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バトンタッチ

作者: 甜瓜

- バトンタッチ -

目を覚ますと薄暗い部屋で椅子に座っていた。

ゆっくりと立ち上がり、またかと溜め息をつく。

俺はここがどこかも自分がどういう状況に置かれているかもわかっていた。

これは俺の見ている夢だ。

夢の中で薄暗い部屋に囚われている。

ふと、左腕に違和感を感じ目をやった。

左腕にはデジタル腕時計が巻かれていた。

夢の中では毎回この腕時計をしている。

画面には3月3日、23時30分の文字。

時刻を確認し顔を上げる。

見上げた先には茶色い扉。

扉のノブに手をかけて一気に開ける。

目の前には終わりの見えない廊下。

一定の間隔で豆電球より少し大きめの

暖色の電灯がぶら下がっている。

一歩踏み出し、後ろを振り返る。

そこにあった扉はなくなり暗い廊下が続いている。

いつもの夢と何ら変わらない。

もう慣れてしまった。

時間が経てば目は覚めて現実の世界に戻っている。

俺は少し歩いた。

終わりは見えない。

一つだけ不安なことがあるとすれば俺はこの夢の結末を知らない事だ。

厳密には覚えていないと言った方がいいだろうか。

廊下を歩いているところから靄がかかったように思い出すことが出来ない。

たが所詮夢だ。覚えている方が難しい。

俺は長い廊下を歩いた。

歩いて、歩いて、歩いた。

どれくらい歩いただろうか。

「そろそろ交代の時間だな」

真後ろから声がした。

咄嗟に振り向こうとしたが、それを理解した瞬間身体が動かなくなった。

その声は俺が一番聞き慣れている

自分自身の声だった。

「何驚いてるんだよ。怖いのか?」

俺は震える身体をゆっくりと動かし後ろを振り向く。

そこには俺が立っていた。“もう一人の俺”が。

「じゃ、交代だ。よく頑張ったな。あとは俺に任せろよ」

“もう一人の俺”が近づいてくる。

考えるより先に俺は走り出していた。

全力で。

絶対に足を止めてはいけない。

俺は無我夢中で走った。

途端に身体が宙に浮いたかと思うと視界は斜めになり転倒した。

足が縺れた訳ではない。何かに躓いた。

「見事に引っかかったな」

言葉と同時に腹部に重さが乗る。

“もう一人の俺”が俺の腹部に跨っていた。

「ちょっと足を伸ばしただけなのにかなり派手にいったな」

どうやら足をひっかけられたようだと理解した。

俺に抵抗できる程の体力は残っていなかった。

“もう一人の俺”は呆れた様子で口を開いた。

「交代の時間だ」

そう言いながら“もう一人の俺”はいつの間にか手にしていた包丁で俺の胸の辺りを刺した。

低い音と共に次第に意識は遠のいていく。

不思議と痛みはない。

おかしな感覚だ。

身体が浮いているような。

気がつくと自室の布団で横になっていた。

何が何だか理解が出来なかった。

俺は起き上がり慌てて身体を確認した。

刺されたような穴はどこにもなかった。

「戻ってこれたのか」

安堵と共に呟いていた。

ふと枕元にあるスマホを手に取る。

液晶には3月4日0時01分の文字が浮かんでいた。

お久しぶりです。

1年振りでしょうか。

受験もひと段落し長期休みに入ったので

ショートショートを書きました。

久々の執筆なのでいつにも増して

稚拙な文章になっています。ごめんなさい。

感想、ブックマークなど励みになります。

これから少しずつまた執筆していこうと思います。

よろしくお願いします。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

では、また。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 夢で、もう一人の自分と……となるとホラー系によくありそうだが、読後感はホラーのそれではなく、何とも不思議な感覚があった。 おかげで、気が付けば何回も読んでいた。
2020/03/07 00:27 退会済み
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