画策②
(さーて、さっそく蛛井さんの部屋に家探しに入っちゃうっすよー。)
ボスからスペアキーの束をもらってすぐにロアは行動に出た。
もちろんこの数日間で蛛井が今の時間に私室にいないことなど下調べ済みである。
いらん事にはとことん努力をするタイプなのだ。
うん!最低だね!
「あ、この部屋っすね。」
カチャリ
スペアキーで簡単に扉は開く。
セキュリティとか云々はご都合でカットカットォ!
「さーて……お宝探しといくっすよぉ!」
もちろんお宝といっても金銭的なあれやそれではない。
流石にそんなことはしない。
一応良心はあるし、そんな揉め事面倒なだけである。
ガサガサ……
「うーん……、やっぱなかなか見つかんないっすよねー。」
かれこれ20分ほど家探ししているが目的のものは見つからない。
ロアはしばし考え込んでいたようだが、壁際の本棚に目を止める。
何かを閃いたようだ。
「あー、木を隠すなら森の中って言うっすもんね。」
そしてその本棚をよくよく見てみると少し不自然なことに気がつく。
「ん?なんでここだけ盛り上がってるんだろ?」
その部分の数冊の本だけが少し本棚から飛び出て並んでいたのだ。
「はっはーん。なるほどなるほど?」
飛び出ている数冊を引き抜くと、そこにはカバーがかけられた薄い本がいくつか。
「ビーンゴ!」
ぱらりと中をめくるとアッハーンなシーン。
これぞ探していたブツである。
「さーて、これをチョキチョキっと……。あと他の本には、ふへへっラブメッセージを入れてっと。」
そこにはニタリとほくそ笑むロアの姿があったりなかったり。
ーーーーー
「おい、ロア。」
その日の朝早くボスに呼び出されたロア。
「なんすかー?」
「ほれ。」
ポイッと投げ渡されたそれは以前頼んでいた値引きシールと、おどろおどろしい御札。
それ以外にも可愛らしいファンシーなふわもこシールもあった。
「あれ?これもくれるんすか?」
「うまく使えよ?」
「さっすがボス!まじあざーす!」
そしてロアのドキドキイタズラ大作戦が始まるのであった。
蛛井ハジメ:こちらもいつもバイザーをかけている。
身長は180cmくらい。
髪は紫のウェーブで細身、毛深い。
だいたい30代前半。
服のセンス自体は悪くないはずだが何故か絶望的に似合わない。
変態マッドサイエンティストの名を欲しいままにしている。
一応戦闘にも出るがもっぱら裏方。