表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/22

支援特化と運営

ちゅあ

プレイヤーが決して辿り着くことのできない場所。


神が住まい、地上を管理する場所で、一人のプレイヤーが注目されつつあった。


「……あ、七大眷族クエストクリアされました」

「お、マジか、これで二回目か、どんなプレイヤーだ?」

「……あー、プリンってプレイヤーなんですけど……この子やばいですよ」

「あ?なにが?……って、もしかしてソロ?」

「……はい」

「は?じゃあなにか?この子ソロで七大眷族クエストクリアしたのか?」

「まぁ、そうなりますね」


それを聞いた周りの(運営)達が騒ぎ出す。


「ソロってやばくね?」「あれそんなやわなクエストじゃないだろ」「プリンって、そんな子いたっけ?」「有名なやつは押えてるけど聞いたことないぞ」


「しかもこの子、調べましたけど今日始めたばかりですね。ステータスも極振りですし、地雷も踏んでます。よくこれで勝てましたね」

「とりあえず映像だせ」

「はいはい、今やってますよ」


そして映し出された映像に映っていたのは


青いジェルを纏った女の子だった。


「「は!?」」


「おい、あんなスキルあったっけ?」

「いや、無いですよ」

「じゃあなんだよ」

「……あー、あれ、スライムですね」

「は?スライム?スライムなの?あれ。ん?じゃあなんで死んでないんだ?あの子」


スライムが人を覆うのは捕食行動であり、普通ならとかされて死ぬはずだが。


「言ったでしょ。あの子極振りなんですよ。INTの。だから耐えてるんですよ。確かスライムの捕食行動ってINT値100以上あったら無効化出来ますし。だからでしょ」

「は!?なんで捕食行動なのにダメージINT依存なんだよ!おかしいだろ!」

「いやこの設定にしたのあんたでしょうが!!近接戦闘職の天敵にしたいけどMNDだったら上げてるヤツいるからとかなんとか言って!」

「……あ、そうだっけ」


そう言っている間にもプリンはスライムを纏い攻撃を無効化させ無双していく。


「うわー、あんな裏技あったんですね。これ修正入れないと」

「裏技というか偶然の産物だな。でも、これだけじゃ七大眷族は倒せんだろ。この子の相手って何属性?」

「闇ですね。黒騎士が相手です」

「なら尚更無理だろ」

「ま、見てみたらわかるんじゃないですか?」

「それもそうか」


そして映像は黒鎧さん。黒騎士との戦闘に入るが。初撃を避けることは叶わずプリンは吹き飛ばされていた。


「ほら、AGI0じゃあいつの攻撃避けるの無理だって」

「……でも、クリアはされてますよ」

「んぁー、チート?」

「それこそないでしょう」

「そうだよなぁ」


そんな懸念も次の瞬間には吹き飛んだ。


避けることは不可能だと思われた攻撃を紙一重でプリンが避け出したからだ。


「なるほど、PS人外勢だったわけですか」

「あー、そういえば七大眷族の強さって固定じゃないんだっけ。だからか」


七大眷族クエストは時間が経って高レベルになったら簡単にクリア。とかが出来ないように対戦する相手のレベルなどで強さが変わるので比較的弱い黒騎士になってしまっていたためプリンは対応出来たのだ。これがもし固定の強さなら反応すら出来ずに負けていただろうが、そんなことにはならなかった。


「うわ、もう第二形態ですよ。高威力すぎるでしょあの攻撃」

「黒騎士って確かかなり硬かったよな。あれをあんなごっそり削るとかやばいな」


奮闘したプリンはしかし、第二形態の前に膝を着く。


負けた。そう思ったが。


次の瞬間に光り輝いたスライムによって攻撃は止められる。


「「なっ!」」


「ちょ、アレ進化ですよ!?なんであんな絶妙な時に進化するんですか!?」

「知るか!まずスライムの進化条件ってなんだよ!」


モンスターには様々な進化条件が存在する。憎しみ、怒り、恐怖や、一定の行動、時期など、様々あるが、スライムの場合は


「なにかを、守ろうとすること」


「「………………」」


「じゃあつまり、あのスライムは自分の意思でプレイヤーを守ろうとしたってことか?」

「……そう、なりますね」

「ありえないだろ!」

「知りませんよ!でも実際そうなってるんですからそうなんですよ!」


そう怒鳴り合う者達だが、そこには何故か笑みが生まれていた。


「……でも、面白いな。システム上絶対にありえないことが、起きているんだからさ」

「まぁ、そうですね」


従魔使などの職業は存在しないため、本来モンスターがプレイヤーを守ろうとするなどありえない事だった。


そんな状況に二人は歓喜した。未知がそこにあったから、ゲーマーとして、1ゲーマーとして二人は歓喜した。


そして第三形態になり、最終決戦になった時、事件は起きた。


スライムが身を呈してプリンを守り死んでしまった。悲しくこれもまた驚きのことではあったが事件はここではなかった。


「…………この子、ユニークスキル獲得しましたよ」

「は!?嘘だろ!?」

「いや、マジです。確かに獲得しました」

「早すぎだろ」


ユニークスキル。条件を満たせば誰でも獲得出来るスキルとは違い。その者にしか、その者だからこそ獲得出来る唯一無二のスキル。それを獲得するにはある特別な事をされなければならなかった。


()()()が、許したのか」

「まぁ、そうなりますね」


スキルを司る、ゲーム上の神。AIであるその神の許可を得なければユニークスキルは獲得できない。そしてその神はかなりの堅物で、癖のあるやつなため、こんなにも早く認められる者が出るとは思わなかったのだ。


「……倒されましたね」

「……ああ」


そこに不正はなく。確かに実力で黒騎士をプリンは倒していた。


「……というか、いいんですか?」

「ん?なにが?」

「……報酬」

「あっ!」


七大眷族クエスト。本来それは、パーティーでクリアすることを想定されている。そのため報酬はパーティー用であった。しかしプリンはソロ。そうなると当然報酬は一人に集約される。


「……やばいな」

「やばいですよ。しかも闇の眷族でゲット出来るスキルってあれめちゃくちゃ極振りむきですよ?化け物が生まれるでしょうね」

「……あー、そうだったわ」


PS人外が、強力なスキルと、ステータスを組み合わせたら。どうなるか。


「「……………」」


「……まぁ、なんとかなるだろ」

「そう、だといいんですけどね」

「やばかったらイベント後に修正すればいいし。まぁ、大丈夫だろ。イベント参加者が悪夢見そうではあるが」

「……そうですね。どちらにせよ私たちが今できることなんてないですしね」

「そうそう。ほっといてもいいよ」

「……はぁー、後でどやされそう」


その後も神は作業を続けていく。


このことで神達の中でのプリンの株は急上昇し、注目のプレイヤーとしてたびたび話題に出されることになるのだが。


もちろん当の本人であるプリンは知らない。








バイト、行きたくないなぁ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ