってことだよね。


「えー、いいじゃん。先っちょ。先っちょだけだから!すぐ終わるから!」

「それ、おじさんのセリフですし。絶対プリンさんちょっとで終わらないじゃないですか」

「お願い!一生のお願いだからぁ」

「十回目を超える一生のお願いですか。一体どれだけ人生やり直してるんでしょうね」


くっ!かくなる上は!


「隙あり!」

「あっ、ちょ!」


一瞬の隙を突いて突撃。無駄に高い運動神経を駆使してしっぽを掴んだ。


「ひゃん!」

「あ、そんな声久しぶりに聞いたかも」

「ちょ、は、離してください!怒りますよ!」


そんな言葉は無視して一撫でする。


「んっ。ちょ、ホントダメなんですって!んっ。もう、プリンさぁん。やめてぇ」


サラサラだぁ。気持ちいい。ほんとのねこのしっぽみたい!本物の猫は触れないからきちょーだよ!


「んっ、ほんとっ、だめぇ」


……でも、なんだろう……ちょっとえっちぃ。


でも辞めないけどね!耳も触ってみよ。


そう思い手を伸ばしたが触っていたしっぽも耳も突如として消えた。


あっ、消せるんだった!


「……よくも、良くもやりましたね」

「あ、えっと」


威嚇している猫のように身を縮め。こちらを睨む遥を見て軽く危機感を覚える。


「……そういえば、プリンさんにも立派な羽がありますよね……お返しに、触って差し上げましょう」

「あっ!」


やば、消すの忘れてた!は、早く消さないと!


そう思うもどもってなかなか消せずにいると素早い動きで回り込まれ羽を掴まれる。


「ひゃん。ちょ、遥!?ご、ごめん許して!」


あっ、ほんとに変な感じする!なんかゾワゾワする。気持ちいい?のかな?でもなんか嫌!


「……プリンさんの気持ちはよくわかります」

「ほ、ほんとっ!?じゃあ許し───」

「許すわけないでしょう」

「あっ!ほんと!ほんとごめ……あんっ!」



十数分後。




「……ぐすん。もうお嫁に行けない」

「自業自得ですよ」


うぅ、ひどい。でも確かに調子に乗った私が悪いし。


「ま、とりあえずこのことは忘れて、準備はできてるのでプリンさんさえ良ければフィールド出ようかと思うんですけど」

「いいよ!」

「わかりました。では行きましょうか」

「うん!あぁ!遥と一緒に戦うの楽しみ!」

「私も楽しみです。あぁ、あとゲーム内ではリングって呼んでくださいね」

「分かった!リング!」

「はい!」


そう言って笑顔で二人はフィールドへと足を運んだ。






ちなみに、この時二人は気づいていなかったがこの光景を見ていた辺りの男子諸君美少女の戯れに軒並みダウンし。かろうじて生き残っていた男子が撮った動画がネットに出回り再生回数がえげつないことになるのだが。この時の二人は知らない。


そして後にそれを見つけた遥が悶えることも。


興奮しすぎて強制ログアウトしたどこぞのアイドルのことも二人は知らない。








アウト?セーフ?多分セーフだと思うんですけど。どうでしょう。

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― 新着の感想 ―
[一言] セーフだマスター 久々の良作に出会えた 続き楽しみにするのでエタらないで欲しい
[一言] セーフ これよりギリギリ攻める奴あるから 大丈夫❗
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